「動画を作りたいけれど、立派なものは予算的に無理」。中小企業の発信担当者から、よくいただくお悩みです。大手のような制作費はかけられませんよね。でも、それは本当に不利なのでしょうか。
その思い込みを覆したのが、髭剃りのサブスク「Dollar Shave Club」です。同社は、制作費わずか約60万円の動画1本で起業を成功させました。公開からわずか48時間で、1.2万件もの登録が殺到したのです。武器は、予算ではありませんでした。企画力と社長の人柄でした。
本記事では、Dollar Shave Clubが何をしたのか、なぜ低予算で成功したのかを分解します。あわせて、中小企業が低予算動画を成果につなげる手順まで整理しました。「予算がなくても戦える」発信のヒントになれば嬉しく思います。
中小企業の動画・発信ノウハウをハッシンラボで
この事例から中小企業が学べること
結論からお伝えします。学ぶべきは「動画は予算でなく、企画力と人柄で勝てる」という考え方です。豪華な映像が、必ずしも成果を生むとは限りません。むしろ、鋭い企画と飾らない人柄のほうが、人の心を動かします。
特別な制作費は要りません。むしろ、社長の顔が見えやすい中小企業ほど向いています。大切なのは、見た人が「面白い」「この会社らしい」と感じる切り口です。私たちが発信を支援する現場でも、動画の成否は予算より企画で決まると感じています。
結論:予算より企画力・人柄・ユーモアが効く
Dollar Shave Clubが示したのは、「企画は予算を超える」という事実です。お金をかけた映像は、たしかに見栄えがします。しかし、見栄えと心に残るかどうかは別の話です。
人が動画を共有するのは、面白い、共感した、誰かに見せたい、と感じたときです。その引き金は、予算ではないのです。企画の鋭さや、語り手の人柄です。低予算でも、企画力があれば大手に勝てる。これが、中小企業にとって大きな希望になります。
なぜ低予算動画が中小企業に効くのか
低予算動画は、今の中小企業にこそ向いています。理由は2つ。まず、お金をかけずに始められること。次に、社長や社員の人柄を、そのまま武器にできることです。
大手は、洗練された広告を量産できます。しかし、洗練されすぎた映像は、どこか他人事に見えるものです。一方、中小の素朴で人間味ある動画は、親近感を呼びます。動画の発信についてはBeardbrandの動画活用の事例もご覧ください。
何をした会社か|Dollar Shave Clubの動画
Dollar Shave Clubは、髭剃りの替刃を定期的に届けるサービスです。創業は2012年。大手がひしめく髭剃り市場に、後発で挑みました。広告に大金を投じる体力は、当然ありません。
そこで打った一手が、1本の動画でした。いったい、どんな動画だったのでしょうか。
制作費約60万円の動画1本で
起業を成功させた
社長が出演する90秒のユーモア動画で勝負。予算でなく企画力と人柄、そして受け皿の設計で、公開48時間に1.2万件の登録を集めました。
社長が出演する90秒のユーモア動画
その動画は、社長のマイケル・ダビン氏が自ら出演するもの。倉庫を歩きながら、約90秒のユーモアたっぷりな語りを繰り広げます。「うちの替刃は最高だ」と、笑いを交えてまくし立てる内容です。
堅い商品説明は、一切ありません。代わりにあるのは、思わず笑ってしまう小気味よいトークです。視聴者は、商品より先に「この社長、面白い」と引き込まれます。プロの俳優ではなく、本人が語る。その素朴さが、かえって強い親近感を生んだのです。
制作費は約4500ドル(約60万円)
驚くべきは、その制作費です。この動画にかかった費用は、わずか約4500ドル。日本円にして、約60万円ほど。大企業のテレビCMとは、桁が何個も違います。
つまり、お金で勝負した動画ではありませんでした。勝負どころは、徹底して企画と演出に置かれていたのです。「一発の鋭い企画が、潤沢な予算に勝つ」。この事例は、それを鮮やかに証明しました。予算のなさを、企画力で補ったのです。
なぜ成果が出たのか|企画力が予算を超える仕組み
Dollar Shave Clubの成功には、明確な理由があります。予算ではなく、企画力で勝負したことです。その仕組みを分解してみましょう。
企画力が予算を超えた3つの理由
1. 社長の人柄とユーモア
主役は商品でなく社長。人は企業より「人」に惹かれる。本人の生の言葉が心に残る。
2. 課題を笑いに変える
「高い髭剃りにうんざり」を笑いで包む。共感×ユーモアが強い拡散力を生んだ。
3. 受け皿を先に用意
見た人がその場で登録できる仕組みを準備。話題を確実に成果へ変えた。
社長の人柄とユーモアで惹きつける
