「YouTubeで集客したいが、何を撮ればいいのか分からない」。中小企業の発信担当者から、よくいただくお悩みです。商品紹介を流しても、なかなか見てもらえませんよね。では、どんな動画なら見込み客に届くのでしょうか。
その答えを示すのが、米国のひげ・グルーミング用品ブランド「Beardbrand」です。同社は広告に頼らず、YouTubeの教育動画だけで成長しました。商品を売り込むのではなく、使い方や選び方を教え続けたのです。結果、登録者は130万人を超え、メール施策では11か月でROI964%を記録しました。
本記事では、Beardbrandが何をしたのか、なぜ成果が出たのかを分解します。あわせて、中小企業がスマホ1台で「教える動画」を始める手順まで整理しました。「売り込まずに選ばれる発信」のヒントになれば嬉しく思います。
中小企業のヒントをハッシンラボで
この事例から中小企業が学べること
結論からお伝えします。学ぶべきは「売らずに教える」ことです。商品を押し売りせず、お客様に役立つ知識を先に渡す。その積み重ねが信頼を生み、指名買いにつながりました。
特別な才能や大きな予算は要りません。むしろ、専門知識を持つ中小企業ほど、教えられることをたくさん持っています。大切なのは、知識を出し惜しまない姿勢です。私たちが中小企業の発信を支援する現場でも、まず「お客様が知りたいこと」を動画にすることをおすすめしています。
結論:教える動画が指名買いを生む
Beardbrandが証明したのは、「教えるほど売れる」という考え方です。多くの企業は、動画で商品を宣伝したがります。しかし視聴者が見たいのは、宣伝ではなく役立つ情報のほうでしょう。
使い方や選び方を丁寧に教えてくれる相手には、自然と信頼が生まれます。その信頼が、「買うならこのブランドで」という指名買いに変わります。先に価値を渡す。それが、遠回りに見えて最短の道なのです。
なぜ「売らない動画」が中小企業に効くのか
この発信は、今の中小企業にこそ向いています。理由は2つ。まず、スマホ1台で始められること。次に、専門知識そのものが武器になることです。
大企業は、広告に大きな予算を投じられます。しかし「現場の専門知識」では、必ずしも中小企業に勝てません。お客様の悩みに的確に答える動画は、AIにも引用されやすい資産になります。動画発信の全体像は中小企業の動画発信術もご覧ください。
何をした会社か|Beardbrandの始まり
Beardbrandは、米国のひげ・グルーミング用品のD2Cブランドです。D2Cとは、店舗や卸を通さず、自社が直接お客様に販売する形態を指します。創業者は、Eric Bandholz氏です。
大手がひしめく市場で、後発の小さなブランドでした。その会社が、いかにして熱心なファンを獲得したのでしょうか。
広告ではなく、YouTubeで
使い方・選び方を教え続ける
資金がないという制約が、かえって独自の戦略を生みました。商品を売り込まず、お客様の悩み解決を教える。その積み重ねが、登録130万人のファンと信頼を築きました。
ごくわずかな元手から始まったD2C
Beardbrandの始まりは、決して恵まれたものではありませんでした。潤沢な資金も、知名度もありません。ごくわずかな元手から、手探りで立ち上げたブランドです。
広告に大金を投じる体力は、当然ありませんでした。だからこそ、お金をかけずにできる発信に活路を求めます。選んだのが、YouTubeでした。資金がないという制約が、かえって独自の戦略を生んだのです。
広告ではなくYouTube教育動画を選んだ
Bandholz氏が選んだのは、広告ではなく教育動画でした。ひげのある男性に向けて、整え方や手入れの方法を発信し続けたのです。商品の宣伝は、ほとんどしません。
この判断が、運命を分けます。役立つ動画は、検索やおすすめから自然と見つけられました。広告のように費用を払い続けなくても、動画は資産として残り続けます。一度撮った動画が、何年も視聴者を集め続けます。
なぜ成果が出たのか|「教える動画」が信頼に変わる仕組み
Beardbrandの成功には、明確な理由があります。売り込まずに、役立つ知識を惜しみなく教えたことです。その姿勢が、視聴者の信頼へと変わっていきます。仕組みを分解してみましょう。
「教える動画」が信頼を生む3つの工夫
1. 徹底的に教える
使い方・選び方・手入れを惜しみなく公開。質問に先回りして答え、信頼を貯金する。
2. バズより信頼
再生数稼ぎより、本気で悩む見込み客へ確実に届ける。狙う相手を絞り深い関係を築く。
3. チャンネルを分ける
