オウンドメディアの成功事例13選|売り込まず資産を築いた企業の共通点

発信戦略と仕組み化

「うちもオウンドメディアを始めたいけれど、本当に成果が出るのだろうか」。中小企業の発信担当者から、よくいただくお悩みです。

結論からお伝えします。オウンドメディアの成功事例には、業種や規模を超えた共通点があります。それは「すぐに売り込まず、読者の役に立つ情報を積み上げたこと」です。北欧、暮らしの道具店は、月1600万PVを売上84.9億円につなげました。サイボウズ式は「製品PRをしない」方針で、月100万PVを築いています。

本記事では、国内13社と海外2社の成功事例を、具体的な数字とともに4タイプに分けて紹介します。あわせて、閉鎖・撤退した失敗事例の教訓と、自社の発信に活かす共通点まで整理しました。

自社に合う一歩を見つける手がかりになれば嬉しく思います。

オウンドメディアの「成功」は目的で4タイプに分かれる

BtoC・ブランディング型

目的:ファン化・ブランド構築

主な指標:PV・売上・リピート率

代表例:北欧暮らしの道具店/土屋鞄/無印/SUUMOタウン

BtoB・リード獲得型

目的:問い合わせ・商談の創出

主な指標:リード件数・指名検索

代表例:サイボウズ式/freee/SmartHR/ベイジ

採用・カルチャー型

目的:採用・社内文化の発信

主な指標:応募者の読者比率・認知率

代表例:メルカン/ジモコロ/LIGブログ

海外・スケール型

目的:ブランド・市場そのものの創造

主な指標:売上・再生数・市場認知

代表例:Red Bull/HubSpot

オウンドメディアの成功事例から学ぶ前に——「成功」の定義を揃える

オウンドメディアの「成功」は1つではありません。集客・リード獲得・採用・ブランディングという4つの目的に分かれ、追うべき数字も変わります。事例を読む前に、自社がどの成功を目指すのかを先に決めることが出発点です。たとえば同じ「PV1万」でも、集客が目的なら通過点にすぎず、採用が目的なら十分な成果になり得ます。だからこそ、数字の前に目的を据える順番が欠かせません。

目的がずれたまま他社の数字を追うと、自社には合わない真似になりがちです。まずは土台を揃えましょう。

オウンドメディアの「成功」は4タイプに分かれる

オウンドメディアの成功は、目的によって4タイプに整理できます。BtoCのブランディング型BtoBのリード獲得型採用・カルチャー型、そして海外の大型スケール型です。

例えば、ファンを増やして商品を売りたいならブランディング型が近いでしょう。法人から問い合わせを得たいならリード獲得型が参考になるはずです。自社の目的に近いタイプから読むと、学びがより具体的になるでしょう。

そもそもオウンドメディアとは、自社が保有して発信する媒体の総称です。ブログやコラムが代表例にあたります。広告(ペイドメディア)と違い、費用を止めても資産として残る点が強みです。

PVや売上などの数字は「目的」とセットで読む

数字は、必ず「何のための数字か」とセットで読む必要があります。PVが多くても売上につながらない事例もあれば、PVは小さくても採用に直結した事例もあるからです。

採用が目的なら、PVより「応募者のうち読者が何割いたか」が成果を表します。リード獲得が目的なら、月あたりの問い合わせ件数が指標です。数字の大小だけで優劣を判断しないことが、事例を正しく読むコツです。

他社事例を自社の文脈に翻訳するコツ

成功事例は、そのまま真似るものではなく「翻訳」して使うものです。大手の予算や人員を前提にした施策を、中小企業がそのまま再現するのは、現実的ではない場合がほとんどです。

私たちが中小企業の発信を支援する現場でも、まず「自社の強みは何か」を言語化することから始めます。事例を見るときは「規模」ではなく「考え方」を抜き出してください。その考え方こそ、自社に移植できる資産です。

【BtoC・ブランディング型】オウンドメディアの成功事例4選

BtoCのブランディング型は、商品を売る前に「暮らし」や「価値観」を語って共感を集める手法です。生活者のファンを育て、結果として売上や商品改善につなげています。ここでは代表的な4社を、数字とともに見ていきましょう。

