AIに勝てない情報記事より「想起される会社」を目指す時代

2026.03.07
SEO・GEO対策

AIが検索の答えを直接返す今、「調べもの系の記事を書けばアクセスが増える」という戦略は終わりを迎えています。これからのコンテンツマーケティングに求められるのは、検索で引き寄せることではなく、買いたい瞬間に「あの会社だ」と思い出してもらうブランドの構築です。

検索大手のメディア「Search Engine Land」でSEO専門家のAndrew Holland氏が2026年3月に発表した論考では、「情報提供型のSEOは戦略として終わった」と明言されています。中小企業が今すぐ取り組むべきコンテンツの方向性を、わかりやすく解説します。

AIが「情報記事」を書く側になった

情報型SEOとは、「〇〇とは?」「〇〇の方法」といった調べもの系のキーワードで記事を作り、検索上位を狙って集客する手法のことです。長年、多くの企業が採用してきた定番の集客戦略です。

ところが今、この方法の効果が急速に失われています。

検索1位でもクリックされない現実

Googleが2024年8月に日本でも導入した「AI Overviews(AIによる概要)」は、検索結果の最上部にAIが生成した要約を表示する機能です。ユーザーはリンクをクリックしなくても、その場で答えを得られます。

Seer Interactive社が2025年9月のデータをもとに発表したレポートによると、AI Overviewsが表示された情報型クエリにおける平均クリック率が1.76%から0.61%へと、前年比で約61%低下しました。

「1位を取ればアクセスが来る」という常識が、データで崩れています。


ORGANIC CTR DATA
AI Overviews表示クエリのオーガニックCTR推移

1.76%

2024年6月

約61%低下

0.61%

2025年9月

対象: 情報型クエリ(3,119キーワード / 42組織 / 2,510万インプレッション
出典: Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: September 2025 Update」

AIと「同じ土俵」で戦っても勝てない

ChatGPTやGeminiなどの生成AIは、ウェブ上の膨大な情報を学習しています。「すでに知られている情報」をまとめた記事は、AIが瞬時に生成できます。

Andrew Holland氏は「既知の情報に答える情報SEOは、ウェブ全体を学習したAIと競争することになる」と指摘しています。

コンテンツ制作のコストはほぼゼロになった一方で、読んでもらえる確率はかつてなく下がっています。情報を提供するだけの記事は、もはや差別化の手段にはなりません。

「検索で引き寄せる」から「積極的に届ける」へ

コンテンツの役割が変わっています。

「プル型」とは、ユーザーが検索した時に自社コンテンツを見つけてもらう仕組みのことです。「プッシュ型」とは、SNS・メールマガジン・イベント・メディア露出など、企業側が能動的に情報を届ける手法を指します。

情報検索での集客力は弱まっている

Pew Research Centerが2025年に米国成人900人を対象に行った調査では、AI要約を見たユーザーのうち、従来の検索結果リンクをクリックしたのはわずか8%でした。AI要約が表示されない場合の15%と比べると、クリック率はほぼ半減しています。

「調べもの系の記事を書いて待つ」という戦略だけでは、届けられる相手が急激に少なくなっています。

「届ける」発信が重要になる

ではどうすればよいのでしょうか。Andrew Holland氏は「メディア露出・イベント・パートナーシップ・コミュニティ・広告を通じて、意図的に届けること」の重要性を強調しています。

つまり、発信の軸を「発見されるのを待つ」から「先手を打って届ける」に切り替えることが求められています。これはまさに、コントリが提唱してきた「蓄積型発信」の考え方と重なります。一時的なバズを狙うのではなく、継続的に価値ある情報を届け続けることが、長期的な信頼の積み上げにつながります。






従来
プル型戦略
発見されるのを待つ
検索
記事
クリック

これから
プッシュ型戦略
先手を打って届ける
メディア
イベント
SNS

読者

発見されるのを待つ

先手を打って届ける


「想起される会社」になることがゴール

Andrew Holland氏の論考の核心は「コンテンツの本来の目的は、クリック数を増やすことではなく、覚えてもらうことだ」という点にあります。

「メンタルアベイラビリティ」とは、顧客が商品やサービスを必要とする瞬間に、自社のことを頭に思い浮かべてもらいやすくする状態のことです。これがコンテンツマーケティングの本来の目的だと同氏は主張しています。

「覚えてもらう」ための4つの要素

広告効果の研究者Paul Feldwick氏は「ブランドが想起されるには4つの要素が必要だ」と述べています。

以下の表でまとめた4要素が揃うことで、ブランドの知名度と想起性は高まります。

以下の要素を意識したコンテンツ設計が、AI時代の集客につながります。







ブランド認知を高める4つの要素と中小企業における実践例
Paul Feldwick著『Why Does the Pedlar Sing?』に基づくフレームワーク
出典: Paul Feldwick『Why Does the Pedlar Sing?』(2021年)を基に作成 / 実践例は編集部による


