「最近、ホームページへのアクセスが減った気がする……」そんな声が増えています。実は2025年から2026年にかけて、Google検索の仕組みに大きな変化が起きています。自然検索(SEOとは、検索エンジン最適化のことです。Googleで検索した時に自社サイトが上位に表示されるよう工夫する取り組みを指します)からのクリックが、幅広い分野で減少しているのです。この記事では、何が起きているのかをわかりやすく整理し、中小企業がとるべき対策をお伝えします。
Google検索で何が変わったのか
自然検索のクリックが最大23%も減った
SEOコンサルタントのAleyda Solis氏がSimilarwebのデータを用いて、アメリカの約16,000件の検索キーワードを調査しました。対象は「ヘッドフォン」「ジーンズ」「グリーティングカード」「オンラインゲーム」の4分野です。
調査の結果、2025年1月から2026年1月のわずか1年間で、自然検索のクリックシェア(検索結果からの全クリックに占める割合)が11〜23ポイントも下がっていました。特にヘッドフォン分野では73%から50%へと急落しています。
つまり、これまで「検索すれば自社サイトに来てもらえる」という前提そのものが揺らぎ始めているのです。
(出典:Aleyda Solis「Search Isn’t Just Turning to AI, it’s being Re-Monetized」/Search Engine Land)
減った分を最も多く吸収したのは「広告」
「自然検索が減ったのは、AIの回答が増えたからでは?」と思う方もいるでしょう。たしかにGoogleのAI Overview(検索結果の上部にAIが生成する回答)の表示は急増しています。
しかし、クリックシェアを最も大きく伸ばしたのは、AI回答ではなくテキスト広告でした。すべての分野で広告のクリックシェアが7〜13ポイント増加しています。
ヘッドフォン分野を例に見ると、広告(テキスト広告+商品リスト広告)のシェアは16%から36%へと倍増しました。検索結果で有料広告がクリックシェアを大きく伸ばし、これまで無料で獲得できていたクリックが有料広告に流れる構図が鮮明になっています。
クリックの「総数」自体も減っている
さらに深刻なのは、検索結果からウェブサイトへのクリック総数そのものが減っている分野があることです。ヘッドフォン分野では、上位5,000キーワードの総クリック数が250万件から180万件に減少しました。
これは「シェアが減った」だけでなく、「パイそのものが小さくなっている」状態です。ユーザーがAIの回答で満足してサイトを訪れない「ゼロクリック検索」の増加も、この背景にあります。
SEOだけに頼るリスクを理解する
「検索1本足打法」が危険な理由
多くの中小企業にとって、ホームページからの集客は事業の生命線です。しかし、今回のデータは「SEOだけに頼る集客」のリスクを明確に示しています。
Googleが広告枠を広げたり、AIによる回答を充実させたりする動きは、今後も続くと考えられます。Googleの親会社Alphabetの2025年第3四半期の売上は1,023億ドルで過去最高を記録しており、検索広告収入は566億ドルに達しています。広告収入を伸ばすことがGoogleの経営にとって重要である以上、この流れが逆転する見込みは低いでしょう。
SEOの取り組みは引き続き大切です。ただし、それだけに依存する状態は、Googleの方針変更ひとつで集客が激減するリスクを抱えることになります。
大手企業はすでに動いている
この変化に対して、大手企業はすでに対策を始めています。たとえばヘッドフォン分野では、Amazonが広告クリックを前年比35%増加させ、Walmartは約6倍に拡大しました。自然検索での流入が減った分を、広告投資で補っている形です。
ただし、中小企業が大手と同じように広告費を増やすのは現実的ではありません。だからこそ、広告以外の手段も含めた「集客の分散」が大切になります。
中小企業が今すぐ取り組める3つの対策
SNSを「もうひとつの入口」にする
検索エンジンに頼りきりにならないために、SNSを活用して自社サイトへの流入経路を増やしましょう。Instagram、X(旧Twitter)、YouTubeなど、自社のお客様が多く集まるプラットフォームを選ぶことがポイントです。
SNSの投稿は検索順位に直接影響しませんが、投稿を見た人がサイトを訪れたり、ブログやメディアで紹介されたりすることで、間接的にSEOにも良い影響があります。
大切なのは、一時的にバズる投稿よりも、自社の専門性や想いが伝わる発信を積み重ねることです。こうした「蓄積型の発信」は、企業の信頼を着実に高める資産になります。
メルマガやLINEで「直接届ける」仕組みを作る
検索もSNSも、プラットフォーム側のルール変更でいつでも状況が変わる可能性があります。そのリスクを軽減するのが、メルマガやLINE公式アカウントのような「自社で直接お客様に届けられる」チャネルです。
一度つながったお客様に、定期的に有益な情報を届け続けることで、検索エンジンの変動に左右されない関係性を築けます。特に中小企業の場合、お客様との距離が近いという強みを活かしやすい手段です。
配信の頻度は月1〜2回でも十分です。まずは「始めること」を優先しましょう。
自社サイトのコンテンツを「資産」として育てる
SEOの効果が以前より得にくくなったとはいえ、質の高いコンテンツの価値はむしろ増しています。AIが検索結果で引用する情報も、結局はウェブサイト上の記事やコンテンツが元になっているからです。
ある調査では、ChatGPTが引用する情報の約44%が記事の冒頭3割に集中していることがわかっています。読者にもAIにも見つけてもらうために、記事の冒頭に結論や要点をしっかり書く構成が効果的です。
短期的な検索順位だけを追うのではなく、読者の悩みに丁寧に応えるコンテンツを一つひとつ積み重ねていくことが、長期的な集客の土台になります。
まとめ
Google検索の世界では、自然検索からのクリックが減り、有料広告がその分を吸収するという大きな変化が起きています。SEOの取り組みは今後も欠かせませんが、それだけに頼る時代は終わりつつあります。SNS、メルマガ、LINE、そして質の高いコンテンツの蓄積。複数のチャネルを組み合わせて「検索エンジンに依存しない集客の仕組み」を整えることが、これからの中小企業には求められています。変化を恐れるのではなく、今のうちに一歩を踏み出すことが、将来の安心につながります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。