プレスリリースの費用|中小企業が相場を押さえ効果的に出す使い分け

2026.07.01
発信のはじめ方・基礎知識

プレスリリースの費用って、結局いくらかかるのか」。広報を任された中小企業の担当者から、よくいただく質問です。無料という話も、1配信で数万円という話も飛び交い、相場がつかめないという声をうかがいます。

結論をお伝えします。プレスリリースの費用は、無料の自社発信から有料配信の数万円までと幅広く、金額より「出し方」で費用対効果が決まります。高いプランを選べば成果が出るわけではありません。誰に何を届けるかという中身と、発信を蓄積する姿勢こそが、限られた予算を生かす鍵です。

本記事では、費用相場の全体像、配信サービスの方式別比較、無料で出す方法、そして費用を抑えて効果を高めるコツを順に解説します。広報予算に悩む担当者の判断材料になれば幸いです。

プレスリリースの費用相場:無料から有料までの全体像

プレスリリースの費用は、「無料の自社発信」「有料配信サービス」「PR会社への委託」という3層で捉えると整理がつきます。それぞれ金額も役割も異なり、自社の目的によって最適な選択が変わるでしょう。

まず大枠をつかむことが、予算の使いどころを見極める出発点です。いきなり高額なプランに飛びつくのではなく、選択肢の地図を持っておきたいところです。

プレスリリースの費用を3層で比較
比較軸自社発信有料配信PR会社委託
費用の目安無料1配信 数万円〜月額 数十万円〜
届く範囲自社の読者中心登録メディアへ広く戦略的に最大化
手間自社で作成・運用原稿は自社、配信は委託戦略から伴走
向く企業常時の発信・蓄積重視節目に露出を広げたい本格的に取り組みたい

費用は「無料・有料配信・PR会社委託」の3層で考える

費用を考えるときは、3つの層に分けると判断しやすくなるはずです。一つ目は自社サイトやSNSで出す無料の発信。二つ目は配信サービスを使う有料の発信。三つ目はPR会社に戦略から委託する方法です。

層が上がるほど費用は増えますが、その分だけ手間が減り、届く範囲が広がる傾向にあるのです。配信サイトごとの費用対効果を比較する実務者も、出し方によって成果が大きく変わると語っています。自社がどの層から始めるべきかは、目的と予算の兼ね合いで決まります。

有料配信は1配信あたり数万円が一つの目安

有料の配信サービスを単発で使う場合、1配信あたり数万円程度が一つの目安です。サービスや配信先の数によって金額は前後するため、最新の料金は各社の公式情報で確認してください。

たとえば大手の配信サービスであるPR TIMES(・料金体系は公式サイトを参照)では、従量課金と月額プランが用意されています。単発で試すのか、継続的に出すのかで、割安になる方式が変わります。費用の絶対額だけでなく、自社の発信頻度に合うかどうかを軸に選びたいところです。

費用は手段であって目的ではない

ここで押さえておきたいのは、費用はあくまで手段だという点です。配信にいくらかけたかではなく、その結果どれだけ伝わり、ビジネスにつながったかが本質と言えます。

高い費用をかけても、内容に魅力がなければメディアは動きません。逆に、無料の自社発信でも、ニュース性のある一次情報なら反応を集めます。費用の話に入る前に、「何のために出すのか」を見失わないことが大切です。目的が定まれば、適正な費用も自ずと見えてきます。

プレスリリース配信サービスの費用を方式別に比較

有料の配信サービスは、料金体系が従量課金型と月額定額型に大きく分かれます。発信の頻度によって、どちらが割安になるかが変わる点が選び方の肝でしょう。方式ごとの特徴を比べてみましょう。

自社が年に数回しか出さないのか、毎月のように発信するのか。この見立てが、無駄のないサービス選びを左右します。

配信方式ごとの費用と向き不向き
従量課金型出した分だけ支払い 向く頻度:年に数回 メリット:無駄が出にくい・試しやすい 注意点:回数が増えると割高に
月額定額型毎月一定額で配信し放題 向く頻度:毎月のように発信 メリット:単価が下がる 注意点:ネタ切れだと割高
PR会社委託月額 数十万円〜 向く頻度:本格運用 メリット:専門知識と人脈を活用 注意点:中小はまず土台づくりから

1配信ごとに払う従量課金型

従量課金型は、配信するたびに料金が発生する方式です。出した分だけ支払うため、発信の頻度が低い企業に向いています。年に数回の節目だけ出すなら、月額を払い続けるより割安になりやすいでしょう。

初めて有料配信を試す場合も、従量課金型から始めると無駄が出にくくなるはずです。一度出してみて、反応や手応えを確かめてから継続を判断できるからです。スモールスタートに適した方式と言えます。まずは一本、自社の重要なニュースで試してみるのも手です。

毎月一定額で配信し放題の定額型

月額定額型は、決まった料金で月に複数回配信できる方式です。発信の頻度が高い企業ほど、1配信あたりの単価が下がっていきます。継続的に情報を出す体制が整っている企業に向いています。

