会議が終わるたびに、議事録づくりへ時間を取られていませんか。発言を聞き直し、清書し、関係者へ配る。この作業だけで小一時間が消える日も少なくありません。
ChatGPTを使えば、議事録づくりは大きく3つの工程にまとまります。「文字起こし→ChatGPTで整える→人の目で確認する」という流れです。会議の音声をテキストにし、要約や清書をChatGPTに任せ、最後に事実だけ人が確かめる。早ければ会議直後に下書きが手元へ届きます。
本記事で扱うのは、できることと限界、3ステップの手順、プロンプト例、議事録専用の新機能、情報漏えい対策です。中小企業の発信担当者が今日から実践できる形に整理しました。お役に立てれば嬉しく思います。
ChatGPTで議事録は作れる?できることと限界
ChatGPTは、会議の文字起こしテキストを渡せば、要約・清書・決定事項の抽出までを担えます。一方で、音声の録音そのものや「誰が発言したか」の自動判別は単体では苦手です。ここを理解しておくと、後の手順でつまずきません。
「議事録づくりの全部をAIに丸投げできる」と期待すると、肩透かしを受けます。得意な部分に絞って任せるのが、いちばんの近道です。
ChatGPTが議事録づくりで担えること
ChatGPTが得意なのは、ぐちゃぐちゃのテキストを「読める文章」へ整える作業です。話し言葉の言い直しやフィラー(「えーと」などのつなぎ言葉)を取り除き、論点ごとにすっきり並べ替えてくれるのです。
例えば、1時間の会議の文字起こしを貼り付けて「決定事項・宿題・担当者を表にして」と頼むと、数十秒で骨組みが返ってきます。私自身、社内ミーティングの長い記録を要約させたところ、これまで30分かけていた清書が、数分で下書きまで進んだほどです。
ChatGPT活用チャンネル(株式会社AIM)の解説動画「会社員の新常識!ChatGPTで議事録効率化のテクニックを解説!」でも、文字起こしテキストをChatGPTに整形させる流れが基本形として紹介されています。要約と構造化、これがChatGPTの主戦場です。
ChatGPT単体では難しいこと(録音・発言者特定)
逆に、ChatGPTが単体では苦手とする領域も存在します。代表的なのは、会議の音声を直接録音することと、発言者を正確に区別することです。
テキスト版のChatGPTには、その場の会話を録音し続ける機能が標準では備わっていません。音声を文字にするには、別の文字起こしツールを使うのが一般的です。また「この発言はAさん、次はBさん」という話者の振り分けも、音声に話者情報が残っていなければ正確には再現できません。
だからこそ、次章の3ステップでは「文字起こし」と「ChatGPTでの整形」を分けて考えます。役割を分担させると、それぞれの弱点を補い合えるのです。
ChatGPTで議事録を作る3ステップの基本手順
ChatGPTで議事録を作る流れは、大きく3つです。会議音声を文字起こしする、ChatGPTで要約・清書する、人の目で事実確認して仕上げる。この順番を守れば、特別な技術がなくても形にできます。
複数の解説動画でも、ほぼ同じ3段階が共通の型として示されています。まずは全体像をつかみましょう。
会議直後から配布まで、どんな流れになるのかを図にしました。
ChatGPTで議事録を作る3ステップ
会議音声を文字起こし
録音アプリや文字起こしツールで、話した内容をテキスト化
所要:会議中〜直後ChatGPTで要約・清書
必要な項目を指定し、決定事項やToDoを構造化
所要:数十秒〜数分人の目で事実確認
数値・金額・担当者名・期限を元記録と照合して仕上げ
所要:数分ステップ1:会議音声を文字起こしする
最初のステップは、会議の音声をテキストに変えることです。これを文字起こしと呼びます。文字起こしとは、話した言葉をそのまま文章データにする作業のことです。例えば、録音アプリの音声を専用ツールにかけると、自動で文章へ変換してくれます。
スマートフォンの録音機能や、無料の文字起こしアプリを使う方法が手軽です。短い動画解説では、机にスマホを置くだけで音声を拾い、議事録づくりに役立てる使い方も紹介されています。
ここで大切なのは、できるだけ聞き取りやすい環境で録ること。雑音が多いと、文字起こしの精度が落ちてしまいます。マイクを発言者の近くに置くだけでも、仕上がりが変わってきます。まずは、きれいなテキストを手に入れる。これがすべての土台です。