いずれも「世界観の発信」を起点にしている点が共通します。

BtoC・ブランディング型 4社の成果

北欧、暮らしの道具店(クラシコム)

月1,600万PV

連結売上84.9億円・19期連続増収増益

土屋鞄製造所

会員100万人超

内製でブランドの世界観を統一

無印良品 IDEA PARK

年8,000件の要望

2年で200点以上の商品を見直し

SUUMOタウン(リクルート)

書籍化を実現

KPIを追わず街名検索で上位拡散

北欧、暮らしの道具店(クラシコム)——月1600万PVを売上84億円につなげた

「北欧、暮らしの道具店」公式サイトのトップページ
出典:北欧、暮らしの道具店 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

北欧、暮らしの道具店は、メディアとECを一体化させた成功事例の代表格です。運営元クラシコムの2025年7月期 連結売上高は84.9億円に達し、前期比21%増・19期連続の増収増益を記録しました(出典:日本ネット経済新聞)。

月間約1600万PVを集めながら、商品を押し売りしません。「フィットする暮らし、つくろう。」という世界観で、読み物・動画・商品を地続きに届けています。週1回以上訪問する読者が96%という高いリピートも、世界観への共感が生んだ結果です(出典:クラシコム)。

注目すべきは、発信が事業の柱に育った点です。オリジナル短編ドラマ『青葉家のテーブル』は累計300万回近く再生され、2021年には映画化も実現しました。コンテンツが「コスト」ではなく「資産」になった好例と言えます。

土屋鞄製造所——「つくり手」を語り会員100万人を集めた

土屋鞄製造所 公式サイトのトップページ
出典:土屋鞄製造所 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

土屋鞄製造所は、職人という「つくり手」の物語で世界観を築いた事例です。革製品メーカーでありながら、商品スペックより作り手の想いや使い手の暮らしを丁寧に発信しています。

メルマガ・カタログ・オウンドメディアをすべて内製し、細部までブランドの空気を統一しました。その積み重ねがファンを育て、会員数は100万人を超えています(出典:YUIDEA)。

中小企業にとってのヒントは「内製で世界観を守る」姿勢にあります。外注に頼り切らず、自社の言葉で語ることが、模倣されにくい強みを生みます。

無印良品 くらしの良品研究所/IDEA PARK——顧客の声を商品改善に変えた

無印良品「くらしの良品研究所」のトップページ
出典:無印良品「くらしの良品研究所」 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

無印良品の「くらしの良品研究所」は、メディアを商品開発の入口にした事例です。なかでも「IDEA PARK」とは、顧客の要望やアイデアを集める参加型の仕組みのことです。

ここに寄せられる声は、週150件・年間8000件あまりにのぼります。2年間で要望は1万件を超え、その声をもとに200点以上の商品が見直されました出典:日経クロストレンド)。

発信を一方通行で終わらせず、顧客との共創に変えた点が学びです。読者の声は、次のコンテンツと商品の両方を育てる一次情報です。

SUUMOタウン(リクルート)——あえてKPIを追わない街エッセイ

SUUMOタウンのトップページ(街エッセイ一覧)
出典:SUUMOタウン 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

SUUMOタウンは、数値目標をあえて設けないという珍しい成功事例です。リクルートが運営し、書き手が街への愛着を語るエッセイを中心に据えています。

KPIを追わない代わりに、読者の心を動かす記事が拡散を生みました。街の名前での検索でも上位に表示され、2019年には書籍化も実現しています(出典:リクルート)。

すべてのメディアが数字を追うべきとは限りません。「ブランドへの好意を育てる」という目的なら、KPIを手放す判断も戦略です。

【BtoB・リード獲得型】オウンドメディアの成功事例4選

BtoBのリード獲得型は、専門性で信頼を積み上げ、問い合わせや商談につなげる手法です。共通するのは「製品をすぐ売り込まない」姿勢にあります。読者の課題解決を先に行い、結果として選ばれる仕組みをつくっています。