定額型を生かすには、出すネタを切らさない仕組みが欠かせません。せっかく配信し放題でも、月に一度しか出せなければ割高になってしまいます。発信を続けられる体制とセットで考えることが、定額型を選ぶ前提になります。ネタの計画と運用の仕組みづくりが鍵を握っています。

PR会社に委託する場合の費用感

PR会社への委託は、戦略設計から原稿作成、メディア対応までを任せる方法です。費用は月額数十万円から始まることが多く、配信サービスより一段高い投資です。

その分、広報の専門知識やメディアとの関係を活用できる利点があります。社内に広報のノウハウがなく、本格的に取り組みたい企業には選択肢になります。ただし中小企業の場合、まずは自社発信と配信サービスで土台を作り、必要になってから委託を検討する順番が現実的でしょう。身の丈に合った段階を踏みたいところです。

無料でプレスリリースを出す方法と限界

プレスリリースは、費用をかけずに出すこともできます。自社サイトやSNS、無料の配信枠を使う方法です。ただし届く範囲には限界があり、無料と有料の線引きを理解しておくことが欠かせません。

無料だから効果がない、というわけではありません。使いどころを見極めれば、無料の発信も立派な広報になります。その可能性と限界を整理します。

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自社サイトとSNSで一次情報として出す

最も手軽な無料の方法が、自社サイトやSNSでの発信です。ニュースを自社のオウンドメディアに掲載し、SNSで知らせるだけでも、立派な情報発信となるのです。費用はかかりません。

この方法の強みは、情報が自社の資産として残る点にあるでしょう。配信サービスを通した情報が流れて消えるのに対し、自社サイトの記事は蓄積され続けます。AI検索最適化の観点でも、自社に残した一次情報は生成AIに引用される土台になるのです。無料であっても、長く効く発信になり得ます。

無料・低価格の配信枠を活用する

世の中には、無料または低価格でプレスリリースを掲載できる配信枠もあります。地域メディアや業界特化のポータル、一部の配信サービスの無料プランなどです。対象が合えば、費用を抑えて露出を得られます。

ただし、無料枠は掲載順位や露出が限られたり、機能に制約があったりします。期待しすぎず、あくまで補助的な手段として使うのが賢明でしょう。地方では広告よりプレスリリースが効果的になりやすいと語る実務者もおり、地域に根ざした企業ほど活用の余地があります。

無料の限界と有料に切り替える判断基準

無料の発信には、どうしても届く範囲の限界があります。多くのメディアへ一斉に届けたい、全国的な露出を狙いたいという段階になると、有料配信の出番です。判断の目安は、発信の目的と求める到達範囲にあります。

普段の情報発信は無料の自社サイトで蓄積し、新商品や周年といった大きな節目で有料配信を使う。この使い分けが、費用対効果のよい運用と言えるでしょう。無料と有料は対立ではなく、役割分担の関係だと捉えてください。両方を組み合わせてこそ、限られた予算が生きてきます。

費用以上に成果を左右する「中身」と発信の蓄積

プレスリリースの成果は、配信費用よりも中身で決まります。どれだけ配信しても、記者や読者が反応しない内容では取り上げられないからです。費用対効果を高める本質は、発信を一過性で終わらせず資産として積み上げる姿勢にあります。

私はこれまで、高額な配信に頼って空振りする例も、無料発信で着実に成果を出す例も見てきました。両者を分けたのは、いつも費用ではなく中身でした。

メディアが取り上げたくなるニュース性の作り方

メディアに取り上げられるかは、ニュース性の有無で決まります。ニュース性とは、社会の関心事や時流と自社の話題が重なる接点のこと。単なる自社の宣伝では、記者の心は動きません。

たとえば、季節や社会の話題に絡める、独自のデータを示す、地域への貢献を打ち出すといった工夫が効きます。編集長経験者が「選ばれるプレスリリースの書き方」を説くように、読み手の関心から逆算する視点が欠かせません。費用をかける前に、まずこの一点を磨きたいところです。

プレスリリースは流す情報でなく蓄積する情報資産

プレスリリースを「一度流して終わる情報」と捉えると、費用対効果は頭打ちになります。発想を変えて、自社に蓄積する情報資産として扱うと、価値が大きく変わってきます。

配信したリリースを自社サイトに残し、関連情報とつなげていく。すると一本一本が積み上がり、会社の歴史や専門性を語る資産へと育ちます。PR費用を情報資産のストックとして捉える実務者の視点も、この考え方に重なります。流して消すのか、積んで残すのか。その違いが長期の差を生みます。

自社サイトに残すことでAI検索にも引用される

自社サイトに蓄積したプレスリリースは、検索エンジンや生成AIの回答にも引用される可能性を持ちます。AIが答えをつくるとき、一次情報を持つサイトは参照先として選ばれやすいからです。

借り物のSNSやニュースアプリは、時間が経てば流れて消えます。対して自社サイトに残した発信は、長く参照され続ける資産です。オウンドメディアが続かない原因で整理したとおり、蓄積を支えるのは仕組みです。配信費用を一過性で消費せず、資産へ変えていく発想を持ちたいところです。