ステップ2:ChatGPTで要約・清書する
次に、文字起こししたテキストをChatGPTへ渡します。ここがChatGPTの本領です。「以下の会議メモを議事録に整えてください」と指示し、テキストを貼り付けるだけで、清書された下書きが返ってきます。
ChatGPT活用チャンネル(株式会社AIM)の解説動画「会議後の議事録の作成!ChatGPTで最速でまとめる方法」も参考になります。文字起こしを貼って指示を出すと、要点が整理された議事録が短時間で出来上がる様子が示されています。『そのまま使えるAI活用集』の解説動画も、同様の手順を分かりやすく紹介しています。
このとき、ただ「まとめて」と頼むだけでは物足りない仕上がりになりがちです。決定事項・宿題・次回予定など、自社で必要な項目を指定すると精度が高まります。具体的な指示の出し方は、次章のプロンプト例で詳しく見ていきましょう。
ステップ3:人の目で事実確認して仕上げる
最後のステップは、人の目で確認することです。ここを省いてはいけません。ChatGPTは、事実と違う内容を自然な文章で書いてしまう場合があるためです。これをハルシネーション(もっともらしい誤り)と呼びます。
特に注意したいのは、決定した数値、金額、担当者名、期限です。元の記録と照らし合わせ、ずれていないかを確かめます。例えば「来月15日まで」と決めたのに「今月15日」と書かれていないか。こうした小さな食い違いが、後のトラブルの火種です。
確認が済んだら、関係者へ配布します。AIが下書きを9割作り、人が最後の1割で品質を保証する。この分担こそが、ChatGPT議事録の正しい使い方だと捉えています。
人とAIの役割分担を、もう一段わかりやすく整理しました。
AIに任せる作業 と 人が担う作業
AIに任せる作業
- 話し言葉の要約・清書
- 決定事項・ToDoの構造化
- フォーマットへの整形
人が担う作業
- 事実確認(ハルシ防止)
- 数値・期限・担当者の照合
- 配布の最終判断
そのまま使える議事録プロンプト例
ChatGPTの議事録は、指示の出し方で仕上がりが大きく変わります。同じ会議メモでも、プロンプト(ChatGPTへの指示文のことです)の作り込み次第で、配布できる完成度に近づきます。
ここでは、コピーして語句を差し替えるだけで使えるプロンプトを紹介します。自社の形式に合わせて調整してみてください。
よく使う2種類のプロンプトを、用途別にまとめました。
用途別に使える2種類のプロンプト
決定事項・ToDo抽出
「何が決まり、誰が何をするか」を構造化して取り出す
- 決定事項を箇条書き化
- ToDoは担当者・期限つき
- 持ち越し事項を分離
フォーマット固定
毎回同じ見出し順で出力させ、読みやすさを統一
- 日時・参加者・議題の順
- ToDoは3列で整理
- テンプレ保存で再利用
決定事項とToDoを抜き出すプロンプト
会議で最も大切なのは、「何が決まり、誰が何をするか」です。そこで、決定事項とToDoを構造化して抜き出すプロンプトが役立ちます。
例えば、次のような指示文がそのまま使えます。この一文を冒頭に置き、続けて会議の文字起こしを貼り付けるだけです。
以下の会議の文字起こしから、
(1)決定事項
(2)ToDo(担当者と期限つき)
(3)次回への持ち越し事項
の3つに分けて箇条書きでまとめてください。
【ここに文字起こしを貼り付け】
株式会社SYNQAIの「会議終了=議事録完成。神プロンプトの作り方、全部見せます!」では、決定事項・ToDo・担当者を構造化して抽出させる、こうしたプロンプト設計の考え方が紹介されています。項目を明示して指示する。これだけで、議事録の使い勝手が一段と高まります。
フォーマットを固定する追加指示のコツ
毎回バラバラの形式では、読む側が混乱します。そこで、出力フォーマットを固定する追加指示を覚えておくと便利です。
例えば、次の指示を先ほどのプロンプトに追加します。表に近い、整った形で返ってくるのが特長です。一度うまくいった指示文は、テンプレートとして保存しておきましょう。
出力は次の見出し順でお願いします。
日時/参加者/議題/決定事項/ToDo/次回予定
ToDoは「担当者・内容・期限」の3列で整理してください。