中小企業でも取り組める「オリジナル情報」の作り方

Andrew Holland氏が強調するのは「既知の情報の言い直しではなく、新しい情報を生み出すこと」です。大企業でなくても実践できる方法はあります。

たとえば、顧客への調査結果や業界の独自データ、社内の知見や体験談、地域に根ざした事例紹介などです。完成度より「自社にしか言えないこと」を大切にする姿勢が、差別化になります。

中小企業が今すぐ始められる3つのアクション

「情報SEOが終わる」と聞いても、すぐに何から手をつければよいかわからない方も多いはずです。実践のポイントを3つに絞ってご紹介します。

①経営者の言葉・想いを発信する

経営者のインタビューや考え方を発信するコンテンツは、まさに「AIには書けないオリジナル情報」です。その会社ならではの価値観や実績が、ブランドの想起性を高めます。

コントリが提供するハッシンファクトリーのような経営者インタビューメディアは、この観点からも非常に有効な手段です。

②メディア・コミュニティへの積極的な参加

業界メディアへの寄稿、地域の商工会や勉強会での登壇、他社とのコラボレーションなど、自社の情報を「外に出す」機会を増やすことで、プッシュ型の発信が実現します。

口コミやシェアが起きやすい環境を整えることも、現代のコンテンツ戦略に欠かせません。

③メールマガジン・LINE公式などの直接チャネルを育てる

フォロワーやメール読者など、「自社の発信が直接届く相手」を増やすことが、検索アルゴリズムに左右されない安定した発信基盤になります。

検索で集客するだけでなく、継続的に接点を持つ仕組みを作ることが、長期的な信頼の蓄積につながります。


中小企業がAI時代に取り組むべき3つのステップ
検索に依存しない発信基盤をつくるロードマップ

STEP
1

経営者の言葉・想いを発信する
AIには書けないオリジナル情報を発信し、その会社ならではの価値観や実績でブランドの想起性を高める

STEP
2

メディア・コミュニティへ積極参加
業界メディアへの寄稿、勉強会での登壇、他社コラボなど「外に出す」プッシュ型発信で口コミ・シェアを促進

STEP
3

直接チャネルを育てる
メルマガ・LINE公式など、検索アルゴリズムに左右されない安定した発信基盤で長期的な信頼を蓄積する

検索依存から脱却し、自社の発信が直接届く仕組みを段階的に構築する

まとめ

AI検索の普及により、「調べもの系の記事を書いて上位表示を狙う」情報SEOは、集客戦略としての効果が大きく低下しています。Seer Interactive社の2025年9月の調査では、AI Overviews表示時の情報型クエリのクリック率は前年比で約62%下落しています。

コンテンツマーケティングの本質は、検索エンジンに評価されることではなく「お客様に想起されるブランドを作ること」です。

そのために必要なのは、AIには作れないオリジナルの情報を発信し、メディア・イベント・コミュニティなど多様なチャネルを通じて積極的に届けていくこと。短期的な流入増加だけを目的にするのではなく、企業の資産となる信頼を積み上げる「蓄積型発信」の視点がますます重要になっています。

記事を読んでくださりありがとうございます。発信の方向性についてお悩みの際は、ぜひハッシンラボのコンテンツをご参考にください。

よくある質問

Q. 情報SEOとは何ですか?
A. 情報SEOとは、「〇〇とは?」「〇〇のやり方」といった知識・解説系のキーワードで記事を作り、検索上位を狙って集客する手法のことです。従来は多くの企業が採用してきた定番の集客戦略ですが、AIが検索結果内で直接回答するようになった現在、クリック率の大幅な低下が報告されています。

Q. メンタルアベイラビリティとは何ですか?
A. メンタルアベイラビリティとは、顧客が商品やサービスを必要とする瞬間に、自社のことを頭に思い浮かべてもらいやすい状態のことです。「想起性」とも呼ばれ、コンテンツマーケティングの本来の目的はクリック数を増やすことではなく、この想起性を高めることだとされています。

Q. 中小企業でもプッシュ型発信は実践できますか?
A. はい、規模を問わず実践できます。経営者インタビューの発信、業界コミュニティへの参加、メールマガジンやLINE公式アカウントの活用など、小規模から始められる方法があります。大切なのは自社にしか語れないオリジナルの情報を継続的に届けていくことです。

Q. SEO記事はもう書かなくてよいですか?
A. SEO記事が完全に不要になるわけではありません。購買意向の高い検索(例:「〇〇 料金」「〇〇 比較」)に対応するコンテンツは引き続き重要です。ただし、調べもの系の一般情報を記事化する戦略への過度な依存は見直しが必要です。SEO記事はサポート役として活用しながら、ブランド認知を高める発信を並行して進める形が現実的です。

Q. ブランド認知の効果はどう測ればよいですか?
A. 指名検索(社名・ブランド名での検索)のボリューム変化、ダイレクトトラフィック(URLを直接入力してくれる訪問)の推移、メディア露出の件数などが参考指標になります。短期的なクリック数だけでなく、認知・信頼の蓄積という視点で中長期的に効果を測定することが重要です。

【参考資料・相談窓口】

参考記事

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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