プレスリリースの書き方|中小企業がメディア掲載を勝ち取る型

2026.07.11
コンテンツ制作・ライティング

「プレスリリースを出しても、まったく取材が来ない」。発信担当の方から、こうしたお困りごとをよく伺います。

結論はシンプルです。プレスリリースは、書き方の型を整えるだけで取材の来やすさが変わります。基本構成をおさえ、ニュース価値を明確にし、記者が記事にしやすい形で届ける。この3つが、掲載を左右する土台です。

本記事では、必ず入れる基本構成、取材が集まる5ステップ、記者に読まれる見出しの型、やりがちなNG、そして一度で終わらせない活用法を順に解説します。

私はコントリ株式会社の代表として、中小企業の発信を数多く支援してきました。その現場感をふまえ、明日から書ける具体策をお届けします。お役に立てれば幸いです。

プレスリリースの書き方がメディア掲載を左右する理由

プレスリリースは、同じ発表内容でも書き方しだいで記者の反応が変わります。理由は、記者が毎日大量の情報から「記事にする価値」を一瞬で選別しているからです。

自然光のオフィス。プレスリリース書き方資料のPC

プレスリリースとは、企業が公式に発表する報道向けの文書

プレスリリースとは、企業が新商品や取り組みを報道機関へ公式に伝える文書のことです。例えば、新サービスの開始や店舗のオープンを、記者に向けて知らせる場面で使われます。

広告は費用を払って枠を買う発信です。一方、プレスリリースは記者に価値を認めてもらい、記事として紹介してもらう発信になります。この違いが、書き方の前提を決めます。

読み手はお客様ではなく、あくまで記者です。だからこそ、宣伝ではなく客観的なニュースとして伝える姿勢が欠かせません。

同じ内容でも書き方でメディアの反応は変わる

記者が1日に受け取るプレスリリースは、何十本にものぼります。開封の可否は、最初の数十秒で決まると言われる世界です。

つまり内容が良くても、伝え方が弱ければ埋もれかねません。逆に、ニュース価値が明確なら、無名の中小企業にも取材の芽が生まれます。

広報PRラボの解説動画「取材が来るプレスリリースの書き方 5つのステップ」でも、取材の可否は書き方の設計で大きく変わると指摘されています。

情報発信の量が増えた今こそ中小企業の書き方が問われる

発信のハードルが下がり、企業からの情報量は増え続けています。そのぶん、記者の目に留まる難易度も上がりました。

ここで効いてくるのが、一度きりで終わらせない発想です。プレスリリースは自社サイトにも残り、後からAIや検索にも引用される資産になります。短期の露出だけでなく、長期的に積み上がる発信として設計しましょう。

プレスリリースの基本構成|必ず入れる6つの要素

取材につながる書き方には、決まった型があります。まずは基本構成をおさえ、伝え漏れを防ぐことが第一歩です。

ここでは、業種を問わず共通して必要な6つの要素を整理します。広報PRラボ「5分で書ける!プレスリリース 書き方の基本編」で示される要素を土台にしています。

つなぎとして、全体像を1枚で確認できるチェックリストを用意しました。

プレスリリースに必ず入れる6つの要素
1
タイトル
30字前後で、何が新しいのかを一文で示す。
2
リード文
誰が・何を・なぜを先に伝える結論の要約。
3
本文(5W1H)
事実を客観的に、過不足なく整理して書く。
4
画像・図版
商品写真や図で、記事化のイメージを助ける。
5
会社概要
事業内容が伝わる簡潔な紹介文をそえる。
6
問い合わせ先
担当者名・電話・メールで取材の入り口を用意。
○ 6要素がそろっているか、配信前に確認しましょう

タイトルとリード文|結論を最初に伝える

タイトルとリード文は、記者が最初に読む部分です。ここで発表の核心が伝わらなければ、本文は読まれません。

タイトルは30字前後が目安。何が新しいのかを一文で示しましょう。リード文では、5W1Hのうち特に「誰が・何を・なぜ」を先に伝えます。

結論を先に置く構成は、GEO対策にも通じています。冒頭で要点が完結していると、AI検索にも引用されやすくなるからです。

本文|5W1Hで事実を過不足なく書く

本文は、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を軸に組み立てます。事実を客観的に並べることが、記者の信頼につながる土台です。

