ゼロ高等学院のビジネスモデル|中小企業の発信に活かせる3つの教訓

発信戦略と仕組み化

「ゼロ高等学院のビジネスモデルって、結局どうやって成り立っているのだろう」。発信の仕事をしていると、話題の事業の仕組みが気になる場面は少なくありません。

結論からお伝えします。ゼロ高等学院のビジネスモデルは、知識ではなく「行動の機会」を価値として届ける設計だと読み解けます。その参加に対して、継続的に対価を得る仕組みです。そして土台を支えているのが、日々の発信にほかなりません。ここに、業種を越えて中小企業の発信担当者が学べる点が詰まっているのです。

本記事では、まずゼロ高等学院の概要を押さえます。続いてビジネスモデルを構成する3つの要素、発信が果たす役割を見ていきましょう。最後に、自社に持ち帰れる3つの教訓を整理します。事例として読み解くことで、明日からの発信のヒントになれば嬉しく思います。

他社の事例を「自社の発信」に活かす視点
注目の事例
ゼロ高等学院の
ビジネスモデル
>
構造を分解
提供価値・収益・
発信の役割
>
自社へ転用
発信に活かせる
3つの教訓
業種が違っても、価値の見せ方と発信の使い方には共通点があります。

ゼロ高等学院とは——「行動」を軸にした学びの場

ゼロ高等学院とは、実業家の堀江貴文さんが立ち上げた、行動と実践を重視する学びの場です。教科書の暗記ではなく、生徒が実際に挑戦することを学習の中心に置いている点が、大きな特徴です。一般的な高校とは、学びの設計思想そのものが異なるわけです。

ビジネスモデルを読み解くうえで、まずはこの立ち位置を押さえておきましょう。何を学びの中心に据えているかが分かると、後で見る収益や価値提供の仕組みがすっと理解できます。「行動を売る」という発想こそ、すべての出発点です。

通信制高校と連携した「行動」中心のプログラム

ゼロ高等学院は、連携する通信制高校に在籍しながら、独自の体験型プログラムに参加する仕組みとされています。高校卒業資格そのものは連携先の課程を通じて取得し、ゼロ高は「行動の機会」を担う。この役割分担が一つ目のポイントです。

通信制高校とは、毎日通学せずに高校卒業資格を目指せる学校のことです。例えば、レポート提出やオンライン学習を中心に学び、決められた日数だけ通うスタイルが挙げられます。

ゼロ高はその上に、起業家へのプレゼンや事業体験といった「行動」を重ねていきます。学ぶ対象が「正解のある問題」ではなく「正解のない挑戦」である点が、従来の教育サービスとの違いです。

なぜ中小企業の発信担当者が事例として学ぶ価値があるのか

教育事業と中小企業の発信は、一見すると遠い世界に見えます。しかし、提供価値の作り方や発信の使い方には、驚くほど多くの共通点が潜んでいます。

多くの企業様が、自社の強みをどう伝えるかで悩まれます。ゼロ高等学院は「行動できる場」という価値を明快に打ち出し、それを発信で見せ続けてきました。この構造は、規模や業種を問わず参考になります。

私自身、中小企業の発信を支援する中で「価値が言葉になっていない」場面に何度も出会ってきました。だからこそ、価値の見せ方が際立つ事例は、丁寧に分解する意味があると考えています。

ゼロ高等学院のビジネスモデルを3つの要素で読み解く

ゼロ高等学院のビジネスモデルは、提供価値・収益構造・差別化の3要素で整理できます。誰に何を届け、どう対価を得て、なぜ選ばれるのか。この3点を分けて見ると、事業の輪郭がくっきりとつかめます。

そもそもビジネスモデルとは、誰にどんな価値を届け、どのように収益を得るかを示す事業の設計図のことです。例えば、提供価値・収益の得方・他社との違いを一枚に整理したものを指します。難しく考える必要はありません。自社の発信を考えるときにも、そのまま使える便利な視点です。以下、3つの要素を順番に見ていきましょう。