この動画の主役は、商品ではなく社長でした。彼の飾らない人柄と、テンポのよいユーモアが、視聴者を一気に引き込みます。完璧な広告ではなく、人間味あふれる語りが武器です。
人は、企業より「人」に惹かれるもの。誰が、どんな思いで語っているか。そこに親近感と信頼が生まれるのです。社長が自ら顔を出すのは、中小企業ならではの強みです。立派なナレーションより、本人の生の言葉。それが、心に残る動画を作りました。
課題を笑いに変える明快なメッセージ
動画のメッセージは、驚くほど明快なもの。「高い髭剃りに、もううんざりしていませんか」。多くの人が感じていた不満を、ずばり言い当てたのです。しかも、それを深刻にではなく、笑いに変えて見せたのです。
共感できる課題を、ユーモアで包む。この組み合わせが、強い拡散力を生みました。視聴者は笑いながら納得し、「面白いから誰かに見せたい」と感じます。共感とユーモアの掛け合わせが、企画の核にありました。メッセージが明快だからこそ、短い動画で伝わったのです。
バズの「受け皿」を先に用意していた
見落とされがちですが、これが決定的な一手。Dollar Shave Clubは、動画を見た人がその場で登録できる仕組みを用意していたのです。話題になっただけでは、売上になりません。受け皿があって初めて、関心が成果に変わります。
実際、動画への反響はすさまじく、初日にサーバーがダウンしたほどです。それでも、登録の導線が整っていたから、関心を逃しませんでした。バズる前に、受け止める準備をしておく。この設計が、爆発的な成果を支えたのです。
数字で見る成果
Dollar Shave Clubの低予算動画は、桁外れの成果を生みました。約60万円の投資が、何を生んだのかに注目してください。
低予算が生んだ桁外れの成果
約60万円の動画1本から
約60万円
動画の制作費(約4500ドル)
48時間で1.2万件
登録が殺到・初日サーバーダウン
10億ドル買収
2016年ユニリーバ・会員320万人
公開48時間で1.2万件の登録
動画の効果は、公開直後から爆発しました。YouTubeにアップしてから48時間で、約1.2万件の登録が殺到したのです(出典:OptiMonk)。商品を実際に見ないまま、クレジットカード情報まで入力した人々でした。
反響は、企業の想定をはるかに超えました。アクセスが集中し、最初の1時間でサーバーがダウンしたほどです。約60万円の動画が、これだけの行動を引き起こしたのです。予算の小ささを思えば、驚異的な費用対効果といえます。
5年後にユニリーバが10億ドルで買収
成果は、一時のバズで終わりませんでした。動画をきっかけに会員を増やし続け、創業からわずか5年で大きな節目を迎えます。2016年、日用品大手のユニリーバが、同社を10億ドルで買収したのです(出典:Media Shower)。当時の会員は、約320万人にのぼりました。
1本の低予算動画から始まった会社が、10億ドル企業になった。これは、企画力の威力を物語る象徴的な数字といえます。予算ではなく知恵で勝つ。その可能性を、Dollar Shave Clubは示してくれました。
企画力で人を動かす発信の型を一緒に身につけませんか
自社で何から始めればよいか、具体的な手順がつかめます。
自社に応用する|中小企業が低予算動画で勝つ3ステップ
ここからが本題です。Dollar Shave Clubの成功は、巨額の予算によるものではありません。企画力と人柄、そして受け皿があれば、中小企業も勝負できます。3つのステップに整理しました。
中小企業が低予算動画で勝つ3ステップ
1
予算でなく「企画」で勝負を決める
撮影前に「何をどう伝えるか」を練る。伝えたいことを一言に絞れば、企画が鋭くなる。
2
社長や社員の人柄・ユーモアを出す
完璧なナレーションより生の言葉。照れていてもOK。「この会社らしさ」がにじめば味になる。
3
受け皿(申込・購入の導線)を先に用意する
見た人がすぐ申し込めるページを準備。発信と受け皿は必ずセットで考える。
STEP1:予算でなく「企画」で勝負を決める
最初の一歩は、企画に時間をかけることです。撮影や編集にお金をかける前に、「何を、どう伝えるか」を練りましょう。視聴者が共感する課題は何か。どんな切り口なら記憶に残るか。ここが勝負どころです。
豪華な映像は、企画の弱さを隠せません。逆に、企画が鋭ければ、スマホ撮影でも十分戦えます。Dollar Shave Clubも、お金は企画と演出に注ぎました。まず、伝えたいことを一言に絞り込む。その一言が、動画全体の軸になります。
STEP2:社長や社員の人柄・ユーモアを出す
次に、人を前面に出します。完璧なナレーションより、社長や社員の生の言葉が響きます。少し照れていても、構わないでしょう。その人間味が、かえって親近感を生むからです。
