ChatGPTやPerplexityに、自社の名前を入れて質問してみたことはありますか。すでに終わったサービスを、今も提供しているかのように答える。そんな場面に、私は出会ったのです。
AIが自社を間違えて答える原因は、AIの中ではなく、AIが読む出所のページにあることが多いと考えています。直し方の中心は、出所を探して、ページを正すことです。
AIの答えは、質問のたびに変わる。一度の確認では足りないのです。月に1回、決めた質問で聞き、記録して、誤りを見つけます。
本記事では、自社で起きた実例から入ります。そのうえで、誤りの見つけ方、出所の探し方、直し方、訂正の依頼、確かめ方を解説します。今日から動ける手順です。
AIは古い情報を事実として答える|自社で起きた実例
AIは、すでに終わった情報を、今の事実として答えることがあります。自社で起きたことなので、事実だけを順に書きます。数字は、1つのAIでの観測です。傾向をつかむ目安として読んでください。
何が起きたか
自社の調査として、2026年10月7日にPerplexityへ「ハッシンラボとは」と質問しました。回答は、サービスの概要を正しく述べていました。ただし、すでに終了した有料プログラムを、現行のサービスとして、料金つきで紹介していたのです。
発信の仕事をしている私たちでも、AIの誤りに気づくのは、質問してみたときでした。自分から聞かなければ、気づけません。
原因は自社グループの古い一文だった
出所を探した結果、グループの会社概要のページに、古い一文が残っていたのです。そのページは、終了したプログラムを、今も提供しているかのように書いていました。回答の引用元にも、自社の関連ページが並んでいました。
原因は、AIの勘違いではなく、自社のページの更新漏れだったと推定しています。推定としたのは、AIが何を根拠にしたかを、外から完全には確かめられないためです。
修正の3日後も、同じ答えが返った
古い一文を直し、公式ページに終了の事実を明記。関連ページの非公開化や、規約の整理も行いました。
3日後の10月10日、同じ質問を再び行いました。すると、同じ種類の回答が返ったのです。修正がAIの回答に反映されるまでには、時間がかかるようです。AIが古い情報を保持しているのか、別の出所があるのか、原因は特定できていません。
反映の速さは、AIによっても、時期によっても違うはずです。断定せずに、再観測を続けるのが現実的です。
誤りの見つけ方|質問セットで月1回聞く
誤りは、自社名で質問して見つけます。質問を決めて、月に1回、同じ言い回しで聞くのがコツです。ここでは、質問の選び方と記録の仕方を説明します。
質問の選び方
自社名を入れた質問を、10個ほど書き出します。たとえば、次のような質問です。
- 「○○(自社名)とは」
- 「○○のサービス内容は」
- 「○○の料金は」
- 「○○の所在地・代表者は」
- 「○○を運営している会社は」
終了したサービスや、名称を変えた商品があれば、入れておきましょう。誤りが出やすいのは、変更や終了があった部分だからです。
回答と引用元の記録の仕方
回答の文章と、引用元に表示されたページを、日付つきで記録します。表の形で残すと、月ごとの比較がしやすくなります。
質問の言い回しは、毎月そろえましょう。言い回しを変えると、答えの違いが、質問の違いによるものか、AIの違いによるものか、分からなくなります。記録の表の作り方は、GEOの効果測定とツールでも解説しています。
出所の探し方|3つの順番
誤った答えには、たいてい出所のページがあります。探す順番は、自社の公式ページ、外部の掲載ページ、過去の記事の3つです。近いところから探すと、早く見つかります。
| 順番 | 探す場所 | 見つけ方 |
|---|---|---|
| 1番目 | 自社と関連サイトの公式ページ | 誤りの語句(旧サービス名・旧料金など)を、サイト内検索とGoogleのsite検索で探す |
| 2番目 | 外部の掲載ページ | AIの回答に表示された引用元を開き、誤りの記載があるページを特定する |