ここでは、成果が明確な4社を取り上げます。

BtoB・リード獲得型 4社の目的・特徴・成果

メディア(運営)運営目的コンテンツの特徴主な成果
サイボウズ式
(サイボウズ)
認知・ブランディング製品PRをしない働き方メディア月100万PV超
経営ハッカー
(freee)
会計領域の集客基盤税理士・会計士の監修で信頼担保月100万PV超
SmartHR Mag.
(SmartHR)
リード獲得・育成SEO/専門家解説/顧客事例の3層設計累計2,000万閲覧・月数百件のリード
knowledge
(ベイジ)
受注・指名獲得濃いノウハウで営業を代替年400〜500件の問い合わせ

サイボウズ式——「製品PRしない」方針で月100万PV

サイボウズ式のトップページ
出典:サイボウズ式 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

サイボウズ式は、「製品の宣伝につなげない」という方針を貫いたBtoB事例です。2012年に始まり、働き方やチームワークをテーマに月間100万PVを超える規模へ成長しました(出典:SELECK)。

すぐに製品を売らないからこそ、企業姿勢への信頼が積み上がります。その信頼は、認知・採用・ブランディングの三方向に波及しました。「売らない勇気」がBtoBで効くことを示した先駆けです。

経営ハッカー(freee)——専門家監修で会計ソフトの集客基盤に

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出典:経営ハッカー(freee) 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

経営ハッカーは、freeeが運営する「経営×テクノロジー」のメディアです。会計や税務など専門性の高いテーマを、税理士や会計士の監修で発信しています。

広告費が高騰しがちな会計ソフト市場で、早くからコンテンツに投資しました。その結果、月間100万PV超の集客基盤を築き、顧客獲得コストの圧縮につなげています(出典:プロモニスタ)。

専門家の監修は、情報の信頼性を担保する有効な一手です。生成AIに引用される情報源になるうえでも、監修体制は強みと言えます。

SmartHR Mag.——3層設計で累計2000万閲覧・月数百件のリード

SmartHR Mag.のトップページ
出典:SmartHR Mag. 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

SmartHR Mag.は、コンテンツを役割で3層に分けて設計した事例です。2016年に始まり、約1000記事で累計2000万閲覧を超えました(出典:はてなビジネスブログ)。

3層とは、検索接点をつくるSEO記事、信頼を築く専門家解説、導入を後押しする顧客事例の3つです。それぞれの役割を明確にしたことで、月に数百件のリード獲得へ結びついています。

「すべての記事を同じ目的で書かない」設計は、中小企業にも応用できます。記事ごとに担う役割を決めると、運用の迷いが減ります。

ベイジ knowledge——記事が営業を代替し年400〜500件の問い合わせ

ベイジのオウンドメディア『knowledge / baigie』のトップページ
出典:ベイジ「knowledge / baigie」 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

ベイジの「knowledge / baigie」は、記事が営業の役割を担った事例です。2011年から運営し、年間400〜500件の問い合わせを獲得しています(出典:ベイジ)。

商談化に至る有効案件の50〜60%に、SNSが起点として関わっているといいます(出典:ホットリンク)。「伝わる提案書の書き方」という記事は、単体で約70万PVを集めました。「この記事で知った」と指名で問い合わせが入ることもあります。

深く濃いノウハウは、それ自体が営業資料として働きます。質の高い1本が、何人もの営業より強く語る場面が出てきます。

【採用・カルチャー型】オウンドメディアの成功事例3選

採用・カルチャー型は、働く人や現場をそのまま見せて共感する人材を引き寄せる手法です。求人広告では伝わらない「中の空気」を発信し、応募や認知に直結させています。ここでは成果が明確な3社を紹介します。

「人」を主語にしている点が、3社に共通する特徴です。

採用・カルチャー型 3社の成果

メルカン(メルカリ)

認知率ほぼ100%

国内新入社員/累計2,200記事超

ジモコロ(イーアイデム)

応募者の約10%

求人応募者のうち読者が占める割合

LIGブログ(LIG)

月最大800万PV

検索上位を取りほぼ100%受託へ

メルカン(メルカリ)——新入社員の認知率ほぼ100%

メルカリの採用オウンドメディア「メルカン」のトップページ
出典:メルカン(メルカリ) 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

