「発信したいけれど、写真や動画の素材を作る手間がない」。中小企業の発信担当者から、よくいただくお悩みです。撮影も編集も、コストがかかりますよね。実は、その素材を顧客に作ってもらった会社があります。
アクションカメラの「GoPro」です。同社は、自社で派手な広告を撮るのをやめました。代わりに、ユーザーが撮った映像を集め、それを宣伝素材にしたのです。これが「UGC」、つまり顧客が自ら作って投稿するコンテンツの活用です。世界中から、コストをかけずに最高の素材が集まりました。
本記事では、GoProが何をしたのか、なぜ素材が集まったのかを分解します。あわせて、中小企業がコストゼロに近くUGCを集める手順まで整理しました。「素材づくりに困らない」発信のヒントになれば嬉しく思います。
中小企業のUGC活用ノウハウをハッシンラボで
この事例から中小企業が学べること
結論からお伝えします。学ぶべきは「顧客の投稿(UGC)が、最強の宣伝素材になる」という考え方です。自社で作るより、顧客が作った素材のほうが、信頼され、しかも安く集まるもの。
特別な撮影機材は要りません。むしろ、顧客との距離が近い中小企業ほど協力を得やすいはず。大切なのは、顧客が「投稿したい」と思う仕掛けを作ることです。私たちが発信を支援する現場でも、素材不足の解決策はUGCにあると感じています。
結論:顧客の投稿が宣伝素材とコストを変える
GoProが示したのは、「素材は作るより集める」という発想の転換です。多くの企業は、広告素材を自前で用意しようとします。しかし、撮影も編集も、お金と時間がかかるものです。
そこで効くのが、顧客の投稿を活かす方法。顧客が日々生み出す写真や動画は、宝の山です。それを集めて活用すれば、素材費はほぼゼロで済みます。しかも、リアルな投稿は広告より信頼されるのです。コストを下げながら、効果を高める。これがUGCの強みです。
なぜUGCが中小企業に効くのか
UGCは、今の中小企業にこそ向いています。理由は2つ。まず、素材づくりのコストと手間を大きく減らせること。次に、顧客との近い関係を活かせることです。
大企業は、莫大な予算で広告を量産できます。中小が同じ土俵で戦うのは、無理がある。一方、顧客に協力してもらうUGCなら、予算がなくても戦えます。顧客の声を素材に変える発想はファンベースの事例もご覧ください。
何をした会社か|GoProの「投稿を集める」仕組み
GoProは、小型のアクションカメラを作るメーカーです。激しいスポーツや旅の映像を、手軽に撮れるのが特徴です。この製品の特性こそ、UGCと相性抜群でした。
いったい、どんな仕組みを作ったのでしょうか。
自社で広告を撮るのをやめ、
ユーザーの投稿を宣伝素材に
チャレンジ企画とハッシュタグで、世界中のユーザーが撮った映像を集約。顧客の投稿(UGC)がSNS・TV広告の素材になり、素材費をかけずに最高の映像が集まりました。
ユーザーが撮った映像を集めるチャレンジ企画
GoProの代表的な取り組みが、「Million Dollar Challenge」です。これは、ユーザーが自分のカメラで撮った映像を募集する企画です。優れた投稿には、総額100万ドルの賞金が分配される仕組みです。
世界中のユーザーが、自慢の映像を続々と投稿。雄大な自然、迫力あるスポーツ、感動の瞬間。どれも、企業が撮ろうとすれば莫大な費用がかかる映像ばかり。それが、ユーザーの手で次々と集まりました。賞金という分かりやすい動機が、人々の投稿意欲に火をつけたのです。
ハッシュタグでコミュニティを育てる
GoProの発信は、賞金企画だけではありません。日常的にも、ハッシュタグでユーザーの投稿を促しています。「#GoPro」などのタグを通じて、ファン同士がつながる場を育てています。
ユーザーは、自分の映像が公式に紹介されることを誇りに思うもの。そこで、こぞって優れた映像を投稿するようになりました。GoProは、その中から良いものを選び、自社の発信に活用しました。ファンコミュニティそのものが、素材の供給源になったのです。
なぜ成果が出たのか|UGCが好循環を生む仕組み
GoProの成功には、明確な理由があります。顧客が自ら投稿したくなる仕掛けを作ったことです。その仕組みを分解してみましょう。
UGCが好循環を生む3つの仕組み
1. 投稿が広告素材に
ユーザーの映像がSNS・TV広告に。素材費をかけず最高の映像が手に入る。
2. 投稿が投稿を呼ぶ
公式紹介された人を見て他のユーザーも投稿。素材が湧き出る泉になる。
3. リアルが信頼される
利用者の生の映像は「本当にできる」証拠。作り込んだ広告より説得力がある。
顧客の投稿が広告素材になる