ChatGPTには、よく使う指示を保存しておける機能もあります。社内で共通のプロンプトを決めておけば、誰が作っても同じ品質の議事録が手に入ります。属人化を防ぎ、チームの資産として積み上げられるのです。
ChatGPTの議事録専用機能「Record Mode」とは
ChatGPTには、会議の録音から議事録づくりまでを一気通貫で扱える機能が登場しています。Record Mode(レコードモード)と呼ばれる機能です。この機能のおかげで、別の文字起こしアプリを用意せずに進められる場面が増えつつある状況です。
専用機能の登場は、議事録づくりの手間をさらに減らす一歩です。どんな機能なのかを見ていきましょう。
Record Modeでできること
Record Modeは、会議の音声を録音し、文字起こしから議事録化までをChatGPT内で完結させる機能です。KEITO【AI&WEB ch】の解説動画「ChatGPTに議事録・文字起こしが可能な新機能が登場【Record Mode】」で、その登場と使い方が紹介されています。
これまでは「録音アプリ」「文字起こしアプリ」「ChatGPT」と複数のツールを行き来する必要がありました。Record Modeを使えば、その移動が減ります。録音を起点に、要約された議事録まで一本道で進める。これは大きな時短です。
ただし、利用できる範囲はプランや提供状況によって変わります。自分の環境で使えるかどうかは、実際に画面を確認してみてください。
従来の文字起こしアプリとの使い分け
Record Modeが便利だからといって、従来の文字起こしアプリが不要になるわけではありません。場面に応じた使い分けが現実的です。
例えば、対面会議で複数人の発言を正確に話者分離したい場合は、話者識別に強い専用アプリが向くこともあります。実際、対面会議の議事録をAIで取る方法を紹介する動画では、その場の会話を拾う専用ツールの活用が示されています。一方、オンライン会議で手早く要約まで欲しいなら、Record Modeの一気通貫が快適です。
大切なのは、ツールを増やすことではなく、自社の会議スタイルに合う組み合わせを見つけること。まずは1つの会議で試し、手応えのある方法を社内標準にしていくのがおすすめです。
議事録でChatGPTを使うときの注意点と情報漏えい対策
ChatGPTで議事録を作るときは、情報の扱いに最大限の注意が必要です。会議には、社外秘の数字や個人情報が含まれます。安易に入力すると、思わぬ情報漏えいにつながりかねません。
便利さの裏側には、見落としがちなリスクも潜んでいます。安心して使い続けるために、押さえておきたい対策をまとめました。
入力してよい情報と、避けるべき情報の線引きを整理しました。
ChatGPTに入力してよい情報・避けるべき情報
| 入力を避けるべき情報 | 比較的安全な情報 |
|---|---|
社員・関係者の個人名 |
一般論・業界の共通知識 |
取引先名・固有の社名 |
すでに公開済みの情報 |
未公開の金額・契約条件 |
「A社」「担当者X」と仮名化したメモ |
個人情報(連絡先など) |
固有名詞を抜いた議論の構造 |
機密情報・個人情報の入力を避ける
まず徹底したいのは、機密情報や個人情報をそのまま入力しないことです。再生数200万回を超える「ChatGPTでやるとやばいこと3選!使用の注意点」でも、機密情報の入力リスクが繰り返し警告されています。
会議メモには、取引先名、未公開の金額、社員の個人情報などが紛れがちです。これらは、固有名詞を「A社」「担当者X」と伏せてから入力するのが安全策になります。具体的な名前や数字を抜いても、議事録の構造化は十分に機能します。
「便利だから」と全文をそのまま貼り付けたくなる気持ちは分かります。けれど、ひと手間の伏字が、会社を守る盾になるのです。
学習オフ設定と社内ルールづくり
次に、ChatGPTの学習オフ設定を活用しましょう。ChatGPTには、入力した内容をAIの学習に使わせない設定があります。業務で使う場合は、この設定を必ず確認しておきたいところです。
さらに大切なのが、社内ルールづくりです。「議事録に使ってよい会議の範囲」「伏字にする情報の種類」「学習オフの徹底」などを、チームで一度決めておきます。担当者の判断任せにせず、共通のルールにしておく。これが、組織として安全に使い続ける土台になります。
