競合を紹介する正直な記事が、売上100万ドルを生んだ理由

コンテンツ制作の実践ノウハウ

「自社の競合を、自分のサイトで紹介する」と聞いて、どう思いますか?

「そんなことをしたら、お客さんが逃げてしまう」と感じる方も多いと思います。でも、ある会社はその逆の発想で、驚くほどの成果を出しました。今日はその実話をご紹介しながら、中小企業が情報発信に取り組む際のヒントをお伝えします。

倒産寸前のプール会社が試みたこと

2008年、追い詰められた経営者の決断

米国バージニア州に「River Pools and Spas(リバー・プールズ・アンド・スパ)」というプール建設会社があります。

代表のマーカス・シェリダン氏は、2008年のリーマンショック(世界的な金融危機)のあおりを受け、会社の倒産危機に直面しました。広告費をかける余裕もなく、新規顧客の獲得もままならない状況です。

そこで彼が決断したのは、ブログを使った情報発信でした。テーマは「お客さんがよく聞いてくること」をそのまま記事にする、というシンプルなものです。

「競合他社を正直に紹介する」という異色の記事

ある日、お客さんからこんな質問が届きました。「リッチモンドで評判の良いプール会社を教えてほしい」というものです。

マーカス氏は迷わずブログに書きました。「バージニア州リッチモンドのおすすめプール会社トップ5」として、自社の競合他社を名指しで紹介したのです。

「売上が減るのでは?」と心配する声があがるのは当然です。しかし結果は正反対でした。その記事が、100万ドル(約1億5,000万円)以上の売上に貢献したと言われています。

なぜ、競合を紹介する記事が売上につながったのか?

お客さんが本当に求めていたもの

高額な商品を購入する前、お客さんは必ずこう考えます。「失敗したくない。信頼できる会社と取引したい」と。

プールの設置工事は、数百万円単位の大きな買い物です。そのため、「この会社は自分たちの利益しか考えていないのでは?」という疑いが、お客さんの心の中に生まれやすくなります。

ところが、自社に不利になるかもしれない情報を包み隠さず発信する会社を見たとき、お客さんはどう感じるでしょうか。「この会社は、正直に話してくれる」という信頼感が生まれます。

実際に問い合わせをしてきたお客さんの多くが、「競合他社まで紹介してくれる正直さに感動して選びました」と話していたと言われています。

発信の方向性の違いが信頼獲得につながる
売り込み型の発信
発信内容 自社の良いことだけ
「本当かな?」と疑われる
VS
正直な発信
発信内容 業界全体の情報
顧客の反応 「正直に話してくれる」と信頼
選ばれる

「信頼」はコツコツ積み上げるもの

コンテンツマーケティングとは、有益な情報を継続的に発信することで見込み客との信頼関係を育てる手法のことです。

River Poolsの事例が示しているのは、「売るための発信」より「役立つための発信」のほうが、長い目で見て売上につながるということです。

一時的に注目を集める広告とは違い、誠実な情報発信は資産として積み上がっていきます。3年前に書いた記事が今日も読まれ、今日も信頼を生み、今日も問い合わせにつながる。そういう仕組みを作れるのが、コンテンツ発信の強みです。

中小企業がこの事例から学べる3つのこと

1. お客さんが知りたいことを、素直に発信する

「そんな情報を公開して大丈夫?」と思うような内容こそ、お客さんが知りたがっています。

例えば「うちのサービスが向いていない人の特徴」「競合他社との違い」「費用の内訳」といった情報は、発信をためらいやすいものです。でも、それをありのままに伝えることが、信頼の第一歩になります。

コントリが経営者インタビューで大切にしているのも、まさにこの「本音」の部分です。飾らない言葉が、読む人の心に届きます。

「出しにくい情報」こそ、信頼につながる
迷いやすい情報
競合他社との比較
信頼に変わる理由
判断材料を与えることで「誠実な会社だ」と感じてもらえる
迷いやすい情報
価格・費用の内訳
信頼に変わる理由
不透明さがなくなり「安心して頼める」と思われる
迷いやすい情報
向いていないお客さんの特徴
信頼に変わる理由
ミスマッチを防ぎ「自分のことを考えてくれている」と伝わる
迷いやすい情報
過去の失敗事例
信頼に変わる理由
改善姿勢が伝わり「信頼できる会社」という印象になる

2. 「業界全体のこと」を語れる存在になる

自社の商品やサービスだけを語る会社と、業界全体の情報を発信し続ける会社。どちらが「専門家」として信頼されるでしょうか。

答えは明らかです。お客さんは「この人に聞けば何でも教えてもらえる」と感じる存在を探しています。その存在になれた企業が、選ばれ続けます。

業界の裏側や実態を正直に発信することは、同業者には嫌われることもあります。でも、お客さんから見れば、それが最大の差別化になります。

3. 続けることで、信頼は資産になる

River Poolsの成果は、一夜にして生まれたものではありません。マーカス氏がブログを書き続けた結果として、何年もかけて積み上がった信頼の結晶です。

情報発信は、短期間で結果が出るものではありません。でも、続けることで検索エンジン(GoogleやYahooなど)での露出が増え、問い合わせが増え、やがて売上につながっていきます。

一度書いた記事は、眠ることなく24時間365日、読者に語りかけ続けます。これが、コンテンツ発信が「蓄積型の資産」と呼ばれる理由です。

継続発信による信頼の蓄積イメージ
コンテンツは「時間差」で成果につながる
信頼・問い合わせ数
ここから加速! ほぼ変化なし 信頼が資産に
0 3ヶ月 6ヶ月 1年 2年
発信を始めてからの時間
種まき期 0~6ヶ月 / 記事を書き続ける
成長期 6ヶ月~1年 / 検索流入が増加
収穫期 1年~ / 問い合わせ・売上に直結
一度書いた記事は24時間365日、読者に届き続けます。コンテンツ発信は「蓄積型の資産」です。

まとめ

River Poolsの事例は、情報発信の世界における大切な真実を教えてくれます。「正直であること」は、最強のマーケティング戦略になり得る、ということです。

競合を紹介することも、自社の弱みを語ることも、怖く感じるかもしれません。でも、それができる企業こそ、お客さんから「この会社なら信頼できる」と選ばれます。

中小企業の経営者の皆さんが日々感じている悩みや、業界の現場のリアルな声。そういった「本音の発信」こそが、長期的な信頼と売上を育てていきます。発信は怖いものではなく、あなたの会社の一番の武器になるものです。ぜひ、小さなことからでも始めてみましょう。

【参考資料】

コンテンツマーケティングについて詳しく知りたい方へ

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