| 3番目 | 過去の記事・PDF・キャッシュ | 旧資料のPDFや、更新されていない古い記事に、誤りの語句がないか確認する |
※出典:自社の運用手順
1番目:自社と関連サイトの公式ページ
最初に疑うのは、自社のページです。自社の更新漏れは、意外に多いものです。会社概要、サービス紹介、よくある質問、お知らせを順に見ましょう。
私の場合は、グループの別サイトに、古い一文が残っていた。1つのサイトだけを直しても、関連サイトに残っていれば、AIは古い情報を拾います。グループ会社や、別ドメインのサイトも、対象に入れてください。
2番目:外部の掲載ページ
次に、AIの回答に表示された引用元を、1つずつ開きます。比較サイト、取引先の紹介ページ、プレスリリースなど、外部の記載が、誤りの出所になることがあります。
引用元の表示は、PerplexityやGoogleのAI Overviewsなどで確認できます。表示のないAIは、同じ質問を別のAIで聞き、引用元を探してください。
3番目:過去の記事・PDF・キャッシュ
最後に、古い記事やPDFを確かめます。更新されないまま残った記事は、古い数字や終了した情報の宝庫です。
AirOpsのレポートでは、四半期以上更新がないページは、引用を失う確率が3倍超です(出典:AirOps、2025年12月2日公開)。更新されないページは、引用されにくくなるだけでなく、誤りの出所にもなりえます。
直し方|4つの手順
出所が分かったら、4つの手順で直します。書き換え、終了の明記、非公開化、関連ページの整合の順に進めましょう。
手順1:古い記載を最新の事実に書き換える
誤りの語句を、最新の事実に書き換えます。「提供中」と書いていた部分を、終了した事実に直す、などの作業です。
文章全体を読み直し、ほかに古い記述が残っていないかも確認してください。1か所だけ直しても、同じページの別の段落に、古い情報が残っていることがあります。
手順2:終了した事実を、日付つきで明記する
終了したサービスは、終了した日付と事実を、公式ページに明記します。「○年○月○日に終了しました」のように、日付を入れましょう。
日付つきなら、AIも人も、いつの情報かを判断できる。私は、ハッシンラボの紹介ページにも、同じ形で終了の事実を追記しました。
手順3:不要なページは非公開にする
終了したサービスの案内ページは、残す必要がなければ、非公開にします。残す場合は、ページの冒頭に、終了した旨を書いてください。
非公開にするときは、検索から来た人が迷わないよう、関連ページへの案内を用意するのが親切です。削除すると、外部のリンクが切れるため、非公開か、案内つきの残し方を検討しましょう。
手順4:規約・FAQ・関連記事を整える
意外に見落とすのが、利用規約、プライバシーポリシー、よくある質問、関連記事の記載です。終了したサービスの名前が、これらに残っていると、AIがそこを拾うことがあります。
自社では、規約とプライバシーポリシーも点検し、整えています。現在地の確認の考え方は、LLMO診断の記事で解説しています。
外部サイトとAIの運営会社に訂正を依頼する
自社で直せない誤りは、運営者に訂正を依頼します。依頼先は、外部サイトの運営者と、AIの運営会社の2つです。ただし、直るかどうかは、相手次第になります。
外部サイトの運営者への依頼
外部サイトの誤りは、そのサイトの運営者に、訂正を依頼します。問い合わせフォームや、訂正依頼の窓口を探してください。
依頼には、次の3点を書きます。
- 誤っている箇所のURLと、該当の文章
- 正しい内容と、その根拠となる自社の公式ページのURL
- 訂正してほしい点
感情的にならず、事実を淡々と伝えるのが、受け入れられやすいコツです。比較サイトや紹介サイトには、掲載内容の訂正を受け付けるところが多くあります。
AIの運営会社への申請と限界
OpenAIのプライバシーポリシーには、自分に関する事実に反する出力の修正・削除を求める窓口が載っています。窓口は、privacy.openai.comとdsar@openai.comです。OpenAIは、法令とモデルの技術的能力に基づいて検討するとのことです(出典:OpenAI「プライバシーポリシー」)。