メルカンは、メルカリの社員が自社の今を語る採用メディアです。2016年に始まり、累計2200記事を超える発信を続けています。

社員の言葉で文化や働く姿を伝えた結果、国内の新入社員の認知率はほぼ100%に達しました(出典:mercan)。採用だけでなく、ブランディングや社内コミュニケーションにも効果が広がっています。

「人を通じて会社を語る」発信は、共感の質を高めます。働く姿が想像できると、応募者の納得感が生まれます。

ジモコロ(イーアイデム)——求人応募者の約1割が読者

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出典:ジモコロ(イーアイデム) 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

ジモコロは、求人サービスのアイデムが運営する「地元」メディアです。数値目標をあえて立てない方針で、5年以上の運営を続けてきました。

それでも成果は明確です。求人への応募者のうち、約10%がジモコロの読者だったと報告されています(出典:オウンドメディア戦略ラボ by はてな)。面白い読み物が、結果として応募の入口になりました。

数字を追わずに熱量を追ったことが、長く続いた理由です。続けられる運営設計こそ、採用メディアの土台になります。

LIGブログ——月500万PVで「ほぼ100%受託」を実現

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出典:LIGブログ(株式会社LIG) 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

LIGブログは、Web制作会社が自社メディアで集客を完結させた事例です。月間最大800万PV、近年も500万PV規模を維持しています(出典:株式会社LIG)。

「Web制作会社」などの検索で上位を取り、問い合わせが安定して入る状態をつくりました。その結果、営業をかけずほぼ100%受託で制作できる体制に近づいています。

発信が営業チャネルそのものになると、事業の安定度が大きく変わるのです。一度積み上げた資産は、長期にわたって働き続けます。

【海外】桁違いのスケールに学ぶオウンドメディアの成功事例2選

海外の成功事例は規模こそ桁違いですが、考え方は中小企業にも応用できます。共通するのは「広告主ではなくメディア企業のように振る舞う」発想です。ここでは象徴的な2社を押さえておきましょう。

スケールの裏にある「姿勢」に注目してください。

海外・スケール型 2社の象徴的な数字

Red Bull

売上 約100億ドル

2007年に独立メディア組織「Red Bull Media House」を設立。商品より体験を主役にした発信で2024年に約100億ドル規模へ。

HubSpot

日本語ブログ1,000記事超

「インバウンドマーケティング」という概念ごと市場を創出。関連語を網羅するトピッククラスター設計で検索の信頼を獲得。

Red Bull——飲料会社が「メディア企業」になった

Red Bull Media House 公式サイトのトップページ
出典:Red Bull Media House 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

Red Bullは、飲料会社でありながらメディア企業として振る舞う事例です。2007年に独立した制作組織「Red Bull Media House」を設立し、スポーツや冒険の高品質なコンテンツを発信しています。

2012年の成層圏ダイブ企画はライブ配信で世界の注目を集め、ブランドの象徴になりました。2024年には売上が約100億ドル規模に達したと報じられています(出典:Squeeze Growth)。

「商品を売る前に、楽しませる」という姿勢が徹底されています。発信の主役を商品ではなく読者の体験に置く考え方は、規模を問わず学べます。

HubSpot——「インバウンド」という概念ごと市場をつくった

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出典:HubSpot 日本語ブログ 公式サイト(2026年6月時点のスクリーンショット)

HubSpotは、「インバウンドマーケティング」という概念ごと市場を育てた事例です。インバウンドとは、広告で追いかけるのではなく、役立つ情報で見つけてもらう考え方を指します。

自社ブログで膨大なノウハウを発信し、関連語をまとめて網羅する設計で検索の信頼を獲得しました(出典:才流)。発信が、そのまま自社製品の価値を証明する役割を果たしています。

自社の思想を体現する発信は、最強の営業資料と言えます。語る内容と提供する価値が一致すると、説得力が生まれます。

成功事例に共通する6つの勝ちパターン

ここが本記事の核心です。タイプや規模が違っても、成功事例には共通する考え方が見られます。売り込まないことを筆頭に、6つの勝ちパターンとして整理しました。自社に取り入れやすい順に見ていきましょう。