エンタメ系と解決系を分離。目的の違う動画を混ぜず、視聴者を迷わせない。
使い方・選び方・手入れを徹底的に教えた
Beardbrandの動画は、徹底して「教える」ことに振り切っていました。ひげの整え方、商品の選び方、正しい手入れ。視聴者が知りたい実用的な知識を、惜しみなく公開したのです。
これは、お客様の質問に先回りして答える発信です。「この悩みはこう解決する」と教えれば、視聴者は感謝するでしょう。そして商品が必要になったとき、真っ先にBeardbrandを思い出すのです。知識の提供が、そのまま信頼の貯金になっていくのです。
バズより「信頼」を狙う動画設計
注目すべきは、Beardbrandが一発のバズを狙わなかった点です。再生数を稼ぐ派手な企画より、見込み客との長く続く信頼関係を重視しました。
なぜなら、たまたま100万回再生されても、買う気のない視聴者ばかりでは意味がないからです。それより、ひげに本気で悩む人へ確実に届けるほうが価値があります。狙う相手を絞り、深い関係を築く。この設計こそ、安定した売上の土台です。
エンタメ系と解決系でチャンネルを分けた
Beardbrandは、動画の役割に応じてチャンネルを分ける工夫もしました。楽しんでもらうエンタメ系と、悩みを解決する解決系です。目的が違う動画を混ぜないことで、視聴者が迷わなくなります。
たとえば、気軽に楽しむ動画と、真剣に学ぶ動画では、見る人の気分も違います。役割を分けたことで、それぞれの視聴者に的確に届きます。発信の目的を整理する。この工夫は、中小企業の運用にも応用できます。
数字で見る成果
Beardbrandの「教える発信」は、数字にもはっきり表れています。広告に頼らず、これだけの規模を築いた点に注目してください。
広告に頼らず築いた成果
すべてYouTubeの「教える動画」が起点
130万人
YouTube登録者(関連で180万人超)
月商10万ドル
広告に頼らないMRR規模
ROI964%
メール施策(11か月)
YouTube登録130万人・関連で180万人超
Beardbrandのメインチャンネルは、130万人を超える登録者を集めました。関連チャンネルを合わせると、180万人を超えます(出典:SplitBase)。広告費ではなく、教える動画だけで築いた数字です。
この登録者は、Beardbrandの大切な資産です。新作を出せば、ファンがすぐに見てくれます。そして、商品が必要なときに思い出してもらえる関係ができています。視聴者数ではなく、信頼の総量を積み上げた結果と言えるでしょう。
月商10万ドル・メール施策ROI964%
売上にも、はっきり成果が表れました。Beardbrandは、広告に頼らず月商10万ドル規模のビジネスへ成長します。動画で集めた視聴者を、メール登録へつなぐ。この設計が効きました。
そのメール施策は、11か月でROI964%という驚異的な数字を記録しています(出典:Drip)。ROIとは、投じた費用に対する利益の割合のことです。動画で出会い、メールで関係を深める。この流れが、効率の高い集客を生みました。
教える動画の組み立て方を一緒に学びませんか
発信の現場を支援してきた視点でお伝えします。
自社に応用する|中小企業がスマホで始める3ステップ
ここからが本題です。Beardbrandの発信は、特別な会社だけのものではありません。スマホ1台あれば、今日から始められます。3つのステップに整理しました。
中小企業がスマホで始める3ステップ
1
「使い方・選び方」を動画にする
よく受ける質問が題材。失敗しない選び方・正しい使い方・トラブル対処法をスマホで撮る。
2
売り込まず、価値を先に渡す
主役は商品でなくお客様の悩み解決。「買って」より「こう解決できます」を伝える。
3
動画からメール登録につなげる
関心を持った人をメールへ誘導。一度の視聴を、自社に積み上がる続く関係に変える。
STEP1:お客様の「使い方・選び方」を動画にする
最初の一歩は、テーマ選びです。お客様からよく受ける「使い方」や「選び方」の質問を思い出してください。「失敗しない選び方」「正しい使い方」「よくあるトラブルの対処法」。どれも格好の題材になります。
これらは、検索でも探されやすいテーマです。買う前に調べる人が多いからです。高価な機材は要りません。スマホで撮り、現場の言葉で丁寧に話すだけで十分です。まずは1本、撮ってみることから始めましょう。
STEP2:売り込まず、価値を先に渡す
次に意識したいのが、売り込まないことです。動画の主役は、商品ではなくお客様の悩み解決です。「買ってください」より「こう解決できます」を伝えましょう。