この窓口は、個人に関する情報を対象とした記載です。会社や商品に関する誤りに使えるかは、確認できませんでした。AIの運営会社への申請は、直る保証のない補助的な手段と考えましょう。
PerplexityやGoogleにも、回答画面にフィードバックの仕組みがあります。ただし、公式の手順と効果は、今回は確かめていません。使う場合は、各社の最新の案内を確認してください。
直ったかの確かめ方|再観測の間隔と考え方
直したあとは、時間をおいて、同じ質問で確かめます。反映の速さは分からないため、間隔をあけて繰り返すのが現実的です。
再観測は、間隔をあけて繰り返す
修正の直後から、1週間後、2週間後、1か月後と、間隔をあけて、同じ質問を聞きます。毎回、回答と引用元を記録しましょう。
Iteraの調査では、2025年10月に引用されたページの50%が、2026年9月までに引用ゼロ。維持されたのは14%です(出典:Itera、2026年10月5日公開)。AIの引用は、時間とともに入れ替わります。直した情報が、いつ反映されるかも、一定ではないと考えられます。引用を保つ更新の進め方は、AIの引用を保つ更新のやり方で紹介しています。
出所が見つからない誤りへの備え
出所のページが、どうしても見つからない誤りも、あります。AI自体が誤る場合です。その場合は、出所を直せないため、備えを厚くします。
公式ページに、正しい情報を、短く明確に書きます。さらに、複数の信頼できる場所に、同じ内容を載せましょう。複数の場所で同じ情報が確認できれば、AIが正しい情報を選ぶ助けになると考えられます。公式ページの整備は、AI時代のブランド信頼も参考になります。載せる場所の選び方は、LLMOの外部対策で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. AIが自社を間違えて答えるのは、AIの運営会社に直してもらえますか?
保証はありません。OpenAIは、個人に関する誤りの申請窓口を設けています。ただ、技術的に対応できないこともあります。まず、出所のページを直しましょう。
Q2. 修正してから、AIの回答が変わるまで、どれくらいかかりますか?
決まった期間はありません。自社の観測では、修正の3日後も、同じ種類の回答でした。間隔をあけて、繰り返し確かめてください。
Q3. 出所のページが見つからないときは、どうしますか?
AI自体の誤りが疑われます。公式ページに正しい情報を明確に書き、複数の信頼できる場所に、同じ内容を載せましょう。
Q4. 終了したサービスのページは、削除してよいですか?
削除より、非公開にするか、終了の事実を明記して残す方法が安全です。検索から来た人が迷わないよう、案内を残すこともできます。
Q5. 月1回の確認は、手作業でできますか?
できます。質問を10個ほど決め、同じAIに、同じ言い回しで聞き、回答と引用元を記録してください。表計算ソフトで十分です。
Q6. AIが自社の名前を、ほかの会社と取り違えるときは、どうしますか?
同じ名前の別の組織と混同される場合があります。自社の公式ページに、会社名、所在地、事業内容を明確に書き、他と区別できるようにしましょう。
まとめ:誤りの出所を探して、ページを正す
AIが自社を間違えて答える原因は、出所のページにあることが多いと考えています。自社の実例では、グループのサイトに残った古い一文が、原因と推定されます。
直し方は、4つの手順です。古い記載の書き換え、終了の明記、不要なページの非公開化、規約やFAQの整理を進めます。自社で直せない誤りは、外部サイトの運営者に、訂正を依頼しましょう。
反映には、時間がかかるようです。修正の3日後も、同じ種類の回答が返りました。断定せずに、間隔をあけて、再観測を続けることが大切です。まずは、自社名で10個の質問を作り、今日、AIに聞いてみてください。一緒に、AI時代の発信の土台を整えていきましょう。