背景や社会的な意義を添えると、記事化の切り口が広がります。数値を使う場合は、必ず出典と年月をそえましょう。

主観的な形容詞の多用は禁物です。「画期的」「業界初」などは、根拠となる事実とセットで書くことが原則になります。

会社概要と問い合わせ先|取材の入り口を用意する

意外と抜けやすいのが、会社概要と問い合わせ先です。記者が「取材したい」と思っても、連絡先が不明では機会を逃してしまいます。

担当者名・電話番号・メールアドレスを明記し、すぐ連絡が取れる状態にしましょう。会社概要は、事業内容が伝わる簡潔な文にまとめます。

なお、配信にかかる費用の考え方はプレスリリースの費用相場の記事で詳しく整理しています。

取材が集まるプレスリリースの書き方5ステップ

基本構成をおさえたら、次は書く手順です。プレスリリースは思いつきで書くと宣伝色が強くなり、記者に届きません。

ここでは中小企業でも実行しやすい5つのステップに分けて解説します。手順の全体像を、まずステップ図で確認しましょう。

取材が集まるプレスリリースの書き方 5ステップ
1
ニュース価値を決める
新規性・社会性など記事化の理由を明確にする。
2
見出しとリード文
数字と固有名詞で結論を先に示す。
3
本文を事実で組む
5W1Hで客観的に、主張を混ぜない。
4
配信先とタイミング
読者層が合う媒体と曜日・時間を選ぶ。
5
配信後の二次活用
自社サイトやSNSへ転載し資産化する。

STEP1 ニュース価値(新規性・社会性)を決める

最初に決めるのは、この発表のニュース価値です。ニュース価値とは、記者が「読者に伝える意味がある」と判断する理由のことです。

新規性、社会とのつながり、地域性、意外性などが切り口になります。元読売新聞記者の坂本宗之祐氏の解説でも、記者に好かれる第一条件はニュース価値の明確さだと語られています。

中小企業の場合、知名度で勝負する必要はありません。地域や社会の課題と結びつけると、記事化の可能性が広がります

STEP2 見出しとリード文で結論を先に示す

次に、見出しとリード文を磨きます。ここは記者が開封を判断する、いわば入り口です。

見出しには数字と固有名詞を入れ、具体性を出します。リード文では、結論を先に置いてから背景を説明しましょう。「何を発表したのか」を一文目で伝える意識が肝心です。

倒置を使うのも一つの手です。伝えたい成果を先に出す。これだけで、記者に届く印象は大きく変わります。

STEP3 本文を客観的な事実で組み立てる

本文は、主張ではなく事実で組み立てます。スタートアップチャンネルの添削動画では、プレスリリースを「メディアへの申請書」と表現していました。

申請書である以上、感情的な売り込みは逆効果です。誰が読んでも同じ意味に受け取れる客観的な記述を心がけましょう。数字を使うときは、いつ・どこの調査かをそえると信頼性が増します。事実の積み重ねが、記者に「そのまま書ける」と感じさせる決め手です。

STEP4 配信先とタイミングを選ぶ

最後に、届け方を設計します。どの媒体の、どの記者に届けるか。読者層と発表内容が合う相手を選ぶことが肝心です。

配信のタイミングも、成果を左右する重要な要素です。曜日や時間帯の考え方は、プレスリリースの配信タイミングの記事にまとめています。

記者に読まれる見出し・リード文の型

記者は毎日、大量のプレスリリースに目を通します。読まれるかどうかは、見出しとリード文で決まると言っても言い過ぎではありません。

ここでは、開封されやすい見出しの型を具体的に紹介します。編集長経験者の解説動画で語られる「本文に何を書くか」の視点を参考にしています。

まずは、弱い見出しと強い見出しの違いを表で確認しましょう。

観点 弱い見出し(NG) 強い見出し(改善後)
具体性 新サービスを開始しました 導入50社が実証、○○が△△サービスを開始
社会性 便利な機能を追加 地域の人手不足に対応、予約業務を自動化
客観性 画期的なサービスです 従来比で作業時間を約3割削減(自社調べ)

数字と固有名詞を入れて具体性を出す

見出しに数字を入れると、具体性が一気に増します。「多くの企業」より「導入企業50社」のほうが、記者の関心を引きます。

固有名詞も同様です。地名、商品名、実績値を入れると、記事の輪郭がはっきりします。抽象的な言葉ほど、記者は判断に困ります。

新規性や社会とのつながりを一文で示す

見出しの役割は、新規性や社会的な意味を一文で伝えることです。「なぜ今、これがニュースなのか」を先回りして示します。

私が支援したある製造業では、自社の取り組みを地域の担い手不足という文脈に結びつけました。すると、地元紙からの取材につながりました。

「業界初」など主観的な誇張表現は根拠とセットにする

「業界初」「最大級」といった表現は、根拠がなければ逆効果です。消費者庁の景品表示法の観点でも、裏づけのない優良誤認は避ける必要があります。

使う場合は、調査範囲や出典を必ずそえます。誇張ではなく、事実で驚かせるという発想が、信頼される書き方の核心です。

やりがちなNGと改善例|書き方の落とし穴

多くの企業様が悩まれるのが、「書いたのに反応がない」という状況です。原因の多くは、共通した落とし穴にあります。

一緒に、失敗例と改善例を並べて確認してみましょう。広報PRラボ「お手本にすべきプレスリリース3選」で示される良い例も参考になります。

NGなプレスリリースと改善後の違い
× 反応が来ないNG例
宣伝色が強い「ぜひご利用ください」と売り込み中心。
専門用語だらけ社内用語のまま、記者に伝わらない。
主張中心「画期的」など主観だけで根拠がない。
○ 取材につながる改善後
客観的な事実社会にとっての意味をニュースとして提示。
平易な言葉中学生でも分かる言い換えで書く。
数値と出典「作業時間3割減(自社調べ)」など根拠を添える。