すべてを一度に満たす必要はありません。1つずつで構いません。

成功事例に共通する6つの勝ちパターン

1:売り込まない——読者の課題解決を最優先する

最大の共通点は「すぐに売り込まないこと」です。サイボウズ式も経営ハッカーも、製品の宣伝より読者の課題解決を優先しました。信頼が先、販売は後という順番です。

読者は売り込みを敏感に察知します。役立つ情報を惜しみなく出す姿勢が、結果として指名や問い合わせを呼び込みます。

2:独自の世界観と編集力でファンをつくる

成功事例は、他社が真似しにくい世界観を持っています。北欧、暮らしの道具店やSUUMOタウンは、独自の編集力でファンを育てました。

世界観は、自社の価値観を言葉と写真で一貫させることから生まれます。発信のトーンが揃うと、読者は「らしさ」を感じ取ります。

3:専門家監修などで信頼性を担保する

情報の信頼性を担保する仕組みも、成功の共通点です。経営ハッカーは税理士や会計士の監修で、SmartHR Mag.は専門家解説で信頼を築きました。

信頼性は、生成AIに引用される情報源になるうえでも欠かせません。出典の明記や監修体制は、これからの発信でますます効いてきます。

4:2〜3年の長期視点とトップのコミットを持つ

成功事例の多くは、長期で運営を続けています。検索やAIからの集客は、半年から1年で兆しが見え、本格的な成果は2〜3年で表れることが一般的です。

短期で結果を求めると、芽が出る前にやめてしまいます。経営層が長期視点を共有し、続ける覚悟を持つことが土台になります。

5:EC・SNS・採用など他チャネルと掛け合わせる

メディア単体で終わらせず、他チャネルと掛け合わせる点も共通します。北欧、暮らしの道具店はECやアプリ、動画と連動し、ベイジはSNSと組み合わせて商談を生みました。

発信は、点ではなく面で設計すると効果が増します。SNSで広げ、自社サイトに蓄積する流れが基本形です。

6:目的とKPI(または追わない判断)を最初に決める

最後の共通点は、目的とKPIを先に決めていることです。リード獲得が目的なら問い合わせ件数を、ブランディングが目的なら指名検索や再訪を見ます。

一方で、SUUMOタウンのように「あえて追わない」判断も戦略です。大切なのは、何を成功とするかを最初に言語化しておくことです。

失敗・撤退事例に学ぶ——なぜオウンドメディアは閉鎖されるのか

成功事例だけを見ると、つまずきの原因が見えません。実際には、閉鎖や更新停止に至るメディアも多く存在します。失敗の典型は、目的の曖昧さと早すぎる撤退です。回避策とセットで確認しましょう。

先回りで知っておくと、同じ轍を踏まずにすみます。

オウンドメディアの成果タイムライン目安

0〜3か月:立ち上げ期

記事の蓄積を開始。検索評価はまだ付かず、成果はほぼ出ない時期です。

6〜12か月:兆しが見える

検索やAIからの流入に動きが出始め、問い合わせの芽が見えてきます。

2〜3年:本格的な成果

記事が資産として働き、安定した集客・指名・採用につながります。

最も多い失敗:時期尚早な撤退

立ち上げ3〜6か月で「売上にならない」と広告と同じ基準で判断され、芽が出る前に止めてしまうパターンです。成果が出るまでの期間を、始める前に社内で合意しておきましょう。

閉鎖が相次いだ背景と典型的な失敗パターン

2019年前後には、企業オウンドメディアの閉鎖が相次ぎました。「みんなのごはん」(ぐるなび)や「カンパネラ」(アサヒビール×日経BP)などが、更新停止や閉鎖に至っています(出典:Web幹事)。

典型的な失敗パターンは3つあります。目的が曖昧なまま始めること、検索アルゴリズムの変動でPVが急落すること、担当者が本業に追われて更新が止まることです。いずれも、事前の設計で防げる余地があります。

「時期尚早な撤退」を防ぐ成果タイムラインの目安

最も多い失敗は、成果が出る前に撤退することです。立ち上げから3〜6か月で「売上にならない」と判断され、広告と同じ基準で予算を切られてしまいます(出典:ナイル SEO HACKS)。

オウンドメディアは、広告のような即効性を前提にしていません。半年から1年で兆しを見て、2〜3年で資産化するものです。この時間軸を、始める前に経営層と合意しておくことが回避策になります。