価値を先に渡せば、視聴者は自然とファンになります。そして、必要なときに思い出してくれます。Beardbrandも、宣伝より教育を優先。焦って売り込まないこと。それが、結果的に売上への近道になります。
STEP3:動画からメール登録につなげる
最後に、動画とメールをつなげます。動画で関心を持った人を、メール登録へ誘導するのです。これで、一度きりの視聴が、続く関係に変わります。
たとえば「役立つ資料をメールで送ります」と案内する方法があります。メールなら、SNSのように投稿が流れていきません。自社に積み上がる資産になります。Beardbrandの成果も、この動画とメールの連携が支えています。動画の最適な長さは動画は何秒が正解かもご覧ください。
つまずきやすい点・注意点
最後に、始める前に知っておきたい注意点をお伝えします。動画発信は強力ですが、見る指標を間違えると迷子になります。落とし穴も理解しておきましょう。
動画発信の「失敗」と「工夫」
| やりがちな失敗 | うまくいく工夫 |
|---|---|
| 再生数だけを追う | 見込み客に届いたかを見る |
| 毎回売り込む | 価値を先に渡す |
| 凝った動画を単発で作る | スマホで継続できる本数にする |
再生数より「見込み客が見たか」を見る
まず注意したいのが、再生数だけを追わないことです。数字が伸びると嬉しいものですが、それ自体は目的ではありません。買う気のない視聴者が増えても、売上にはつながりにくいもの。
大切なのは、「買う可能性のある人に届いたか」です。Beardbrandも、バズより見込み客との関係を重視。再生数が少なくても、悩みを持つ人に届けば成功です。見る指標を、再生数から「届いた相手」に切り替えましょう。
本数より継続できる仕組みを優先する
もう一つの注意点は、最初から完璧を目指さないことです。凝った動画を1本作って力尽きるより、続けられるほうが大切です。動画は、積み上げるほど効いてくる資産だからです。
スマホで気軽に撮り、無理のないペースで出す。この仕組みづくりが成果を分けます。Beardbrandの動画も、一夜で結果が出たわけではありません。地道な継続の先に、登録130万人という資産が築かれたのです。発信の続け方はオウンドメディアの成功事例13選も参考になります。発信の進め方に迷ったら、ハッシンラボ Premiumの無料相談もご活用ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「売らずに教える動画」とは、どういう意味ですか?
商品を直接売り込むのではなく、お客様に役立つ知識を動画で教える発信です。Beardbrandは、ひげの整え方や商品の選び方、手入れの方法を徹底的に教えました。視聴者は学ぶうちにブランドを信頼し、自然と購入に至ります。売り込みを先にしない点が、従来の宣伝動画との大きな違いです。
Q2. 中小企業や個人でも、動画発信は始められますか?
始められます。Beardbrandも、ごくわずかな元手から始めました。高価な機材は必要なく、スマホ1台でも十分です。むしろ、専門知識を持つ中小企業ほど「教える動画」は得意分野になります。お客様からよく聞かれる質問を、そのまま動画にするところから始められます。
Q3. 再生数が伸びないと意味がないのですか?
再生数の多さが、必ずしも成果に直結するわけではありません。Beardbrandは、バズよりも見込み客との信頼関係を重視しました。たとえ少ない再生数でも、買う可能性の高い人に届けば十分です。「何回見られたか」より「誰に届いたか」を意識すると、成果につながりやすくなります。
Q4. どんな動画から作ればよいですか?
お客様からよく受ける「使い方」や「選び方」の質問が、最初の題材として最適です。たとえば「失敗しない選び方」「正しい使い方」「よくあるトラブルの対処法」などです。これらは検索でも探されやすく、見込み客に直接届きます。専門用語を避け、現場の言葉で丁寧に教えることがポイントです。
Q5. 動画とメールは、どう組み合わせるのですか?
動画で関心を持った視聴者を、メール登録へ誘導する流れが効果的です。Beardbrandも、動画とメール施策を組み合わせ、11か月でROI964%という成果を出しました。動画は新しい出会いを生み、メールは関係を深める役割です。両者をつなげることで、一度の視聴を継続的な関係に変えられます。
最初の一本のテーマ選びから一緒に考えませんか
お客様の悩みを起点に、発信の入り口を整理します。