Googleの「AI Overview(AIによる概要)」が普及したことで、自社サイトへの検索からの訪問者数が大幅に減っています。 Ahrefsが2025年12月のデータをもとに行った調査によると、AI Overviewが表示される検索では、日本国内の検索1位ページへのクリック率が約38%低下。 グローバルでは約58%もの低下が確認されており、これはもはや一時的な変化ではありません。
「検索で上位に表示されれば、お客様が来てくれる」という前提が崩れつつある今、発信の在り方そのものを見直すタイミングが来ています。 この記事では、何が起きているのかをわかりやすく解説しながら、これからの時代に合った「蓄積型発信」へのシフト方法をご紹介します。
AI Overviewで何が変わったのか
AI Overviewとはどんな機能?
AI Overview(エーアイ・オーバービュー)とは、Googleが検索結果の一番上に表示するようになったAIによる自動要約のことです。 例えば「副業の始め方」と検索すると、複数のサイトの情報をAIがまとめ、答えを直接表示してくれます。
ユーザーにとっては便利な反面、「リンクをクリックしなくても答えがわかる」ため、個々のウェブサイトへの訪問数が減りやすい構造になっています。 日本では2024年8月から本格導入され、2025年3月のGoogleコアアルゴリズムアップデート以降、表示頻度がさらに急増しています。
流入減少の実態——最新データが示す衝撃
具体的な数字を見てみましょう。
Ahrefsが30万件のキーワードを分析した結果(2025年12月データ)、AI Overviewが表示される検索では、検索1位ページの平均クリック率がグローバルで約58%低下していることが明らかになっています。 日本市場でも約37.8%のクリック率低下が確認されており、他国より小さいとはいえ、影響は確実に広がっています。
国内の担当者への調査(キーマケLab・2025年5月調査/325名対象)では、約62%の方が自社サイトへの自然検索からの訪問者が「減少した」と回答。 さらに、約33%がすでにSEO(検索エンジン最適化)のリソース配分を変更し、約58%が「見直しを始めている」と答えています。
SEOとは、検索エンジン最適化のことです。例えば、Googleで検索した時に自社サイトが上位に表示されるよう工夫することを指します。
なぜ「検索1位」でもクリックされなくなるのか
ゼロクリック検索という新しい常識
「ゼロクリック検索」という言葉をご存じでしょうか。 これは、検索した人がウェブサイトをクリックすることなく、検索結果ページだけで疑問を解決してしまうことを指します。
AI Overviewは、まさにこの「ゼロクリック検索」を増やす仕組みです。 「〇〇とは」「〇〇の方法」「〇〇のメリット」といった情報収集系の検索クエリ(検索ワード)は、AIが一言で答えやすいため、特にクリック率が低下しやすい傾向があります。
これは、ユーザーが自社サイトを「選ばなくなった」のではなく、「クリックする必要がなくなった」という構造的な変化です。
特に影響を受けやすいコンテンツの特徴
クリック率が下がりやすいのは、主に「情報提供型」のコンテンツです。 「〇〇とは何か」「〇〇の使い方」「〇〇の相場」など、AIが要約して答えやすい内容は、検索結果ページ上で完結してしまうことが多くあります。
一方で、次のようなコンテンツは比較的影響を受けにくいとされています。
予約・購入など「行動を完結させるページ」、自社独自の体験や調査結果を盛り込んだ記事、専門家の意見や現場からの一次情報を含むコンテンツ——これらはAIが要約しにくく、ユーザーが原文を読みに来る理由が生まれます。
AIに「引用される」コンテンツになるために
GEOという新しい考え方
「SEOはやってきたけど、これからどうすればいいの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、GEO(ジオ:Generative Engine Optimization=生成エンジン最適化)という考え方です。 GEOとは、ChatGPT(チャットGPT)・Gemini(ジェミナイ)・Perplexity(パープレキシティ)などのAI検索や、GoogleのAI Overviewに「引用・推薦される」ためのコンテンツ最適化の手法です。
GEO対策の本質はシンプルで、「専門的で、信頼でき、わかりやすい情報を発信する」というウェブサイト運営の基本そのものです。 電通デジタルが国内クライアントに対して行ったGEO診断では、特定の介護転職サービスにおける事例として、AIが参照するデータの約9割が記事コンテンツからであることが判明しており、良質な記事の蓄積が引き続き重要であることがわかります(電通デジタル 2025年)。
AIに選ばれるコンテンツの3つの条件
AIに引用されやすいコンテンツには、共通する特徴があります。
1. 一次情報・体験ベースの内容 自社独自のアンケート結果、現場のエピソード、実際の失敗談や成功事例などは、AIが他のサイトから学習していない情報です。 AIにとって「喉から手が出るほど欲しい情報」であるため、引用されやすくなります。