ビジネスモデルを読み解く3つの要素
提供価値
「行動の機会」を売る
知識ではなく、実社会に挑戦し本物の助言を得られる場そのものを価値として届ける。
収益構造
参加への継続的な対価
単発販売ではなく、在籍・参加が続く期間に応じて関係と収益が積み上がる。
差別化
創業者の発信と人脈
著名な実業家が前面に立ち、自らの言葉と信頼がそのまま集客装置として働く。

提供価値:知識ではなく「行動の機会」を売る

ゼロ高等学院が届けている中心的な価値は、知識そのものではなく「行動の機会」です。生徒が実社会の課題に挑み、第一線の実業家から直接フィードバックを受けられる環境に、対価が支払われていると読み解けます。

実際に公開されているコラボ動画では、生徒が事業アイデアをプレゼンする様子が見られます。私が視聴した落語とコラボした蕎麦屋を提案する動画では、高校生のアイデアに堀江さんが具体的に切り返していました。再生数は十数万回に達し、行動の中身が外部にも伝わる形になっています。

外国人向けツアーガイドの収益化を相談する動画も同様でした。生徒が考えた事業を、本物の事業家の目線で磨いていく。この「挑戦と実践の場」こそが、ゼロ高の売り物だと言えます。

知識だけなら、いまは無料の動画でも手に入る時代です。だからこそ、安全に挑戦して本物のフィードバックをもらえる環境にこそ、価値が宿るのです。希少なのは情報ではなく、行動できる場のほうだという発想が根底にあります。

収益構造:在籍・参加に対して継続的に対価を得る

収益の柱は、プログラムへの在籍・参加に対する継続的な対価だと考えられます。一回きりの商品販売ではなく、参加し続ける期間に応じて関係が続く。この継続性が事業の安定を生み出します。

ここで中小企業の発信担当者に注目してほしいのが、継続課金の発想です。単発の取引で終わらず、関係が積み重なるほど価値が増す。これは発信における「蓄積」の考え方と、根っこでつながっています。

一時的な話題で集めた関心は、時間とともに消えていきます。継続して関わる理由を設計できるかどうかが、事業でも発信でも分かれ目です。

差別化:創業者の発信とネットワークが集客装置になる

ゼロ高等学院の最大の差別化要因は、創業者である堀江さんの発信力とネットワークです。著名な実業家が前面に立ち、自らの言葉で語ることが、そのまま信頼と集客の源泉になっています。

株式会社ZERO EDUCATION&ARTSの事業紹介動画のように、運営体制や狙いが外部に発信される機会も設けられてきました。事業の中身を見える化する姿勢が、検討者の安心材料になるわけです。

著名な人が自分の言葉で語ると、広告では届かない説得力が生まれます。「この人が本気で取り組んでいる」という事実が、そのまま信頼へと変わるからです。発信者の存在そのものが、ほかにはない差別化要因として働いています。

ただし、この知名度という前提は、そのまま他社が再現できるものではありません。この点は記事の後半で改めて触れます。

ビジネスモデルを支える「発信」の役割

ゼロ高等学院の事例で最も見逃せないのが、発信が事業の土台そのものになっている点です。動画やコンテンツが、サービスの中身を伝え、信頼を積み上げる装置として機能します。単なる宣伝の道具ではありません。

発信を「広告の代わり」と捉えるか、「事業の一部」と捉えるか。ここに大きな差が出ます。前者は予算が尽きれば止まりますが、後者は積み上がるほど効いてきます。中小企業の発信を考えるうえでも、この捉え方の違いは決定的です。次の2つの観点から、発信の役割をほどいていきましょう。

コンテンツが「サービスの体験版」になっている

公開されている動画の多くは、プログラムの中身を疑似体験できる「体験版」として機能しています。入学を検討する人は、動画を通じて「ここで何が起きるのか」を事前に確かめられます。文章で説明するより、はるかに伝わりやすいかたちと言えます。

