「動画は短ければ短いほど良い」と思っていませんか?実は、最新のデータはその常識を覆しています。重要なのは秒数ではなく、「最後まで見てもらえるかどうか」です。YouTube Shorts・TikTok・Instagram Reelsそれぞれに最適な動画の長さは異なります。この記事では、中小企業の経営者や担当者が今日から実践できる、プラットフォーム別の動画長さ戦略を解説します。
「短い動画が正解」は思い込みだった
動画マーケティングで多くの企業様が直面するのが、「何秒の動画を作ればいいのか」という悩みです。「とにかく短くしなければ」とプレッシャーを感じている方も多いのではないでしょうか。
完視聴率こそが評価の鍵
完視聴率とは、動画を最後まで視聴したユーザーの割合のことです。例えば、100人が動画を見始めて70人が最後まで見た場合、完視聴率は70%になります。
TikTokやInstagram Reelsを含む主要なショート動画プラットフォームは、視聴時間やフル視聴率(最後まで観られたか)をアルゴリズムの重要な評価指標として採用しています(株式会社CREAVE、2025年12月)。つまり、短い動画でも途中で離脱されれば評価は上がりません。
長さより「見続ける理由」が大切
注目したいのは、完視聴率と動画の長さの関係です。70%の視聴者が最後まで見る45秒の動画は、40%しか最後まで見ない15秒の動画よりも、プラットフォームから高い評価を受けます。
つまり、長さを無理に削るよりも、「最後まで見たくなる構成」を作ることが本質的な戦略です。完視聴率の高い動画は、アルゴリズムによって多くの人に届けられる仕組みになっています。
プラットフォーム別の最適な動画時間
各プラットフォームには、ユーザーの視聴習慣やアルゴリズムに合った「スイートスポット」があります。以下では、2026年時点でのデータに基づく推奨時間をご紹介します。
以下の表では3つのプラットフォームを横断して比較できます。
| YouTube Shorts | TikTok | Instagram Reels | |
|---|---|---|---|
| 最適な動画時間 | 15~30秒 | 15~30秒 | 15~45秒 |
| 最大投稿時間 | 3分2024年10月~拡大 | 10分アプリ内録画時 | 20分3分超は新規リーチ減 |
| アルゴリズムの重視点 | 視聴時間 | 完視聴率 | 映像品質 |
| 主な用途 | 知識共有 / 商品紹介 / 解説系コンテンツ | トレンド / エンタメ / 話題づくり | ビジュアル訴求 / ブランディング |
| おすすめコンテンツ | 経営者のワンポイントメッセージ、商品特徴の端的な紹介 | 意外な事実、問いかけ系、テンポの良い編集 | 商品紹介、イベントダイジェスト、スタッフ紹介 |
| 冒頭のポイント | 3秒で興味を引き、残りで価値を届ける | 最初の2~3秒で視聴者の手を止める | 映像のクオリティと構成の完成度を重視 |
YouTube Shortsは15〜30秒が狙い目
YouTube Shortsの最適な動画長さは、15〜30秒とされています。YouTubeは視聴時間の長さを重視するプラットフォームでもあるため、短すぎる動画より、ある程度の内容が詰まった動画が評価されやすい傾向にあります。
なお、2024年10月のアップデートでYouTube Shortsの最大時間は従来の60秒から3分へと大幅に拡大されました(YouTube公式)。ストーリー性のある内容や詳しい解説を届けたい場合は、より長い尺も選択肢に入ります。ただし動画が長くなるほど完視聴率は下がりやすいため、内容に合わせた尺の設計が重要です。
経営者のワンポイントメッセージや、商品の特徴を端的に伝えるシーンでは、30秒前後が適切です。「3秒で興味を引き、残りで価値を届ける」構成を意識しましょう。
TikTokは15〜30秒でテンポよく
TikTokの最適な動画長さは15〜30秒です。TikTokのユーザーはスクロールのスピードが速く、最初の2〜3秒で視聴を続けるかを判断します。
テンポの良い編集と、冒頭での強いフックが欠かせません。「意外な事実から始める」「問いかけで興味を引く」など、最初の一言で視聴者の手を止める工夫が効果的です。
Instagram Reelsは15〜45秒の幅で調整
Instagram Reelsは、15〜45秒という幅広い時間帯が新規ユーザーへのリーチに適しています。Instagramはビジュアルを重視するプラットフォームのため、映像のクオリティと構成の完成度が視聴継続に大きく影響します。
