Web広告の費用が高騰する中、多くの企業が新しい集客方法を探しています。そんな中で注目を集めるのが「オウンドメディア」です。株式会社ベーシックが運営するWebマーケティングメディア「ferret」は、月間350万UU(2020年頃)という圧倒的な数字を達成し、立ち上げから1年半で月間1,500件のリード獲得にも成功しています。今回は、ferretの成功事例から、中小企業でも実践できるオウンドメディア運営のヒントをご紹介します。
ferretとは?月間350万UUを誇るWebマーケティングメディア
2014年創刊、国内最大級のWebマーケティングメディア
ferret(フェレット)は、2014年9月に創刊されたWebマーケティングの情報メディアです。運営する株式会社ベーシックは、「マーケターのよりどころ」をコンセプトに、SEO、SNSマーケティング、Web広告など、幅広いテーマの記事を提供しています。
2020年時点で、会員数は45万人を超え、月間のユニークユーザー数は350万UU、ページビュー数は550万PVに達しています。特筆すべきは、会員の約60%がマーケターという点です。約70万人のマーケターがferretを通じて情報収集していることになります。
圧倒的な集客力とリード獲得の実績
ferretの最大の特徴は、安定した集客力とリード獲得能力です。メディア開始から1年半で月間1,500件のリードを獲得しており、BtoB企業のマーケティング支援ツールとしても高く評価されています。
リードとは、見込み顧客のことです。例えば、資料をダウンロードした人やセミナーに申し込んだ人など、自社のサービスに興味を持ってくれた人を指します。ferretは記事広告やメールマガジンを活用し、読者の興味に合わせた情報提供で質の高いリード獲得を実現しています。
実際の成果として、ある企業ではferretのメールマガジンを活用し、1ヶ月で254件のリードを獲得しました。また別の企業では、14件の体験講座申込と3件の成約(75万円分)を獲得するなど、具体的な成果が報告されています。広告主の中には、ferretを活用して毎月100件以上の安定したリード獲得を実現している企業もあります。
ferretが月間1,500件のリード獲得に成功した理由
多様な流入チャネルで安定した読者を確保
ferretの成功の秘訣は、検索エンジンだけに頼らない多様な流入経路を確保していることです。SEO、SNS、メールマガジン、お気に入りからの直接訪問など、複数の入口を用意しています。
検索だけに頼ると、Googleのアルゴリズム変更で順位が下がった時に大きな影響を受けてしまいます。ferretは立ち上げ当初からTwitterやFacebookでの発信に力を入れ、新規読者との接点を増やしてきました。その結果、一時的な検索流入だけでなく、継続的に訪れてくれるファンを獲得できました。
ferretの流入チャネル戦略は、オーガニック検索50%、残り50%をメルマガ・SNS・ダイレクト・リファラルでほぼ均等に分散させるバランスを保っています。
【画像挿入 種類: フロー図・プロセス図 内容: ferretの多様な流入チャネル(SEO、SNS、メールマガジン、ダイレクト、リファラル)を中心から放射状に配置した図。各チャネルからferretへの流入を矢印で表現し、バランスよく分散している様子を視覚化 目的: 単一チャネル依存の危険性と、複数チャネル確保の重要性を直感的に理解してもらう 】
ホワイトペーパーで会員化率を高める戦略
ferretは、各記事に読者の興味に合わせたホワイトペーパーを用意しています。ホワイトペーパーとは、業務で役立つノウハウや調査データをまとめた資料のことです。例えば、SEOの記事を読んでいる人には、SEOのチェックリストを提供するイメージです。
この戦略により、ferretの会員化率は非常に高くなっています。記事で興味を持った読者が、さらに詳しい情報を得るために会員登録する流れを作っているのです。会員限定コンテンツも充実しており、登録後も継続的に情報を受け取れる仕組みになっています。
質を重視した記事広告で信頼を築く
ferretは記事広告の掲載にあたり、「月間5本以上は絶対に契約しない」という独自のルールを設けています。これは、本当に良いと思えるツールやサービスだけを読者に紹介するためです。
短期的な収益よりも、読者との信頼関係を優先する姿勢が、長期的な成功につながっています。記事広告を読んだ読者の約20%がサービス検討ページへ移動しており、質の高いリード獲得を実現しています。読者にとって本当に価値ある情報を提供し続けることで、企業の資産として蓄積される発信を続けているのです。
オウンドメディアで成果を出すための3つのポイント
専門性の高いコンテンツを継続的に発信する
オウンドメディアで最も大切なのは、自社だからこそ書ける専門的な内容を提供することです。一般的な情報は誰でも書けますが、実務で得た知見や具体的なノウハウは、読者にとって本当に価値があります。
ferretの編集長は「WebマーケティングにウルトラCはない」と語っています。派手な裏技ではなく、読者の悩みに寄り添った質の高い記事を地道に積み重ねることが成功への道です。業界の最新トレンドや実践的な手法を、わかりやすく丁寧に解説することで、読者の信頼を獲得できます。