私が印象に残ったのは、生徒の挑戦に密着した「ゼロ高情熱大陸」と題された動画でした。飲食店経営者を志す生徒の行動を追う構成で、サービスの空気感がそのまま伝わってきます。

パンフレットの説明文よりも、こうした記録のほうが雄弁です。発信そのものが、申し込み前の不安を取り除く役割を担うのです。

創業者の言葉が信頼とブランドを蓄積していく

創業者が継続的に発信する言葉は、一本ずつブランドの信頼として積み上がっていきます。一度きりの宣伝では生まれない、人格に紐づいた説得力がそこにあります。

これはまさに、ハッシンラボが大切にしている蓄積型発信の考え方です。一時的なバズではなく、長期的に価値を積み重ねる発信が、企業の資産になります。発信の順番に迷ったときは、発信活動を進める順番の整理も参考になります。

SNSで拡散される注目は、時間が経てば流れて消えます。けれど、積み上げた言葉とコンテンツは、後から検索やAIに見つけられる資産として残り続けるのです。

発信が生む「信頼の循環」
1
発信する
>
2
体験版として届く
>
3
信頼が蓄積する
>
4
新たな参加者が集まる
この循環がまた次の発信につながる = 積み上がるほど効いてくる蓄積型発信

中小企業の発信に活かせる3つの教訓

ここが本記事の中心です。中小企業の発信担当者がそのまま自社に持ち帰れる学びを、3つに整理しました。

3つとは「価値の言語化」「発信を体験の入口にする」「個人の言葉の資産化」です。どれも特別な予算や知名度がなくても始められます。私が日々支援している現場でも、この3点を押さえた企業様ほど発信が長続きしている実感があります。逆に言えば、ここが抜けると発信は途中で息切れしがちです。自社の発信に置き換えながら、読み進めてみてください。

教訓1:自社の「提供価値」を一言で言語化する

一つ目の教訓は、自社が届けている価値を一言で言い切ることです。ゼロ高が「行動の機会」と価値を明快にしたように、提供価値が言葉になっていると、発信の軸がぶれません。

多くの企業様が、商品の機能やスペックばかりを並べてしまいがちです。お客様が本当に受け取っている価値は何か。そこを一文で表せるかどうかが、発信の出発点になります。

例えば「印刷会社」ではなく「販促の悩みを丸ごと引き受ける会社」と言い換える。価値の言語化が、発信するテーマを自然に決めてくれるのです。

教訓2:発信を「集客の道具」ではなく「体験の入口」にする

二つ目の教訓は、発信をサービスの体験入口として設計することです。ゼロ高の動画が体験版になっていたように、コンテンツ自体が「中身を見せる場」になると、申し込み前の不安が和らぎます。

具体的には、お客様の声、現場の様子、実際の作業工程などを発信に織り込みます。売り込む前に「ここに頼むとどうなるか」を見せる。これが信頼への近道です。

私が支援した企業様でも、商品紹介より「現場の裏側」を見せた記事のほうが反応が伸びました。発信は、買ってもらうための説得ではなく、安心して選んでもらうための体験です。

教訓3:個人の言葉を会社の資産に変える仕組みを持つ

三つ目の教訓は、特定の個人の言葉を、会社の資産へと変える仕組みを持つことです。創業者頼みのままでは、その人が動けなくなったときに発信が止まってしまいます。

社長や担当者の語りを、記事やコンテンツとして自社サイトに蓄積していく。そうすれば、個人の知見がいつでも引き出せる会社の財産に変わります。属人化を、仕組みで資産化に変えていく発想です。

蓄積した一次情報は、検索エンジンだけでなく生成AIにも引用されやすくなります。AIに引用される情報源を持つことは、これからの発信で見過ごせない視点です。

中小企業の発信に活かせる3つの教訓
教訓1
提供価値を一言で言語化
自社が届けている価値を一文で言い切る。
例:印刷会社→販促の悩みを引き受ける会社
教訓2
発信を体験の入口にする
売り込む前に現場や工程を見せて安心を届ける。
例:お客様の声・作業の裏側を公開
教訓3
個人の言葉を資産化する
社長や担当者の語りを自社サイトに蓄積する。
例:属人化を仕組みで会社の財産に