中小企業がプレスリリース費用を抑えて効果を出すコツ

限られた広報予算でも、出し方を工夫すれば効果は引き出せます。配信先を絞る、自社発信と併用する、書き方を磨くといった具体策が有効です。費用対効果を高めるコツを順に紹介します。

どれも特別な予算を必要としません。今日からの工夫で、同じ費用でも得られる成果を変えられます。

費用を抑えて効果を出す3つのコツ
コツ 1対象メディアを絞る闇雲な一斉配信をやめ、関心を持ちそうな相手に丁寧に届ける。
コツ 2自社発信と組み合わせる配信は節目に、日常は自社サイトに。一回の発信の情報量を増やす。
コツ 3テンプレートで作成コストを下げる基本フォーマットと型をそろえ、見えない人件費を圧縮する。

闇雲に広く配信せず対象メディアを絞る

費用を抑える第一歩は、配信先を闇雲に広げないことです。多くのメディアへ一斉配信すれば露出が増えそうに思えますが、関心のない先に送っても取り上げられず、むしろ費用を空費するだけに終わります。

自社の話題に関心を持ちそうなメディアや記者を見極め、対象を絞って届ける。少数でも刺さる相手に丁寧に送るほうが、結果として成果につながります。失敗しないプレスリリース戦略を説く実務者も、誰に届けるかの設計を重視しています。質を狙う配信が、費用対効果を高めます。

自社オウンドメディアと組み合わせる

有料配信だけに頼らず、自社オウンドメディアと組み合わせることも有効です。配信したリリースを自社サイトにも掲載し、より詳しい背景やストーリーを補う。すると一回の発信から得られる情報量が増えます。

オウンドメディアを自社で運営できれば、発信のたびに外部費用を払う必要もありません。オウンドメディアの内製化を進めておくと、広報の土台が自社内に整います。有料配信は節目に、日常の発信は自社サイトに。この組み合わせが費用を抑えます。

テンプレートと型で作成コストを下げる

プレスリリースの費用には、配信料だけでなく作成にかかる時間も含まれます。毎回ゼロから書いていては、人件費という見えないコストがかさみます。テンプレートや型を用意しておくことが、その削減につながります。

基本フォーマットを決め、見出しやリード文の型をそろえておけば、作成時間は大きく縮みます。論理的なプレスリリースの作り方を解説する実務者も、型に沿って書く効率の良さを示しています。仕組み化は、配信費用以外のコストを静かに下げてくれます。

プレスリリース費用でやりがちな失敗と回避策

費用の使い方を誤ると、出しても成果につながりません。なかでも高額プランへの過信と、配信して終わりにする運用は典型的な失敗です。先回りして注意点を共有しておきます。

失敗の多くは、費用と成果を取り違えるところから生まれます。何が無駄を生むのかを知り、限られた予算を守りましょう。

高い配信プランを選べば成果が出るという誤解

最も多い誤解が、「高いプランを選べば成果が出る」という思い込みです。配信範囲が広いプランは確かに露出のチャンスを増やしますが、内容にニュース性がなければ取り上げられません。

費用の大小と掲載のされやすさは、必ずしも比例しないのが現実です。まずは手頃な範囲で中身を磨き、反応を見ながら投資を増やす。この順番のほうが、無駄なく成果に近づけます。最初から高額プランに賭けるのは、避けたい判断です。

配信して終わりにせず効果を検証する

二つ目の失敗は、配信して終わりにしてしまうことです。結果を振り返らないまま終えれば、次に生かす学びは残りません。費用だけが積み上がっていきます。

どのメディアが取り上げたか、自社サイトへの反応はどうだったかを確認し、次の発信に反映する。この検証の習慣が、費用対効果を年々高めていきます。出して終わりではなく、出してから学ぶ。地味ながら、ここが成否を分ける分岐点です。

費用を母数だけで判断しない

三つ目は、費用を配信数や到達メディア数だけで判断してしまうことです。「何社に届いたか」は分かりやすい指標ですが、それだけでは成果を測れません。

本当に見るべきは、届いた先で何が起きたかです。問い合わせや採用への波及、自社サイトへの蓄積といった質的な成果まで含めて評価します。数字の見せ方に惑わされず、ビジネスへの貢献で費用を判断する。その視点が、賢い予算配分につながります。

まとめ:プレスリリースの費用は、中身と蓄積で生きる

プレスリリースの費用は、無料の自社発信から有料配信まで幅があり、金額より「出し方」で費用対効果が決まります。高いプランより、ニュース性のある中身と、発信を蓄積する姿勢が成果を左右します。

明日からできる一歩は、自社サイトに発信を一本残し、大きな節目だけ有料配信を使う使い分けを決めること。借り物のメディアに流して消すのではなく、自社サイトに積み上げた発信が、長く効く広報の資産へと育ちます。費用の多寡ではなく、蓄積の有無で勝負していきましょう。

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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