GoProの賢さは、集めた投稿を本格的に活用した点にあります。ユーザーの映像は、SNSの投稿だけでなく、テレビ広告の素材にもなりました。プロが撮ったかのような映像が、タダ同然で手に入りました。
考えてみてください。企業が世界中で撮影すれば、莫大な費用がかかるもの。しかしGoProは、ユーザーの投稿でそれを実現しました。素材費をかけずに、最高の映像を集める。この仕組みが、発信のコストを根本から変えたのです。
投稿が投稿を呼ぶ好循環
UGCには、自然に広がる力があります。自分の映像が公式に紹介されると、投稿者は大喜び。その姿を見た別のユーザーが、「自分も投稿したい」と思い始めます。
こうして、投稿が投稿を呼ぶ好循環が生まれます。GoProが煽らなくても、ユーザーが自発的に素材を作り続けます。一度仕組みを作れば、素材が湧き出る泉になる。これは、自前の撮影では決して得られない強みです。コミュニティが、勝手に成長していくのです。
リアルな映像が広告より信頼される
UGCの映像には、作り込んだ広告にはない力があります。それが、リアルさです。実際のユーザーが撮った映像は、「本当にこんなことができるんだ」という何よりの証拠。
人は、企業の宣伝より、他の利用者の声を信じるものです。完璧に演出された広告には、どこか身構えてしまうものです。一方、ユーザーの生々しい映像は、まっすぐ心に届くもの。リアルさが、最高の説得力になりました。信頼と素材を同時に得られる。これが、UGCの真価です。
数字で見る成果
GoProのUGC活用は、数字にもはっきり表れています。世界中から集まった投稿の規模に注目してください。
顧客の投稿が生んだ成果
Million Dollar Challenge(初回)
170カ国・4万件超
集まったユーザー投稿
7700万
投稿のインプレッション
1530万視聴
オーガニック視聴・TV広告にも活用
170カ国から4万件超の投稿が集まる
GoProのMillion Dollar Challengeには、世界中から投稿が殺到しました。初回には、170カ国から4万2千件を超える映像が集まったのです(出典:Modern Retail)。これだけの素材を自前で撮るのは、まず不可能でしょう。
しかも、その多くがプロ顔負けの品質です。GoProは、この中から選りすぐりを宣伝に活用しました。世界中のユーザーが、いわばGoProの撮影クルーになったのです。素材集めの常識を、根本から覆した数字といえます。
投稿が7700万インプレッション・1530万視聴を生む
集まった投稿は、大きな反響も生みました。Million Dollar Challengeの投稿は、合わせて約7700万インプレッションを記録。1530万のオーガニック視聴も生んでいます(出典:Media Shower)。広告費をかけずに、これだけの人に届いたのです。
投稿したユーザー自身が、家族や友人に映像を見せます。それが、さらなる拡散へとつながります。素材集めと拡散が、同時に起きる仕組みです。UGCは、発信のコストと効果を両立させた好例といえます。
顧客の投稿が集まる発信の型を一緒に学びませんか
中小企業が予算をかけずに素材を集める発想を、基礎から整理します。
自社に応用する|中小企業がUGCを集める3ステップ
ここからが本題です。賞金100万ドルは無理でも、UGCの仕組みは中小企業でも作れます。少額の特典と工夫で、素材は集まります。3つのステップに整理しました。
中小企業がUGCを集める3ステップ
1
投稿しやすいハッシュタグと企画を用意する
覚えやすい専用タグを決めて呼びかける。「○○フォトコンテスト」など参加しやすいテーマを。
2
少額の特典やリポストで参加を促す
賞金は不要。割引クーポンや「公式で紹介」でOK。「認められる喜び」が強い動機になる。
3
集まった投稿を許諾を得て活用する
良い投稿を自社SNSやサイトで紹介。使う前に必ず本人の許諾を取ることが鉄則。
STEP1:投稿しやすいハッシュタグと企画を用意する
最初の一歩は、投稿の入口づくりです。自社専用のハッシュタグを決め、「使った感想を投稿してください」と呼びかけましょう。覚えやすく、打ちやすいタグが理想的。
企画があると、さらに投稿が集まります。「○○フォトコンテスト」のような、参加しやすいテーマを設けましょう。大切なのは、顧客が「投稿してみようかな」と思える手軽さです。難しい条件をつけると、誰も参加しません。まずは気軽に投稿できる場を整えることが出発点です。
STEP2:少額の特典やリポストで参加を促す
次に、参加への動機を用意します。賞金は要りません。ささやかな特典で十分です。「投稿してくれた方に割引クーポン」「素敵な投稿は公式で紹介」。こうした見返りが、投稿の後押しになります。
