採用難に悩む中小企業がリール動画を活用したSNS発信に取り組むことで、応募者数を増やすことに成功しています。社会福祉法人白熊会はInstagramリールで職場の日常を発信し、動画再生数を2〜3倍以上に伸ばしました。求人票では伝わらなかった「職場のリアルな雰囲気」を継続的に積み重ねることが、採用難を突破する有効な手段として注目されています。
求人を出しても応募が来ない、大手に負けてしまうと感じている担当者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
なぜ今、中小企業にSNS採用が必要なのか
中小企業の採用環境は、年々厳しさを増しています。SNS採用とは、InstagramやTikTokなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて求職者に自社の魅力を発信し、応募を促す採用手法のことです。
採用難は中小企業ほど深刻
帝国データバンクの「2025年度の雇用動向に関する企業の意識調査」(2025年2月実施)によると、中小企業で新卒採用の予定がある割合は30.8%にとどまっています。同調査では大企業との初任給格差が拡大しており、採用活動を行っても「条件面で大企業に劣るため応募がない」という状況が中小企業に多くみられると報告されています。
つまり、採用意欲はあっても、大手企業との競争で中小企業が苦戦しているのが実情です。求人票を掲載するだけでは、求職者の目に留まりにくくなっています。
厚生労働省の発表によれば、2024年の有効求人倍率は1.25倍(前年比0.06ポイント低下)。倍率が1倍を超えるということは、求職者1人に対して1件以上の求人がある状態です。求職者は選ぶ立場にあり、「応募してもらう工夫」が欠かせない時代になっています。
求人票だけでは伝わらない「職場の雰囲気」
多くの企業様が悩まれるのが、「求人票に書ける情報に限界がある」という点です。給与や福利厚生だけでなく、求職者が本当に知りたいのは「どんな人たちと働くのか」「日々の仕事はどんな感じなのか」という職場のリアルです。
SNSの動画や写真は、そのリアルを自然な形で伝えられる手段です。一時的な求人広告への出稿よりも、日々の発信を積み重ねることで企業の「信頼の資産」を育てていくことができます。
社会福祉法人白熊会に学ぶ|リール動画の活用術
社会福祉法人白熊会は、福祉業界でInstagramリールを活用したSNS採用に取り組み、注目すべき成果を上げています。
再生数が2,000〜3,000回から10,000回以上に
白熊会が行ったのは、まずリール動画の編集方法の見直しです。場面をテンポよくカットして動きを演出し、テキストを挿入して内容をわかりやすく伝えるようにしました。また「質より量」の方針で投稿数を増やしたことで、動画の再生数は2,000〜3,000回から10,000回以上へと大幅に増加しています(SNSSCHOOLによる事例報告)。
堅いイメージを持たれがちな福祉業界でも、リアルな職場の日常を動画で見せることで、親しみやすさを演出できると実証した好例です。応募のハードルを下げることにもつながっています。
月30時間で続けられる運用体制
注目すべきは、運用コストの少なさです。白熊会の運用体制は月30時間、1日あたり約1時間程度。撮影に5〜10分、編集に30分、リサーチに20分と時間を配分しています。
「SNSは時間がかかる」と思われがちですが、スマートフォンのInstagram標準機能だけでも十分に対応できます。専門の機材や外注費用なしで、担当者1人でも継続できる体制を確立できた点が大きなポイントです。
蓄積型の発信として毎日少しずつコンテンツを積み上げることが、長期的な採用効果につながります。継続できる仕組みを最初に作ることが、SNS採用成功の第一歩です。
オルカ鴨川FCが示す|SNSが生む新しい応募の接点
オルカ鴨川FC(フットボールクラブ)は、Instagramを活用した採用発信を通じて、これまでリーチできなかった層からの問い合わせを獲得しています。
DMで問い合わせが届くようになった
オルカ鴨川FCでは、Instagram上で応募者からDM(ダイレクトメッセージ)による問い合わせを受け取れるようになりました。DMとは、SNS上でユーザー同士が直接メッセージを送り合える機能のことです。
これにより、従来の求人媒体では届かなかった「潜在層」への接点が生まれています。潜在層とは、積極的に仕事を探しているわけではないものの、魅力的な職場を見かければ気になる、という求職者の層のことです。
求人情報を見て応募フォームに入力するよりも、気軽にDMで「興味があります」と伝えるほうが、心理的なハードルがずっと低くなります。SNSが持つインタラクティブ(双方向)な特性が、採用の入口を広げているのです。
既存の採用手法と組み合わせることが大切
SNSは既存の採用手法を「置き換えるもの」ではなく、「補完するもの」として考えると効果的です。ハローワークや求人媒体での募集を続けながら、SNSで日常の発信を積み重ねていくと、複数の接点から応募者が集まる仕組みができあがります。