ルールは難しく考えなくて大丈夫です。A4一枚のガイドラインから始め、運用しながら育てていけば十分です。
議事録の効率化を「発信力」につなげる中小企業の使い方
議事録づくりが速くなると、空いた時間を別のことに回せます。中小企業にとって価値が大きいのは、その時間を社外への発信に使えること。会議の知見は、実はコンテンツの宝の山です。
時短で終わらせず、次の一手につなげる。ここに、中小企業ならではの伸びしろがあります。
議事録の効率化が、どのように発信の資産へつながるのかを図にしました。
議事録の効率化が「発信の資産」へ循環する
会議で議論
ChatGPTで議事録化
ナレッジとして蓄積
発信ネタに転用
蓄積した自社コンテンツは、検索エンジンにもAIの回答にも引用される資産になる
会議メモを社内ナレッジとして蓄積する
ChatGPTで整えた議事録は、そのまま社内ナレッジ(知識の蓄積)として残せます。検索しやすい形で整理された議事録がたまっていくと、過去の判断や経緯をすぐに振り返れます。
例えば「あの件、どう決まったっけ」という確認に、何分もかからなくなります。構造化された議事録は、社内の共有資産です。一回きりで消える記録ではなく、積み上がって会社の財産になっていくのです。
私たちは、こうした「蓄積」こそが中小企業の強みになると考えています。借り物のSNS投稿は流れて消えますが、自社にためた情報は、いつでも引き出せる資産として残り続けます。
議事録から発信ネタを生み出す仕組み化
蓄積した議事録は、社外への発信ネタにも変えられます。会議で出た顧客の声、現場の工夫、業界の気づき。これらは、オウンドメディア(自社で運営する情報サイト)の記事として、立派なコンテンツに育ちます。
例えば、顧客対応の会議で出た「よくある質問と回答」を、そのままFAQ記事に育てる。営業会議で見えた業界の課題を、コラムの切り口にする。ChatGPTに「この議事録から、社外向け記事のネタを3つ提案して」と頼めば、たたき台もすぐに出てきます。
蓄積した自社コンテンツは、検索エンジンだけでなく、AIによる回答にも引用される時代に入りました。会議という日常の中に、発信の種は眠っています。それを拾い上げ、仕組みとして回す。議事録の効率化は、その第一歩になります。
よくある質問
ChatGPTで議事録を作る際に、多くの企業様から寄せられる疑問にお答えします。
Q. ChatGPTで議事録を作るのは無料プランでもできますか?
テキストを貼り付けて要約・清書する基本的な使い方なら、無料プランでも対応できます。ただし、録音から自動で議事録化するRecord Modeなどの一部機能は、有料プランや提供状況によって使える範囲が変わります。まずは、文字起こししたテキストを整える使い方から始めるのがおすすめです。
Q. 会議の録音をそのままChatGPTに入れても大丈夫ですか?
社外秘や個人情報を含む会議内容は、そのまま入力するのは避けたほうが安心です。固有名詞を伏せる、学習オフの設定にする、社内ルールを決める、といった対策をおすすめします。安全な範囲で使う前提を整えてから活用しましょう。
Q. ChatGPTが作った議事録はそのまま配布できますか?
最終確認は人の目で行うことをおすすめします。ChatGPTは、事実と異なる内容を自然な文章で書いてしまう場合があるためです。決定事項や数値、担当者名などは元の記録と照らし合わせ、確認したうえで配布すると安心できます。
Q. 議事録の精度を上げるコツはありますか?
文字起こしの段階で、できるだけ雑音の少ない環境で録音することが第一です。そのうえで、ChatGPTに「決定事項・ToDo・次回予定」など必要な項目を明示して指示すると、仕上がりが安定します。一度うまくいったプロンプトはテンプレートとして保存し、社内で共有すると品質がそろいます。
Q. ChatGPT以外のAIでも議事録は作れますか?
文字起こしや要約に対応したAIツールは複数あります。話者の自動識別に強いツールや、録音から議事録化まで一気通貫のサービスなど、特徴はさまざまです。自社の会議スタイルに合うものを、一度小さく試してから選ぶとよいでしょう。ChatGPTは、要約と構造化の柔軟さに強みがあります。