制作費約60万円の動画1本で起業を成功させたDollar Shave Clubの事例|中小企業の企画力勝負

2026.06.07
SNS・動画発信

「動画を作りたいけれど、立派なものは予算的に無理」。中小企業の発信担当者から、よくいただくお悩みです。大手のような制作費はかけられませんよね。でも、それは本当に不利なのでしょうか。

その思い込みを覆したのが、髭剃りのサブスク「Dollar Shave Club」です。同社は、制作費わずか約60万円の動画1本で起業を成功させました。公開からわずか48時間で、1.2万件もの登録が殺到したのです。武器は、予算ではありませんでした。企画力と社長の人柄でした。

本記事では、Dollar Shave Clubが何をしたのか、なぜ低予算で成功したのかを分解します。あわせて、中小企業が低予算動画を成果につなげる手順まで整理しました。「予算がなくても戦える」発信のヒントになれば嬉しく思います。

予算より企画力で勝つ発信を実現した
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この事例から中小企業が学べること

結論からお伝えします。学ぶべきは「動画は予算でなく、企画力と人柄で勝てる」という考え方です。豪華な映像が、必ずしも成果を生むとは限りません。むしろ、鋭い企画と飾らない人柄のほうが、人の心を動かします。

特別な制作費は要りません。むしろ、社長の顔が見えやすい中小企業ほど向いています。大切なのは、見た人が「面白い」「この会社らしい」と感じる切り口です。私たちが発信を支援する現場でも、動画の成否は予算より企画で決まると感じています。

結論:予算より企画力・人柄・ユーモアが効く

Dollar Shave Clubが示したのは、「企画は予算を超える」という事実です。お金をかけた映像は、たしかに見栄えがします。しかし、見栄えと心に残るかどうかは別の話です。

人が動画を共有するのは、面白い、共感した、誰かに見せたい、と感じたときです。その引き金は、予算ではないのです。企画の鋭さや、語り手の人柄です。低予算でも、企画力があれば大手に勝てる。これが、中小企業にとって大きな希望になります。

なぜ低予算動画が中小企業に効くのか

低予算動画は、今の中小企業にこそ向いています。理由は2つ。まず、お金をかけずに始められること。次に、社長や社員の人柄を、そのまま武器にできることです。

大手は、洗練された広告を量産できます。しかし、洗練されすぎた映像は、どこか他人事に見えるものです。一方、中小の素朴で人間味ある動画は、親近感を呼びます。動画の発信についてはBeardbrandの動画活用の事例もご覧ください。

何をした会社か|Dollar Shave Clubの動画

Dollar Shave Clubは、髭剃りの替刃を定期的に届けるサービスです。創業は2012年。大手がひしめく髭剃り市場に、後発で挑みました。広告に大金を投じる体力は、当然ありません。

そこで打った一手が、1本の動画でした。いったい、どんな動画だったのでしょうか。

Dollar Shave Clubの戦略

制作費約60万円の動画1本
起業を成功させた

社長が出演する90秒のユーモア動画で勝負。予算でなく企画力と人柄、そして受け皿の設計で、公開48時間に1.2万件の登録を集めました。

社長が出演する90秒のユーモア動画

その動画は、社長のマイケル・ダビン氏が自ら出演するもの。倉庫を歩きながら、約90秒のユーモアたっぷりな語りを繰り広げます。「うちの替刃は最高だ」と、笑いを交えてまくし立てる内容です。

堅い商品説明は、一切ありません。代わりにあるのは、思わず笑ってしまう小気味よいトークです。視聴者は、商品より先に「この社長、面白い」と引き込まれます。プロの俳優ではなく、本人が語る。その素朴さが、かえって強い親近感を生んだのです。

制作費は約4500ドル(約60万円)

驚くべきは、その制作費です。この動画にかかった費用は、わずか約4500ドル。日本円にして、約60万円ほど。大企業のテレビCMとは、桁が何個も違います。

つまり、お金で勝負した動画ではありませんでした。勝負どころは、徹底して企画と演出に置かれていたのです。「一発の鋭い企画が、潤沢な予算に勝つ」。この事例は、それを鮮やかに証明しました。予算のなさを、企画力で補ったのです。