読者の段階に合わせたコンテンツ設計
オウンドメディアの読者は、知識レベルも興味関心もさまざまです。初心者向けの基礎知識から、実務者向けの応用テクニックまで、幅広いコンテンツを用意することが重要です。
ferretは「カリキュラム」という体系的に学べるコンテンツを会員向けに提供しています。初めてWebマーケティングに触れる人でも、段階的に知識を深められる設計になっています。読者の成長に寄り添うコンテンツ設計が、長期的な関係構築につながります。
SEOとソーシャルメディアの両輪で集客する
検索エンジンからの流入だけでは、継続的な成長は難しくなります。ferretは創刊当初からSNSでの情報発信に力を入れ、検索以外の流入経路を確保してきました。
SNSで記事をシェアすることで、検索では届かない層にも情報が届きます。また、SNSで反応が良かった記事は検索でも上位表示されやすくなる傾向があります。両方に取り組むことで、相乗効果が生まれるのです。まずは週1〜2回のペースで記事を公開し、SNSでも積極的に発信してみましょう。
中小企業が今すぐ始められる実践ステップ
明日からできる第一歩:よく聞かれる質問を10個書き出す
オウンドメディアを始めるには、難しい準備は必要ありません。まず、お客様からよく聞かれる質問や相談内容を10個書き出してみてください。それが最初の記事テーマになります。
例えば、住宅会社なら「家づくりの予算の決め方」「土地選びで失敗しないポイント」などです。訪問看護ステーションなら「介護保険の使い方」「在宅医療でできること」などが考えられます。お客様が本当に知りたいことを記事にすれば、自然と検索されるコンテンツになります。
1週間以内に3記事を公開する
質問を書き出したら、そのうち3つを選んで記事にしましょう。最初から完璧を目指す必要はありません。1記事800〜1,200文字程度で、読みやすさを意識して書いてみてください。
記事の構成は、「読者の悩み→解決方法→具体例→まとめ」という流れがおすすめです。専門用語は必ず説明を加え、中学生でも理解できる表現を心がけましょう。社長や現場担当者の実体験を盛り込むと、オリジナリティが出て読者の共感を得やすくなります。
月2〜4本ペースで1年間続けて30〜50記事の資産を作る
オウンドメディアは、一時的なバズよりも長期的な資産形成を目指すべきです。月2〜4本のペースなら、無理なく継続できるはずです。1年後には30〜50本の記事が蓄積され、それが企業の貴重な情報資産になります。
大切なのは、「完璧」を目指して投稿が止まるよりも、「継続」を優先することです。記事は後から修正できます。最新情報を追加したり、読者の反応を見て内容を改善したりしながら、少しずつ質を高めていきましょう。継続的な発信こそが、信頼の蓄積につながります。
よくある失敗パターンと対策
失敗1:完璧主義で公開できない
多くの企業が陥るのが、「もっと良い記事を」と考えすぎて、なかなか公開できない状態です。最初から100点の記事を目指す必要はありません。60〜70点の記事でも公開し、読者の反応を見ながら改善していく方が、結果的に良い記事になります。
ferretも最初から完璧だったわけではありません。読者のコメントや検索データを分析しながら、少しずつコンテンツを磨いてきました。まずは公開することを優先し、反応を見て改善するサイクルを回しましょう。
失敗2:会社紹介ばかりで読者目線がない
自社のサービスや商品を紹介したい気持ちはわかりますが、それだけでは読者は集まりません。読者が本当に知りたいのは、「自分の悩みをどう解決できるか」です。
ferretが成功している理由は、読者にとって価値ある情報を第一に考えているからです。サービス紹介は控えめに、読者の課題解決に役立つ情報を提供しましょう。信頼を得てから、自然な形で自社サービスを紹介する流れが理想的です。
失敗3:3〜6ヶ月で成果が出ないと諦める
オウンドメディアは、広告と違って即効性はありません。検索エンジンに評価され、読者に認知されるまでには、最低でも半年から1年はかかります。ferretも立ち上げから1年半で月間250万PVに到達しました。
短期的な成果を求めすぎると、継続できなくなります。まずは1年間、コツコツと記事を積み重ねることを目標にしましょう。記事数が30本を超えたあたりから、検索流入が増え始める傾向があります。長期的な視点で取り組むことが、成功への近道です。
まとめ
ferretの成功事例から、オウンドメディアで成果を出すための重要なポイントが見えてきました。多様な流入チャネルの確保、読者との信頼関係の構築、継続的な質の高いコンテンツ発信が、月間350万UU、立ち上げ1年半で月間1,500件のリード獲得につながっています。
Web広告の費用が高騰し続ける今、オウンドメディアは企業の貴重な資産になります。早く始めるほど、競合に対する優位性が高まります。完璧を目指さず、まずは読者の悩みに答える記事を1本書くことから始めてみてください。1年後、あなたの企業には30〜50本の情報資産が蓄積され、それが継続的な集客チャネルとして機能しているはずです。