2. 信頼性を示す情報が明記されている 誰が書いたのか、どんな実績・専門性があるのかが明記されているコンテンツは、AIから信頼できる情報源として評価されます。 これはGoogleのE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)という評価基準にも沿ったものです。
3. 構造がわかりやすく整理されている 見出しが適切に使われていて、各セクションの冒頭に結論が書かれているコンテンツは、AIが情報を抽出しやすい構造です。 FAQ形式のQ&A(よくある質問と回答)も、AIが引用しやすいフォーマットとして有効です。
「蓄積型発信」へのシフトが今すぐ必要な理由
一時的なバズより「信頼の積み重ね」を
今回の変化が教えてくれる最も重要なことは、「検索で見つけてもらうだけでは不十分な時代になった」ということです。
これからの情報発信で価値を持つのは、一時的な話題を集めることではなく、企業の資産として長期的に効果を生み続けるコンテンツです。 自社の体験、専門知識、実際のお客様の声——こういった情報は、時間をかけて積み上げることで「AIにも人にも信頼される情報源」になっていきます。
つまり、「蓄積型発信」とは、短期的な注目よりも信頼の蓄積を重視した継続的な情報発信の仕組みのことです。 これがまさに、AI時代に最も強い発信スタイルといえます。
明日からできる3つの実践ポイント
発信の方向性を変えるといっても、難しく考える必要はありません。 すぐに取り組めることから始めてみましょう。
1. 自社ならではの「一次情報」を記事に加える お客様からよく受ける質問、実際に経験した失敗談や解決策、社内で使っているノウハウ——これらをそのまま記事にするだけで、他にはない価値のある情報になります。
2. 記事の書き方を「結論から先」に変える 各セクションの冒頭で「つまり何が言いたいか」を先に書く癖をつけましょう。 これはGEO対策としても有効で、AIが情報を抜き出しやすい構造になります。
3. FAQ(よくある質問)を記事に加える お客様がよく聞いてくる質問と、その答えを記事の末尾に追加しましょう。 AIはFAQ形式の情報を引用しやすい特性があり、SEO・GEO両面で効果的です。
発信
(GEO対応)
まとめ
AI Overviewの普及により、検索1位でもクリックされにくくなる「ゼロクリック検索」の時代が到来しています。 Ahrefsの2025年12月データでは、日本でのクリック率低下が約38%、グローバルでは約58%に達しており、この傾向は今後さらに広がると予測されています。
大切なのは「検索で見つけてもらう」だけを目指すのをやめ、「AIにも人にも引用・信頼されるコンテンツ」を継続的に積み上げていくことです。 自社独自の体験や一次情報を発信し続けることが、変化の激しい検索環境の中で最も強い資産になります。
一時的なバズを狙うのではなく、長期的に価値を積み重ねる「蓄積型発信」へのシフトを、ぜひ今日から始めてみてください。 まずは自社のコンテンツを棚卸しし、「AIに引用されそうか?」という視点で見直すことが、最初の一歩です。
よくある質問
Q. AI Overviewとは何ですか?
A. AI Overviewとは、Googleの検索結果の最上部に表示されるAIによる自動要約機能のことです。ユーザーが検索した内容に対して、複数のウェブサイトの情報をAIがまとめて直接回答を表示します。日本では2024年8月に本格導入され、2025年以降は表示頻度がさらに増加しています。
Q. 自社のサイトへの訪問者が減っているのはAI Overviewのせいですか?
A. AI Overviewが大きな要因のひとつである可能性があります。Ahrefsの2025年12月の調査では、AI Overviewが表示される検索で日本のクリック率が約38%低下しています。ただし、クリック率の低下は検索クエリの種類によって差があるため、Google Search Consoleなどでご自身のサイトのデータを確認することをおすすめします。
Q. GEO対策はSEO対策と全く別のことをするのですか?
A. GEO対策とSEO対策は対立するものではなく、相互に補完し合う関係です。GEO(生成エンジン最適化)とは、AIに自社コンテンツを引用・推薦してもらうための取り組みです。良質なコンテンツを作りSEOで上位表示されることが、結果としてGEOでの引用にもつながります。SEO対策を続けながら、一次情報の発信や記事構造の改善を加えるイメージで取り組んでみましょう。
Q. どんなコンテンツがAIに引用されやすいですか?
A. 自社独自の体験・調査データ・専門家の見解など「一次情報」を含むコンテンツが引用されやすい傾向があります。また、記事の冒頭や各セクションの冒頭で結論を明確に述べ、FAQ形式のQ&Aを含む構造の整った記事も、AIが情報を抽出しやすいためおすすめです。
Q. 中小企業でも蓄積型発信に取り組めますか?
A. 取り組めます。むしろ中小企業は、大手にはない現場の生きた情報や独自の体験を持っています。お客様からよく受ける質問、実際の現場エピソード、自社ならではのノウハウ——こういった情報こそ、AIも人も求めている一次情報です。特別なツールや大きな予算がなくても、自社の経験を丁寧に記事にしていくことが、最も強い蓄積型発信になります。
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