特にInstagramの20〜30代のユーザー層は、就職・転職を検討する世代と重なります。総務省(2022年)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」によると、20〜30代の半数以上が「生活や仕事のうえで活用が欠かせない」または「便利なので積極的に利用している」と回答しています。若い世代の求職者へのアプローチ手段として、SNSは今や欠かせない存在です。
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小規模団体でも始められる|SNS採用の実践ポイント
白熊会やオルカ鴨川FCの事例から、小規模な組織でも実践できる共通のポイントが見えてきます。
「日常の発信」がコンテンツになる
特別なイベントや撮影会を企画しなくても、日々の業務の中にコンテンツの素材は溢れています。たとえば、スタッフが笑顔でランチを食べている場面、朝礼の様子、新人スタッフの研修風景などです。
「こんな普通の内容でいいのか?」と感じる場面ほど、求職者にとっては貴重な情報になります。求人票に書かれた「アットホームな職場」という言葉より、笑顔でやりとりする動画一本のほうが、信頼感を生みやすいのです。
発信を続けることで信頼が積み上がる
SNS採用は、「投稿を続けることで効果が育つ」蓄積型の施策です。1〜2回投稿しただけでは成果は出ません。週に数回の更新を3〜6ヶ月継続することで、フォロワーが増え、プロフィールへのアクセスが増え、やがて応募へとつながっていきます。
増山ガラス(SNSSCHOOLによる事例)も1日1時間の運用を続けた結果、月間リール再生回数を10倍に伸ばしています。継続できる運用体制を最初に設計することが、長期的な成果への近道です。
Instagram標準機能だけで十分に始められる
高価な動画編集ソフトや撮影機材は必要ありません。Instagram(インスタグラム)のリール機能はスマートフォンだけで撮影・編集・投稿まで完結します。テキストの挿入や音楽の追加も無料で対応できます。
コストを抑えながら始められる点は、中小企業や小規模団体にとって大きなメリットです。まずは試しに数本投稿してみることからスタートしましょう。
職場の日常を撮影 朝礼、休憩、作業風景など日常のワンシーンでOK
投稿・テキスト追加 アプリ内で編集・文字入れ・音楽追加まで完結
信頼を蓄積 週1~2本のペースで続けるだけで採用力がアップ
まとめ
中小企業や小規模団体にとって、SNS採用は「コストをかけずに採用力を高める」有効な手段です。社会福祉法人白熊会はリール動画の編集を工夫し、動画再生数を大幅に増加させました。オルカ鴨川FCはInstagramを通じて、従来の求人媒体では届かなかった潜在層からのDM問い合わせを獲得しています。
どちらの事例にも共通しているのは、「スマートフォン一台から始めた」「継続することで成果が出た」という点です。発信のハードルは決して高くはありません。
求人票や求人媒体への掲載を続けながら、SNSで日々の職場のリアルを積み重ねていくことで、採用の接点が少しずつ広がっていきます。まずは職場の日常を一本動画にしてみるところから、始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q. SNS採用はどのプラットフォームから始めればよいですか?
A. まずはInstagramのリール機能から始めることをおすすめします。20〜30代の求職者層に利用者が多く、スマートフォンだけで撮影・編集・投稿が完結します。業種によっては、若い世代が多いTikTokも有効な選択肢です。
Q. 投稿のネタが思いつかない場合、どうすればよいですか?
A. 特別なイベントは必要ありません。スタッフの朝礼の様子、ランチタイム、業務の一コマなど、普段の職場の日常がそのままコンテンツになります。「当たり前の日常」が、求職者にとっては魅力的な情報になることが多いです。
Q. SNS採用の効果が出るまでどのくらいかかりますか?
A. 一般的には、継続的な発信を3〜6ヶ月続けることで、フォロワーの増加や問い合わせの増加が見えてきます。SNSは蓄積型の施策であり、短期間での大きな成果よりも、長期的な信頼の積み上げを目指すことが大切です。
Q. 動画の編集スキルや機材は必要ですか?
A. 特別なスキルや機材は必要ありません。Instagramアプリにはテキスト挿入・カット編集・BGM追加の機能が標準搭載されており、スマートフォン一台で完結します。社会福祉法人白熊会もInstagram標準機能だけで成果を上げています。
Q. SNS担当者の負担を抑えるにはどうすればよいですか?
A. 社会福祉法人白熊会の事例では、撮影5〜10分・編集30分・リサーチ20分と時間を区切り、月30時間(1日約1時間)の運用体制を確立しています。最初から完璧を目指さず、「続けられる仕組み」を作ることが最も重要なポイントです。
【参考資料・相談窓口】
SNS採用・採用広報