なお、Instagram Reelsは現在最大20分の動画投稿が可能です。ただしInstagram公式は「3分を超えるリールは新しいオーディエンスにはおすすめされない」と明示しており、新規フォロワーの獲得を目的とする場合は3分以内に収めることが推奨されています。既存フォロワー向けの深い解説や企業ストーリーを届けたい場合は、長尺を活用する使い分けも有効です。
商品紹介やイベントのダイジェスト、スタッフの紹介など、見た目の魅力を伝えたいコンテンツと相性が良く、40〜45秒の尺でしっかりと価値を伝えることも有効です。
中小企業が実践すべき3つのポイント
「動画って難しそう」と感じている企業様も多いと思います。ただ、実は大きな制作費をかけなくても、押さえるべきポイントは3つだけです。
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最初の3秒で「見る理由」を作る
視聴者が動画を見続けるかどうかは、最初の3秒で決まります。「これは自分に関係ある」と感じてもらえるかが分岐点です。
おすすめは、冒頭で問いかけること。「〇〇で困ったことはありませんか?」という一言は、視聴者の心を止める効果があります。結果や答えを先に見せてから理由を説明する「結論ファースト」の構成も完視聴率を高めます。
無理に短くせず「内容の密度」を高める
「短くしなければ」と焦って内容を削りすぎると、逆効果になることがあります。伝えたい価値がしっかり届く尺を確保することが大切です。
経営者のメッセージや企業の想いを伝える動画なら、30秒前後が適切な目安です。短時間でも、話す内容に具体性と誠実さがあれば、視聴者の信頼につながります。継続的に価値ある動画を積み重ねることが、企業の信頼資産を育てる確実な方法です。
データを見て「次に活かす」習慣をつける
動画を作って終わりにしてしまうと、改善のチャンスを逃します。各プラットフォームには「どこで視聴者が離脱したか」を確認できる分析ツールが用意されています。
例えば、「最初の10秒で半数が離脱している」なら冒頭の改善が必要、「後半は最後まで見られている」なら前半のフックを変えるだけで完視聴率が改善します。月1回でもデータを確認する習慣をつけると、動画の品質が着実に上がっていきます。
まとめ
動画の最適な長さは、YouTube Shortsが15〜30秒、TikTokが15〜30秒、Instagram Reelsが新規拡散目的で15〜45秒(3分以内)です。ただし、どのプラットフォームでも共通して大切なのは「完視聴率」という指標です。70%の視聴者が見続ける45秒の動画は、40%しか見ない15秒の動画より高く評価されます。
無理に短くするより、最後まで見てもらえる構成を考えること。そして、そのデータを次の動画に活かしていくこと。この繰り返しが、中小企業の動画発信を長期的な信頼の蓄積へとつなげていきます。
まずは自社のプラットフォームで1本、30秒前後の動画を試してみてください。発信を続けるほど、企業の発信力は着実に育っていきます。
よくある質問
Q. 動画は短いほうがバズりやすいのですか?
A. 必ずしもそうではありません。重要なのは「完視聴率」(最後まで見てもらえる割合)です。短くても途中で視聴をやめられると評価は上がりません。最後まで見てもらえる内容と構成を意識することが、アルゴリズム上の評価につながります。
Q. プラットフォームごとに別々の動画を作らないといけませんか?
A. 同じ動画素材でも、編集の仕方で各プラットフォームに対応できます。ただし、TikTokはテンポ重視、Instagramはビジュアル重視など、それぞれの特性に合わせた微調整を加えると効果的です。まずは1つのプラットフォームに集中して慣れることをおすすめします。
Q. 経営者が顔出しで発信するなら何秒がおすすめですか?
A. ワンポイントメッセージなら30秒前後が適切です。自己紹介や想いを語る場合は45秒以内を目安にしましょう。長さよりも、話すテーマを1つに絞って内容を明確にすることが、視聴者の理解と共感を生む近道です。
Q. 完視聴率はどこで確認できますか?
A. 各プラットフォームのクリエイターツールやビジネスアカウントの分析画面から確認できます。TikTokは「クリエイタースタジオ」、Instagramは「インサイト」、YouTubeは「YouTube Studio」から視聴データを詳しく見ることができます。
Q. 投稿頻度と動画の長さ、どちらを優先すべきですか?
A. まずは「完視聴率の高い質の動画を作ること」を優先してください。頻度を上げても完視聴率が低い動画ばかりではアルゴリズムの評価は上がりにくいです。週1〜2本でも質の高い動画を継続して積み上げることが、長期的な発信力の向上につながります。