なぜ成果が出たのか|企画力が予算を超える仕組み

Dollar Shave Clubの成功には、明確な理由があります。予算ではなく、企画力で勝負したことです。その仕組みを分解してみましょう。

企画力が予算を超えた3つの理由

1. 社長の人柄とユーモア

主役は商品でなく社長。人は企業より「人」に惹かれる。本人の生の言葉が心に残る。

2. 課題を笑いに変える

「高い髭剃りにうんざり」を笑いで包む。共感×ユーモアが強い拡散力を生んだ。

3. 受け皿を先に用意

見た人がその場で登録できる仕組みを準備。話題を確実に成果へ変えた。

社長の人柄とユーモアで惹きつける

この動画の主役は、商品ではなく社長でした。彼の飾らない人柄と、テンポのよいユーモアが、視聴者を一気に引き込みます。完璧な広告ではなく、人間味あふれる語りが武器です。

人は、企業より「人」に惹かれるもの。誰が、どんな思いで語っているか。そこに親近感と信頼が生まれるのです。社長が自ら顔を出すのは、中小企業ならではの強みです。立派なナレーションより、本人の生の言葉。それが、心に残る動画を作りました。

課題を笑いに変える明快なメッセージ

動画のメッセージは、驚くほど明快なもの。「高い髭剃りに、もううんざりしていませんか」。多くの人が感じていた不満を、ずばり言い当てたのです。しかも、それを深刻にではなく、笑いに変えて見せたのです。

共感できる課題を、ユーモアで包む。この組み合わせが、強い拡散力を生みました。視聴者は笑いながら納得し、「面白いから誰かに見せたい」と感じます。共感とユーモアの掛け合わせが、企画の核にありました。メッセージが明快だからこそ、短い動画で伝わったのです。

バズの「受け皿」を先に用意していた

見落とされがちですが、これが決定的な一手。Dollar Shave Clubは、動画を見た人がその場で登録できる仕組みを用意していたのです。話題になっただけでは、売上になりません。受け皿があって初めて、関心が成果に変わります。

実際、動画への反響はすさまじく、初日にサーバーがダウンしたほどです。それでも、登録の導線が整っていたから、関心を逃しませんでした。バズる前に、受け止める準備をしておく。この設計が、爆発的な成果を支えたのです。

数字で見る成果

Dollar Shave Clubの低予算動画は、桁外れの成果を生みました。約60万円の投資が、何を生んだのかに注目してください。

低予算が生んだ桁外れの成果

約60万円の動画1本から

約60万円

動画の制作費(約4500ドル)

48時間で1.2万件

登録が殺到・初日サーバーダウン

10億ドル買収

2016年ユニリーバ・会員320万人

公開48時間で1.2万件の登録

動画の効果は、公開直後から爆発しました。YouTubeにアップしてから48時間で、約1.2万件の登録が殺到したのです(出典:OptiMonk)。商品を実際に見ないまま、クレジットカード情報まで入力した人々でした。

反響は、企業の想定をはるかに超えました。アクセスが集中し、最初の1時間でサーバーがダウンしたほどです。約60万円の動画が、これだけの行動を引き起こしたのです。予算の小ささを思えば、驚異的な費用対効果といえます。

5年後にユニリーバが10億ドルで買収

成果は、一時のバズで終わりませんでした。動画をきっかけに会員を増やし続け、創業からわずか5年で大きな節目を迎えます。2016年、日用品大手のユニリーバが、同社を10億ドルで買収したのです(出典:Media Shower)。当時の会員は、約320万人にのぼりました。

1本の低予算動画から始まった会社が、10億ドル企業になった。これは、企画力の威力を物語る象徴的な数字といえます。予算ではなく知恵で勝つ。その可能性を、Dollar Shave Clubは示してくれました。

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自社に応用する|中小企業が低予算動画で勝つ3ステップ

ここからが本題です。Dollar Shave Clubの成功は、巨額の予算によるものではありません。企画力と人柄、そして受け皿があれば、中小企業も勝負できます。3つのステップに整理しました。

中小企業が低予算動画で勝つ3ステップ

STEP
1

予算でなく「企画」で勝負を決める

撮影前に「何をどう伝えるか」を練る。伝えたいことを一言に絞れば、企画が鋭くなる。

STEP
2

社長や社員の人柄・ユーモアを出す

完璧なナレーションより生の言葉。照れていてもOK。「この会社らしさ」がにじめば味になる。

STEP
3

受け皿(申込・購入の導線)を先に用意する

見た人がすぐ申し込めるページを準備。発信と受け皿は必ずセットで考える。

STEP1:予算でなく「企画」で勝負を決める

最初の一歩は、企画に時間をかけることです。撮影や編集にお金をかける前に、「何を、どう伝えるか」を練りましょう。視聴者が共感する課題は何か。どんな切り口なら記憶に残るか。ここが勝負どころです。

豪華な映像は、企画の弱さを隠せません。逆に、企画が鋭ければ、スマホ撮影でも十分戦えます。Dollar Shave Clubも、お金は企画と演出に注ぎました。まず、伝えたいことを一言に絞り込む。その一言が、動画全体の軸になります。