ユーモアがあれば、なおよし。ただし、無理に笑わせる必要はありません。共感、驚き、誠実さでも構いません。大切なのは、「この会社らしさ」がにじむことです。等身大の自分たちを、そのまま見せてみましょう。それが、大手には出せない味になります。
STEP3:受け皿(申込・購入の導線)を先に用意する
最後に、これを忘れてはいけません。動画で集めた関心を、成果に変える受け皿を用意することです。動画を見た人が、すぐ申し込めるページや問い合わせ先を整えておきましょう。
どんなに動画が話題になっても、受け皿がなければ素通りされます。Dollar Shave Clubが成功したのは、登録の導線が整っていたからです。「見てもらった後、どう動いてほしいか」を先に決める。発信と受け皿はセットだと、心に留めてください。発信を成果につなげる設計は中小企業のコンテンツマーケティングもご覧ください。
つまずきやすい点・注意点
最後に、始める前に知っておきたい注意点をお伝えします。バズを狙うこと自体には、危うさもあります。落とし穴を理解しておきましょう。
低予算動画の「失敗」と「工夫」
| やりがちな失敗 | うまくいく工夫 |
|---|---|
| 受け皿を用意せずバズだけ狙う | 申込・購入の導線を先に整える |
| 奇をてらうだけで商品が伝わらない | 商品の価値が伝わる企画にする |
| 一発のバズに頼る | バズらなくても価値が伝わる動画に |
バズの「受け皿」がなければ無意味になる
まず大切なのが、受け皿の準備です。バズること自体は、ゴールではありません。再生数が伸びても、申し込み先がなければ、ただ通り過ぎられて終わります。これは、本当にもったいない失敗です。
動画を出す前に、必ず受け皿を整えましょう。申込ページ、問い合わせフォーム、登録の仕組み。これらがあって初めて、関心が成果に変わります。Dollar Shave Clubの教訓は、ここにあります。話題づくりと受け皿づくりは、必ずセットで考えてください。
バズは狙って起こせるものではない
もう一つの注意点が、バズへの過信です。「バズれば一発逆転」と期待するのは危険です。バズは、運やタイミングにも大きく左右されます。狙って確実に起こせるものではありません。
だからこそ、一発のバズに頼る戦略は避けましょう。大切なのは、たとえ拡散しなくても、見た人に価値が伝わる動画にすることです。地道に発信を続ける中で、ときに大きく跳ねる。それくらいの心構えが健全です。発信の進め方に迷ったら、ハッシンラボ Premiumの無料相談もご活用ください。あわせてオウンドメディアの成功事例13選もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 低予算の動画でも、本当に成果は出せますか?
出せます。Dollar Shave Clubの動画は、制作費わずか約4500ドル(約60万円)でした。それでも48時間で1.2万件の登録を集めています。豪華な映像よりも、企画の鋭さや人柄が成果を分けたのです。予算の大小より、何をどう伝えるかが重要だと示す好例です。
Q2. なぜ社長が出演すると効果があるのですか?
人柄が伝わり、親しみと信頼が生まれるためです。Dollar Shave Clubの動画は、社長自身がユーモアたっぷりに語りました。プロのナレーションより、本人の言葉のほうが心に残ります。中小企業ほど社長の顔が見えやすく、これは大きな強みになります。
Q3. 「バズの受け皿」とは何のことですか?
動画で集まった関心を、成果に変える仕組みのことです。Dollar Shave Clubは、動画を見た人がその場で登録できるサービスを用意していました。受け皿がないと、いくら話題になっても売上につながりません。バズる前に、申込や購入の導線を整えておくことが大切です。
Q4. ユーモアのある動画でないと、成功しないのですか?
ユーモアは一つの手段にすぎません。大切なのは、見た人の心を動かす企画であることです。笑いのほか、共感、驚き、感動でも構いません。自社らしさが伝わり、記憶に残る切り口を探しましょう。ただし、奇をてらうだけでなく、商品の価値が伝わることが前提です。
Q5. 狙ってバズを起こすことはできますか?
確実に狙うことは困難です。バズは、運やタイミングにも左右されるためです。だからこそ、一発のバズに頼る戦略はおすすめしません。大切なのは、たとえバズらなくても価値が伝わる動画にすることです。そのうえで、受け皿を整え、地道に発信を続ける姿勢が成果につながります。
低予算でも成果につながる動画・発信の進め方を一緒に考えませんか
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