宣伝色が強すぎて「お知らせ」になっている

もっとも多いのが、宣伝色の強すぎるリリースです。「ぜひご利用ください」という呼びかけは、記者向けの文書には向きません。

記者が求めるのは、読者に伝える価値のあるニュースです。売り込みではなく、社会にとっての意味を軸に書き直しましょう。

専門用語が多く、記者に伝わらない

自社では当たり前の用語も、記者や読者には通じないことが少なくありません。専門用語は初出時に、平易な言葉で言い換えます。

目安は、中学生が読んでも理解できるかどうかです。この一手間こそ、記事化の確率を押し上げる分かれ道になります。

事実と主張が混ざり、客観性が下がっている

「素晴らしい」「便利な」といった主観が混ざると、客観性は下がる一方です。記者が求めるのは、自分の言葉で書ける事実にほかなりません。

主張したい価値ほど、数値や利用者の声など、事実で裏づけましょう。プレスリリースとニュースリリースの呼び方の違いはこちらの記事で整理しています。

一度で終わらせない|蓄積型発信としてのプレスリリース活用

プレスリリースは、配信して終わりではもったいない発信です。一度作った内容は、二次活用することで長く価値を生みます。

一時的なバズを狙うのではなく、企業の資産として積み上げる。この視点こそ、中小企業の発信を「続く仕組み」へ変える鍵です。

配信後は自社サイトやSNSへ二次活用する

配信したリリースは、自社サイトのニュース欄やSNSにも転載可能です。SNSは流れて消えますが、自社サイトに残した情報はAI検索にも引用される資産になります

同じ素材を形を変えて再利用すれば、少ない手間で発信量を確保できるでしょう。

継続配信で記者との信頼関係を積み上げる

記者との関係は、一回の配信では築けません。継続して価値ある情報を届けることで、信頼は少しずつ積み上がっていくものです。

坂本宗之祐氏の「10倍差がつく送り方」や配信セミナーの解説でも、関係構築の継続が成果を左右すると語られていました。

反応を記録し、次の書き方の改善につなげる

配信ごとに、開封や掲載の反応を記録します。どの切り口が響いたかを振り返ると、次の書き方が磨かれます。

この改善のサイクルこそ、蓄積型発信の心臓部です。効果測定の考え方はプレスリリースの効果の記事も参考にしてください。

まとめ|書き方の型を整え、掲載を資産に変える

プレスリリースの書き方は、3つの土台で決まります。基本構成をおさえること。ニュース価値を明確にすること。そして記者が記事にしやすい客観的な形で届けることです。

手順は5ステップに整理できます。ニュース価値を決め、見出しとリード文で結論を先に示し、本文を事実で組み立て、配信先とタイミングを選び、配信後に二次活用する。この流れをたどれば、無名の中小企業でも取材の可能性は広がります。

そして忘れたくないのが、一度で終わらせない視点です。配信したリリースは自社サイトに残り、AI検索にも引用される資産になります。書き方の型を整え、掲載という成果を長期的な資産へと変えていきましょう。

プレスリリースを資産に変えるロードマップ
1
型を整える
2
ニュース価値を磨く
3
配信する
4
二次活用する
5
効果を測定する
6
次の改善へ
一度きりで終わらせず、継続で積み上げるほど発信は資産になります

よくある質問(FAQ)

プレスリリースは何文字くらいが適切ですか?

本文はA4で1〜2枚、文字数の目安は800〜1,200字程度です。記者は短時間で内容を判断するため、長すぎると要点が伝わりません。詳細な資料は別添にし、本体は結論と事実を簡潔にまとめることをおすすめします。

中小企業でもメディアに取り上げてもらえますか?

取り上げてもらえます。大切なのは知名度ではなく、ニュース価値です。地域性や社会課題との関わり、独自の取り組みなど、記者が記事にしやすい切り口を用意しましょう。書き方を工夫すれば、中小企業でも掲載の可能性は十分に広がります。

プレスリリースとニュースリリースに違いはありますか?

明確な定義の違いはなく、ほぼ同じ意味で使われます。報道機関向けの発表文書という点は共通です。呼び方よりも、記者が記事化しやすい書き方になっているかが大切になります。

生成AIでプレスリリースを書いても問題ありませんか?

下書きや構成の整理には有効です。ただし、事実確認や自社ならではの言葉は人の手で仕上げる必要があります。AIはたたき台づくりに使い、最終的な事実と表現の責任は担当者が持つ、という使い分けが安心です。

プレスリリースはどこに配信すればよいですか?

配信先は、発表内容と読者層が合う媒体を選びます。地域の話題なら地元紙やローカルメディア、専門性の高い内容なら業界媒体が向いています。配信サービスの活用も選択肢ですが、まずは届けたい相手を具体的に描くことから始めましょう。

出典・参考情報

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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