STEP2:社長や社員の人柄・ユーモアを出す

次に、人を前面に出します。完璧なナレーションより、社長や社員の生の言葉が響きます。少し照れていても、構わないでしょう。その人間味が、かえって親近感を生むからです。

ユーモアがあれば、なおよし。ただし、無理に笑わせる必要はありません。共感、驚き、誠実さでも構いません。大切なのは、「この会社らしさ」がにじむことです。等身大の自分たちを、そのまま見せてみましょう。それが、大手には出せない味になります。

STEP3:受け皿(申込・購入の導線)を先に用意する

最後に、これを忘れてはいけません。動画で集めた関心を、成果に変える受け皿を用意することです。動画を見た人が、すぐ申し込めるページや問い合わせ先を整えておきましょう。

どんなに動画が話題になっても、受け皿がなければ素通りされます。Dollar Shave Clubが成功したのは、登録の導線が整っていたからです。「見てもらった後、どう動いてほしいか」を先に決める。発信と受け皿はセットだと、心に留めてください。発信を成果につなげる設計は中小企業のコンテンツマーケティングもご覧ください。

つまずきやすい点・注意点

最後に、始める前に知っておきたい注意点をお伝えします。バズを狙うこと自体には、危うさもあります。落とし穴を理解しておきましょう。

低予算動画の「失敗」と「工夫」

やりがちな失敗うまくいく工夫
受け皿を用意せずバズだけ狙う申込・購入の導線を先に整える
奇をてらうだけで商品が伝わらない商品の価値が伝わる企画にする
一発のバズに頼るバズらなくても価値が伝わる動画に

バズの「受け皿」がなければ無意味になる

まず大切なのが、受け皿の準備です。バズること自体は、ゴールではありません。再生数が伸びても、申し込み先がなければ、ただ通り過ぎられて終わります。これは、本当にもったいない失敗です。

動画を出す前に、必ず受け皿を整えましょう。申込ページ、問い合わせフォーム、登録の仕組み。これらがあって初めて、関心が成果に変わります。Dollar Shave Clubの教訓は、ここにあります。話題づくりと受け皿づくりは、必ずセットで考えてください。

バズは狙って起こせるものではない

もう一つの注意点が、バズへの過信です。「バズれば一発逆転」と期待するのは危険です。バズは、運やタイミングにも大きく左右されます。狙って確実に起こせるものではありません。

だからこそ、一発のバズに頼る戦略は避けましょう。大切なのは、たとえ拡散しなくても、見た人に価値が伝わる動画にすることです。地道に発信を続ける中で、ときに大きく跳ねる。それくらいの心構えが健全です。発信の進め方に迷ったら、ハッシンラボ Premiumの無料相談もご活用ください。あわせてオウンドメディアの成功事例13選もご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 低予算の動画でも、本当に成果は出せますか?

出せます。Dollar Shave Clubの動画は、制作費わずか約4500ドル(約60万円)でした。それでも48時間で1.2万件の登録を集めています。豪華な映像よりも、企画の鋭さや人柄が成果を分けたのです。予算の大小より、何をどう伝えるかが重要だと示す好例です。

Q2. なぜ社長が出演すると効果があるのですか?

人柄が伝わり、親しみと信頼が生まれるためです。Dollar Shave Clubの動画は、社長自身がユーモアたっぷりに語りました。プロのナレーションより、本人の言葉のほうが心に残ります。中小企業ほど社長の顔が見えやすく、これは大きな強みになります。

Q3. 「バズの受け皿」とは何のことですか?

動画で集まった関心を、成果に変える仕組みのことです。Dollar Shave Clubは、動画を見た人がその場で登録できるサービスを用意していました。受け皿がないと、いくら話題になっても売上につながりません。バズる前に、申込や購入の導線を整えておくことが大切です。

Q4. ユーモアのある動画でないと、成功しないのですか?

ユーモアは一つの手段にすぎません。大切なのは、見た人の心を動かす企画であることです。笑いのほか、共感、驚き、感動でも構いません。自社らしさが伝わり、記憶に残る切り口を探しましょう。ただし、奇をてらうだけでなく、商品の価値が伝わることが前提です。

Q5. 狙ってバズを起こすことはできますか?

確実に狙うことは困難です。バズは、運やタイミングにも左右されるためです。だからこそ、一発のバズに頼る戦略はおすすめしません。大切なのは、たとえバズらなくても価値が伝わる動画にすることです。そのうえで、受け皿を整え、地道に発信を続ける姿勢が成果につながります。

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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