事例から学ぶときの注意点——そのまま真似ない

有名な事例には、見えにくい前提条件があります。多くの企業様が「成功例の真似」でつまずくのは、この前提の見落としです。

表面の施策だけをなぞっても、同じ成果は再現できません。大切なのは、自社で再現できる「構造」と、再現できない「前提」を切り分けること。ここを混同すると、せっかくの学びが空回りしてしまいます。私自身、他社の成功例を安易に持ち込んで遠回りした経験があります。同じ遠回りを避けるためにも、確認したい注意点を2つの角度からお伝えします。

事例から「学ぶこと」と「切り分けること」
真似できる = 構造
提供価値を一言で言語化する
発信をサービスの体験入口にする
個人の言葉を資産化する仕組み
真似できない = 前提
創業者の高い知名度
すでに築かれたネットワーク
大きな発信リソースと体力
構造を学び、前提は自社の強みに置き換える

創業者の知名度という前提を切り分ける

ゼロ高等学院の集客力は、創業者の高い知名度という前提に支えられています。同じ発信をしても、知名度がない状態では同じ結果は得られません。ここを冷静に切り分ける必要があります。

大切なのは、知名度そのものを真似ることではありません。「価値を明快にする」「発信を体験の入口にする」という構造を学ぶことです。構造は、知名度がなくても応用できます。

中小企業には、地域での信頼や顧客との近さという別の強みがあります。借り物の派手さではなく、自社にしかない強みを軸に発信を組み立てましょう

自社の体力に合う範囲で「蓄積」を設計する

蓄積型発信は強力ですが、無理な本数で始めると続きません。自社の体力に合う範囲で、続けられる仕組みを設計することが現実的です。

例えば、最初は月2本から始め、社内に眠る知見を一つずつ記事化していく。継続できるペースを守ることが、結果的に最短の資産化につながります。発信に使えるAIの活用法は、AIプロンプトの使い方も参考になります。

一気に成果を求めず、半年後・1年後に効いてくる資産を積む。この長期視点こそ、ゼロ高の事例から私たちが受け取るべき本質だと捉えています。

よくある質問(FAQ)

ゼロ高等学院は高校卒業資格が取れるのですか?

ゼロ高等学院は、連携する通信制高校に在籍しながら独自の体験型プログラムに参加する仕組みとされています。高校卒業資格は連携先の通信制高校の課程を通じて取得する形が基本です。詳細な要件は公式情報のご確認をおすすめします。

ビジネスモデルとは何を指す言葉ですか?

ビジネスモデルとは、誰にどんな価値を届け、どのように収益を得るかを示す事業の設計図のことです。例えば、提供する価値・収益の得方・他社との違いを一枚に整理したものを指します。自社の発信を考える際にも役立つ視点です。

教育事業の事例を中小企業の発信に活かせるのですか?

活かせます。業種が違っても、提供価値の言語化や発信をサービスの入口にする考え方は共通します。本記事では教育事業という前提を切り分けたうえで、自社に持ち帰れる教訓を3つに整理しました。

有名な事例をそのまま真似てもうまくいきますか?

そのままの再現は難しい場合が多いです。成功事例には創業者の知名度や既存のネットワークなど、見えにくい前提が含まれます。前提を切り分け、自社の体力に合う範囲で蓄積型の発信に置き換えることが現実的です。

発信を会社の資産にするには何から始めればよいですか?

社内に眠る知見を一つずつコンテンツ化し、自社サイトに蓄積することから始めます。社長や担当者の語りを記事として残せば、個人の知見が会社の財産に変わります。続けられる本数で運用することが、長く効く資産づくりの鍵です。詳しくはハッシンラボ Premiumの使い方ガイドもご覧ください。

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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