中小企業が「小さく長く続ける」ための現実解

中小企業に向いているのは、大きく始めるより小さく長く続ける運営です。専任チームがなくても、月数本から始め、社内の知見を記事化していけば資産は積み上がります。

私たちの支援現場でも、最初は月2〜4本から始める企業が多くいらっしゃいます。続けられる本数に絞ることが、結果的に最短の道です。無理のない設計こそ、失敗を避ける最大の対策です。

成功事例を自社の発信に活かす——今日からできる5つのチェック

最後に、事例を自社の一歩につなげる視点をまとめます。一度に全部をまねる必要はありません。自社の強みを資産に変えることが目的です。蓄積型発信の考え方で、5つのチェックを確認しましょう。

一時的なバズではなく、長く働く資産を育てる視点が鍵です。

自社の発信に活かす 5つのチェック

自社の「成功の定義」を1つに絞れているか

最初のチェックは、成功の定義を1つに絞れているかです。集客・リード・採用・ブランディングのどれを主目的にするかで、作る記事も測る数字も変わります。

欲張ってすべてを狙うと、どれも中途半端になりがちです。まずは1つに絞り、軸を定めることをおすすめします。自社の課題に直結する目的から始めてください。

社内に眠る知見・一次情報を棚卸しできているか

次のチェックは、社内の一次情報を棚卸しできているかです。一次情報とは、自社だけが語れる現場の事実や数字のことです。例えば、顧客からよく受ける質問や、自社の事例データがあたります。

成功事例の多くは、この一次情報を強みにしていました。生成AIに引用される時代だからこそ、独自の事実は大きな価値を持ちます。まずは社内に眠る知見を書き出してみましょう。

無理なく続けられる本数と体制になっているか

最後のチェックは、続けられる本数と体制になっているかです。失敗の多くは、更新が止まることで起きます。背伸びした計画は、息切れの原因です。

月2本でも、2年続ければ48本の資産です。担当者が一人でも回る設計を先に決めることが、長く続ける秘訣です。続く仕組みが、最終的な成果を決めます。

オウンドメディアの始め方はオウンドメディアの立ち上げ手順で、戦略設計はオウンドメディア戦略の立て方で詳しく解説しています。メリットの全体像はオウンドメディアのメリット7つもあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. オウンドメディアの成功事例に共通する要素は何ですか?

最大の共通点は「すぐに売り込まないこと」です。読者の課題解決や世界観を優先し、信頼を積み上げてから商品やサービスにつなげています。加えて、独自の編集力、専門性による信頼の担保、2〜3年の長期視点、他チャネルとの掛け合わせも多くの成功事例に共通します。

Q2. 中小企業でも大手のような成功事例を再現できますか?

規模をそのまま再現する必要はありません。むしろ専門性や経営者・担当者の人柄を活かせる中小企業に向いた手法です。月数本から無理のない本数で始め、社内に眠る一次情報を記事化していけば、小さくても長く効く資産になります。

Q3. オウンドメディアの成功には何年くらいかかりますか?

一般に、検索やAIからの集客は半年から1年で兆しが見え、本格的な成果は2〜3年の継続運用で表れることが多いです。立ち上げ3〜6か月で広告と同じ費用対効果を求めて撤退するのが、最も多い失敗パターンです。成果が出るまでの期間を、社内で先に合意しておくことをおすすめします。

Q4. オウンドメディアが失敗・閉鎖する主な原因は何ですか?

目的が曖昧なまま始めること、成果が出る前に撤退すること、担当者が本業に追われて更新が止まることが代表的な原因です。検索アルゴリズムの変動でPVが急落し、コストを回収できないと判断され、閉鎖に至るケースも見られます。先に目的と継続体制を固めることが回避策になります。

Q5. SNSとオウンドメディアはどちらを優先すべきですか?

役割が異なるため、どちらか一方ではなく組み合わせが基本です。SNSは拡散と接点づくりに強く、オウンドメディアは検索やAIから見つけられる資産になります。SNSは借り物の場で投稿が流れていきますが、自社サイトに積んだコンテンツは長く残ります。まず資産が積み上がるオウンドメディアを軸に置く考え方が、中長期では効果的です。

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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