特に効果的なのが、公式でのリポートです。自分の投稿が紹介されると、顧客は誇らしく感じます。お金をかけずとも、「紹介される喜び」は強い動機になります。GoProの賞金も、本質は「認められる喜び」でした。中小企業は、その喜びを丁寧に提供しましょう。
STEP3:集まった投稿を許諾を得て活用する
最後に、集まった投稿を発信に活かします。良い投稿を、自社のSNSやサイトで紹介しましょう。顧客のリアルな声は、どんな広告より信頼されるもの。これで、素材費をかけずに発信が充実します。
ただし、ここで必ず守るべきことがあります。投稿を使う前に、必ず本人の許諾を得ることです。詳しくは次の章でお伝えします。許諾さえ取れば、UGCは安心して使える素材の宝庫になります。ハッシュタグ活用についてはInstagramハッシュタグの活用法もご覧ください。
つまずきやすい点・注意点
最後に、始める前に知っておきたい注意点をお伝えします。UGCは強力ですが、権利の扱いと投稿のしやすさに気をつける必要があります。落とし穴を理解しておきましょう。
UGC活用の「失敗」と「工夫」
| やりがちな失敗 | うまくいく工夫 |
|---|---|
| 無断で投稿を広告に使う | 必ず本人の許諾を得る |
| 投稿の条件を難しくする | 手軽に参加できる形にする |
| 一度きりの企画で終わる | ハッシュタグで日常的に集め続ける |
投稿の利用は必ず許諾を得る
まず必ず守りたいのが、許諾の取得です。たとえ自社の商品が写っていても、投稿の著作権は撮影した本人にあります。無断で広告に使えば、トラブルのもとです。信頼を一気に失いかねません。
リポストや二次利用の前に、必ず本人へ確認を取りましょう。「公式で紹介してもいいですか」と一言添えるだけです。多くの場合、顧客は喜んで応じてくれます。丁寧な確認が、長く協力してもらえる関係を築きます。手間を惜しまないことが、安全なUGC活用の前提です。
投稿のハードルを下げる
もう一つの注意点が、投稿のしやすさです。参加の条件が複雑だと、誰も投稿してくれません。「指定の言葉を入れて、複数のタグをつけて」では、面倒で離脱されます。
大切なのは、できるだけ簡単にすることです。タグを一つつけるだけ、写真を一枚送るだけ。それくらい手軽にしましょう。GoProの企画も、投稿の方法はシンプルでした。参加のハードルを下げるほど、投稿は増えていきます。気軽さこそが、UGCを集める最大のコツです。発信の進め方に迷ったら、ハッシンラボ Premiumの無料相談もご活用ください。あわせてオウンドメディアの成功事例13選もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「UGC」とは何ですか?
UGCとは、User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略です。顧客やファンが自ら作って投稿した、写真や動画、口コミなどを指します。GoProは、ユーザーが撮った映像を集め、自社の宣伝素材として活用しました。企業が一方的に作る広告と違い、リアルで信頼されやすいのが特徴です。
Q2. 中小企業でも、UGCは集められますか?
集められます。GoProのような巨額の賞金は必要ありません。ハッシュタグを決めて投稿を呼びかけ、少額の特典やリポストで参加を促すだけでも始められます。大切なのは賞金の額ではなく、お客様が投稿したくなる仕掛けと、投稿しやすい手軽さです。
Q3. なぜ顧客の投稿は、広告より効果があるのですか?
企業の広告より、利用者のリアルな声のほうが信頼されるためです。他のお客様が実際に使っている様子は、何よりの証拠になります。GoProも、ユーザーの迫力ある映像が製品の魅力を雄弁に語りました。作り込んだ広告にはない説得力が、UGCの強みです。
Q4. どうすれば、顧客は投稿してくれますか?
投稿のきっかけと、ささやかな見返りを用意することです。専用のハッシュタグを決め、「投稿してくれたら紹介します」と呼びかけましょう。優れた投稿をリポストするだけでも、顧客は喜びます。少額のクーポンやプレゼントも有効です。投稿のハードルを下げ、参加を楽しくする工夫が鍵になります。
Q5. 顧客の投稿を使うとき、気をつけることは?
必ず投稿者の許諾を得ることです。たとえ自社の商品が写っていても、投稿の著作権は撮影した本人にあります。無断で広告に使うと、トラブルになりかねません。リポストや二次利用の前に、本人へ確認を取りましょう。誠実な対応が、長く協力してもらえる関係を作ります。
顧客の投稿を素材に変える仕組みづくりを一緒に考えます
何から始めればよいか分からない段階でも、現状に合わせてご相談いただけます。